グランド ハイアット 東京 料飲部長――トーマス・アンゲラー
グランド ハイアット 東京のライブミュージックバー“マデュロ”で行われた今回の撮影。トーマス・アンゲラーが姿を現すと、まるでスポットライトが点灯したかのようにその場が華やいだ。ほどよく鍛え上げられた長身のスタイルに、端正な顔立ち。まるでハリウッドのムービースターのようなオーラを放つ彼だが、館内の10のレストランを統括する同ホテルの料飲部長。現職に就くまでは世界各国でシェフとして活躍していたという、ホテリエとしては異色の経歴を持つ。その左手首には、当初、〈ロレックス〉のオイスター パーペチュアル ヨットマスター40がつけられていた。
- SERIES:
- ビジネスセレブの「時を紡いで」 vol.06
●今月のビジネスセレブ
グランド ハイアット 東京 料飲部長
トーマス・アンゲラー[Thomas Angerer]
Profile
1975年、オーストリア生まれ。シェフとして世界各国で腕をふるっていた伯父に影響を受け、料理の道を志す。2000年にハイアット ホテルズ アンド リゾーツに入社。グランド ハイアットドバイの副総料理長等を歴任後、トルコ、オーストラリア、インドで総料理長を務める。2013年にパーク ハイアット 東京の総料理長に就任してからは、料飲部の運営においても手腕を発揮。そして2018年現職に就任した。
オメガ コンステレーション グローブマスター
●愛用歴/約3年
●購入場所/ LAのロデオドライブの時計店
●使用頻度/週に約5回
3針に6時位置にカレンダーをあしらった正統派の顔つき。ケースバックはスケルトンで、高精度なムーブメントの精緻な機械美を堪能できる!
「まずは父が愛用していた〈オメガ〉の時計であることが一番。また、無駄をそぎ落としたシンプルなダイヤルデザインのエレガントさや39㎜というケース径も絶妙なバランスです。ベゼルのYGとともに、手元でさりげなく存在感を主張します」
オメガ[OMEGA]
コンステレーション グローブマスター〈右〉
〈オメガ〉の歴史を物語る代表的コレクション、コンステレーション。初期モデルを踏襲したデザインに、厳格な品質基準“METAS”認定のムーブメント“マスター クロノメーター”を搭載したこのモデルは2015年に発表されたもの。SSケース× YGベゼルのタイプは、現在も91万円で入手することができる
ロレックス[ROLEX]
オイスター パーペチュアル ヨットマスター 40〈左〉
100m防水を誇る堅牢なオイスターケースは、美しい色みを保つ、〈ロレックス〉自社開発のエバーローズゴールド製。そして搭載ムーブメントは、COSC(スイス公認クロノメーター検査協会)に加え、より厳しい〈ロレックス〉独自の“高精度クロノメーター”のテストをクリアしていて、非常に高い精度を誇る!
グランド ハイアット 東京のライブミュージックバー“マデュロ”で行われた今回の撮影。トーマス・アンゲラーが姿を現すと、まるでスポットライトが点灯したかのようにその場が華やいだ。ほどよく鍛え上げられた長身のスタイルに、端正な顔立ち。まるでハリウッドのムービースターのようなオーラを放つ彼だが、館内の10のレストランを統括する同ホテルの料飲部長。現職に就くまでは世界各国でシェフとして活躍していたという、ホテリエとしては異色の経歴を持つ。その左手首には、当初、〈ロレックス〉のオイスター パーペチュアル ヨットマスター40がつけられていた。
「結婚15周年の際の、妻からのサプライズプレゼントです。これはどちらかというと、特別なオケージョンでする時計ですね。今日のこの取材のように(笑)」
ホテリエとして働く日常に寄り添う〈オメガ〉と、特別なシチュエーションでの、いわば“勝負時計”の〈ロレックス〉ーートーマスはこの2本の腕時計をシーンで使い分けている。
「約3年前にこの〈オメガ〉を購入するまでは、スポーティでカジュアルな時計しか持っていませんでした。なぜなら現職に就くまで、長年シェフとしてキッチンに立っていましたので。どんなレストランでもキッチンの状況は苛酷で、高価な時計をするにふさわしくありませんし、なにより衛生的によくありませんから」
