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CULTURE カルチャー

2025.05.24


ドラマは列車内で起こる! 傑作鉄道映画5選!

 

 


『新幹線大爆破』
製作年/2025年 監督/樋口真嗣 出演/草彅剛、細田佳央太、のん、要潤、斎藤工

爆弾の仕掛けられた走行車両から349名の命を救え!
『日本沈没』(2006年)、『シン・ゴジラ』(2016年)、『シン・ウルトラマン』(2022年)など、昭和が残した意匠を次々と現代に蘇らせる樋口監督が、長きに及ぶ構想期間を経て1975年製作の東映映画の大傑作を装いも新たにリブート。新青森発東京行きの東北新幹線『はやぶさ60号』に何者かが爆弾を仕掛け、時速100km以下にスピードを落とすと爆発する状況下で、乗員、乗客、警察、総合司令所、さらに政治的決断が絡み合った前代未聞の救出劇が展開していく。

75年版の製作時に国鉄の協力が得られなかったのは有名な話だが、一方の今作ではJR東日本の特別協力により、E5系を7往復させて走行シーンを撮影したほか、技術的側面や出演者の役作りなどの面で破格の臨場感とリアリティを加味。そして75年版で描かれた出来事を“109号事案”として同じ世界線上に据えることで、連続性のある面白さと、オリジナルへの底知れぬリスペクトを兼ね備えた重厚作に仕上がった。誰もが人間的弱点を抱えながら、それでも一致協力して究極のピンチを打破しようとするドラマ性の厚さ。そしてあらゆる群像劇の中心で、冷静、調和、職務遂行の究極のエンジンと化す車掌(草彅が好演!)のキャラクターに心奪われずにいられない。
 

  

 


『新感染 ファイナル・エクスプレス』
製作年/2016年 監督/ヨン・サンホ 出演/コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク

凶暴化ウィルスが蔓延する車内で生き残れるか!?
まだ薄暗い早朝のソウル駅。間もなくここを発つ釜山行きの列車内は社会の縮図を思わせる多様な人々でいっぱいだ。しかし扉が閉まる直前に飛び乗った血だらけの女性がやがて豹変して暴れ出したことで事態は急変。彼女に噛まれた者は凶暴化し、それに噛まれた者がさらに凶暴化し・・・加速度的に感染は拡大し、車内は手のつけられない地獄絵図と化していく。

韓国で1100万人以上が鑑賞し、世界的にもヒットを遂げたサバイバル・アクション。かつてロメロが傑作『ゾンビ』で消費文化の象徴たるショッピングモールを舞台に選んだように、ここでは社会インフラの要たる鉄道が“動く密室”となって絶望の走行音を奏でる。この先に待ち構えるのは希望か、それとも終焉か。自己中なファンドマネージャーと幼い娘、妊娠中の女性とその夫(マ・ドンソク兄貴!)、高校野球部、企業幹部、熟年の姉妹、ホームレスなど、あらゆる世代や階層が織りなすドラマにグッときつつ、彼らが知恵と体力を駆使して一車両、一車両を制圧していく様がなんとも壮絶で胸アツだ。もし本作を気に入ったならシリーズ関連作もぜひチェックしてほしい。
 

  

 


『大陸横断超特急』
製作年/1976年 監督/アーサー・ヒラー 出演/ジーン・ワイルダー、ジル・クレイバーグ、リチャード・プライアー

軽快、巧妙、超楽しい鉄道スペクタクル!
ロスからシカゴまで、アメリカ大陸を駆け抜ける”シルバーストリーク号”の車内外で巻き起こるサスペンスコメディの決定版。この列車に乗り込んだ書籍編集者のジョージは、多彩な人々と交流するうち、扉一枚で仕切られた隣部屋の女性と深い仲に。でもその夜、ふと顔をあげた瞬間、著名な教授が銃弾で頭を撃ち抜かれ窓の外をずり落ちていく姿を目撃する。これが見えたのは俺だけ!?しこたま飲んだ酒のせい!? 翌日、気を取り直して教授の個室を訪ねると、怪しげな男たちが室内を物色しているさなか。その上、屈強な大男に胸ぐらを掴まれ、列車外へ放り出されてしまい……。

さあ、ここからが本作の見せ場。何度、車外へ飛び出しても、七転八倒しながら何とか列車へ舞い戻ってくるのがストーリーの面白さで、この何ら特技や取り柄のない主人公を『チョコレート工場の秘密』(1971年)のウォンカ役で知られるジーン・ワイルダーが愛嬌たっぷりに好演している。贋作事件の究明、ヒロイン救出、悪漢の退治という難題をこなした果てに、暴走車両がシカゴ駅へ突っ込んでいくスペクタクルなラストはもはや伝説の域。何度見直しても大驚愕、大興奮できる名作だ。
 

  

 

『コンパートメント No.6』
製作年/2021年 監督/ユホ・クオスマネン 出演/セイディ・ハーラ、ユーリー・ボリソフ、ディナーラ・ドルカーロワ

心にジワリ・・・列車旅の醍醐味たっぷりの極上ドラマ
出会いの印象はもうサイアク。モスクワからムルマンスクまで延びる長距離寝台車で相部屋になった初対面の男女は、お世辞にも気が合うとは言えず、室内には気が滅入るような空気が漂う。しかし同じ時間と距離を経るうち、二人の間柄には少しずつ変化が。共に見た風景。停車中に歩いた街。酌み交わした酒。出会った人々。全ての体験が相まって、あれほど嫌悪していた相手の言葉や態度が、親しみや安らぎいっぱいに感じられるようになっていく……。

カンヌ映画祭でグランプリ(パルムドールに次ぐ第二席の賞)を獲得した本作は、旅を愛する人なら思わず「わかる!」と頷いてしまう、いわば列車旅ならではの特別な魔法が詰まった秀作だ。人生でもう二度と会うことのない二人だからこそ、口にできる想いがあり、育める関係性がある。孤独や心細さを抱いた彼らが、友達以上、恋人未満の無二の親友のように支え合う姿のなんと微笑ましいことか。ヘッドフォンやハンディカムといったアイテムも過ぎ去りし時代への郷愁を誘う。ああ!これを観るともう、全てを放り出して列車に飛び乗り、旅に出たくなる!
 

  

 


『暴走特急』
製作年/1995年 監督/ジョフ・マーフィー 出演/スティーヴン・セガール、エリック・ボゴシアン、キャサリン・ハイグル

列車に乗り合わせた”あの男”が絶体絶命のピンチを救う!
40代以上の世代にはお馴染み、無敵のセガールが90年代に放った『沈黙の戦艦』に続くシリーズ第二弾。今回は、狂気のシステム技術者に率られた武装集団がロッキー山脈をゆく特急列車を占拠し、絶えず移動し続けるその場から政府の超ハイスペックな軍事衛星(レーザー攻撃も可能!)をハッキングして世界各地を攻撃し始める。そんな大混乱の中、偶然にも同列車に乗り合わせた元SEALS隊員の肩書を持つ料理人が、目にも止まらぬ早技と特殊スキルで敵を一人、また一人となぎ倒していき……。

特急と銘打ちながら走行スピードがさながら徐行運転のようだったり、たった一枚のデータCDディスク(!)を巡って追いかけっこが繰り広げられるなど、何かと突っ込みどころは多いものの、ストーリー展開と格闘シーンの面では見応え感がたっぷり。実は『クローバーフィールド』(08)や『猿の惑星』シリーズなどで知られる名匠マット・リーヴスが学生時代に書いたオリジナル脚本がベースになっており、そのスペックを『沈黙』シリーズのキャラや設定にあわせてリライトしたという経緯があるらしい。30年経っても色褪せない理由は、意外とそんな源泉の確かさにあるのかも。

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文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
photo by AFLO
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