名門ホテルには世界に名を馳せるカクテルがある。
アルコールが織りなす美しきケミストリー、カクテル。歴史あるホテルには、思わず誰かに話したくなるような逸話のある、オリジナルカクテルと出会えることがある。今宵の1杯は、そのストーリーに思いを馳せながら。
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RED SNAPPER
トマトジュース、ウォッカに塩・胡椒・レモン・ウスターソースなどを調合した、スパイシーな“レッドスナッパー”
世界中に点在する〈セントレジス〉。ここには、ホテルごとに、地元のフレーバーを取り入れたオリジナルカクテルのレシピがある。そのはじまりが、ミッドタウンで最も格式の高い(セントレジス・ニューヨーク)の社交クラブとして愛される“キングコールバー”。当時、“ブラッディマリー”を考案したのは、バーテンダーとして腕を振るっていたフェルナンド・プティオ。“ブラッディマリー”の“ブラッディ”という響きがセントレジスの洗練されたイメージに合わないというオーナーの要望で、名称を“レッドスナッパー”に変えて、味もニューヨーカー向けに改良をし、完成させたのだ。苦味や甘み、ほどよい酸味が好バランスで、とろけるような口当たりは、女性にも飲みやすいはず。まさに発祥の地のバーで飲むべき1杯。
左:バーの壁にはマックスフィールド・パリッ シュ作の壁画“オールドキングコール”が飾られ、優雅なひとときをくれる 右:各スイートにはブランドや創業者の名前が付けられている。ちなみにコチラは“ティファニー”
SINGAPORE SLING
バーテンダーのニャン・トン・ブーンが女性のために生み出した、ピンク色の可憐なカクテル
20世紀初頭、女性の公の場での飲酒は認められていなかった。そこで〈ラッフルズシンガポール〉のバーテンダーが思いついたのが、一見フルーツジュースのようなコレ。ジンをメインに、パイナップルやライムジュースを使い、爽やかだけれど甘いフレーバー。そしてグレナディンとチェリーシロップで、フェミニンなピンク色にした。これなら女性が飲んでいても、お酒には見えない。 また、このバーの名物は無料で供されるピーナッツ。ポイ捨て厳禁のこの国で、殻を床に捨ててもお咎めなし。
左:店内は、20世紀初頭、農園主たちが集まった“ロングバー”の雰囲気を再現 右:サマセット・モームなど文豪や著名人に愛されたホテルで、こちらはスイートのベッドルーム
ROYAL MAI TAI
1959年“マイタイ バー”オープン時からある“ロイヤル マイタイ”。アレンジメニューも充実
ワイキキビーチとダイヤモンドヘッド。そんな最強タッグなオーシャンフロントのロケーションが、トロピカルなテイストにマッチ。カリフォルニアのバー“トレーダーヴィックス”で生まれたマイタイを一躍有名にしたのが、〈ロイヤルハワイアン ホテル〉の“マイタイ バー” だ。1953年、マイタイの考案者にホテルのオリジナルレシピをオーダー。そして、パイナップルやオレンジジュース、マウイ島の蒸留所のラム酒を使った“ロイヤル マイタイ”が誕生。“マイタイ”はタヒチ語で“グッド!”の意味。
左:“ピンクパレス”の愛称で呼ばれる老舗名門ホテルの部屋から見る景色は、ハワイでもトップクラス 右:“一杯の楽園”と呼ばれる“マイタイ”は海辺が似あうルックスで彼女もうっとり