そんなトーマスだが、総料理長を務めていた“パーク ハイアット 東京”で、料理人としてだけではなく、マーケティングやコラボレーションの企画など運営面においても頭角を現す。そして現在のポジションへと、自らのキャリアを切り拓いた。そんなタイミングで出合ったのが、〈オメガ〉のコンステレーションだった。
実はトーマスとこの腕時計との出合いは、彼の幼少期に遡る。
「〈オメガ〉のコンステレーションのオリジナルモデルを、ずっと父が愛用していたんです。そのときは幼心に、素敵な時計だな、かっこいいなと憧れました。記憶の中での父はいつもこの時計をしていて、幸せな思い出とともに、“大人の時計”として、ずっと憧憬を抱き続けていたのかもしれません」
その〈オメガ〉コンステレーションが、現代の技術力をもってアップデイトされた新作として発表されたのが2015年。発売されてほどなく、偶然立ち寄ったLAのロデオドライブの時計店で、この時計と邂逅したという。
「時計だけではなく、ほかのすべてにおいても同様ですが、私はプランを立ててからなにかを買うタイプではなくて、すべて偶然の出会いです。これも“時計を買うぞ”とか、“あの時計が欲しい”とか、そういう気持ちは全くなくて、たまたま立ち寄った時計店で目にとまってーーいわばひと目惚れでした」
偶然訪れた時計店には、他ブランドの多くの時計も揃い、幅広い選択肢があった。しかし彼は迷うことなく、この時計を選んだ。そしてこの時計とともに、新たな人生のページをめくった。
「実際に毎日使って、その魅力を日々実感しています。たとえばスケルトンのケースバック、そこから見ることができるムーブメントの美しさーーラグジュアリーウォッチには、クラフトマンシップが詰まっています。それでいながらあくまでもシンプルで、華美になりすぎないバランスも秀逸だと思うんです」
着用しての撮影では、結局、ホテリエとしてデイリーユースしている〈オメガ〉につけ替えたが、妻からのサプライズプレゼントの〈ロレックス〉も、彼にとってはかけがえのない宝物だ。
「以前、クルーズ船で旅をしたときに、船内にあった時計店でこの時計に似たものを、冷やかし半分に試着だけしたことがあって(笑)。彼女はきっとそのときの私の顔を憶えていて、末永く使えるもの、身につけられるものということで、この時計を選んでくれたんだと思います」
こっそりトーマスの友人などにも相談しながら秘密裏に購入し、結婚記念日の夜、自宅でプレゼントされたという。なんとも男冥利に尽きる話だ。
そう伝えると、「その後、レシートは見せられましたが」と笑った。〈オメガ〉、そして〈ロレックス〉と、トーマスが持参した腕時計コレクションはどちらも、家族の愛と幸せなエピソードに彩られている。
「〈オメガ〉を手に入れる前、iPhoneで見ていた頃は、ただ単に“時間を知る”ための行為だったものが、この時計をつけるようになってから変わりました。そう、時計に目を落とすと、深呼吸じゃありませんが、いったん自らをカームダウンさせてくれるような、そんな感覚を覚えるんです。ある程度年齢を重ねたからかもしれませんが、慌ただしく過ごす毎日の中で今、“時”というのはとても貴重でかけがえのないものだと実感しています。決してステイタスなどを誇示するものではなく、自分にとって安らぎを与えてくれる存在ですね
Company Information
芳醇な時が流れる都会のリトリート
東京における外資系ラグジュアリーホテルを代表する、各国のセレブリティ御用達の“グランド ハイアット 東京”。宿泊やスパはもちろん、館内10店舗のレストランとバーのレベルも高く、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。同ホテル内の“マデュロ”はジャズ生演奏が楽しめるライブミュージック バー。日~木曜日の19 : 00、19 : 30来店なら、タパスとスパークリングワインやカクテルのフリーフローを、通常の33%オフの4000円で楽しめる“シエロ ナイト”が好評だ!
雑誌『Safari』9月号 P222・223掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura