2024年はカリフォルニア・セントラルコーストで大人の冒険を!【前編】
時刻表も乗り換えも気にせず、雄大な景色の中で自由にクルマを走らせる……。そんなロードトリップをしたいと、一度は思ったことがあるのでは? でも、コロナ禍以降、いつしか冒険心に蓋をして、日常の行動範囲、そして視野まで狭くなってはいないだろうか? もしそうなっているのなら、2024年は心機一転。もっと広い目で世界を見て、思考や価値観をもっと柔軟に。うってつけなのが、カリフォルニア・セントラルコーストを旅すること!
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長距離を移動しながら続ける自由な旅は、忘れかけた冒険心をくすぐり、非日常的な体験をもたらしてくれる。なにかと最近、規制の多い社会で視野が狭くなりがちだが、行動範囲を広げることで心身や思考は解放することができ、自由なアイデアを生み出すきっかけにもなるはずだ。
そこでディスティネーションとして選びたいのが、カリフォルニア・セントラルコースト。ロサンゼルスやサンフランシスコなどゲートウェイなる都市部は訪れたことがあっても、この間に位置するエリアの魅力はまだまだ知られていない。だが、ここには冒険心をかき立てる壮大な自然を駆け抜けながら、個性的な街を気ままに巡る楽しみがある。肥沃な大地が生むワインと美食を味わいながら、海や山と暮らす豊かなライフスタイルがある。帰国した後はきっと、自身の価値観がぐんと広がっているに違いない。
もちろん“気ままに”とはいえ、この地のポテンシャルを存分に味わう“訪れるべき場所”はちゃんとある。旅の行程に組み込めば、大人になった今だからこそ心に刺さる“冒険”が完成すること間違いない。
旅はサンフランシスコにほど近い、サンノゼからはじまる。降り立つ空港は、ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港。日本から約11時間と少々ロングフライトだが、ZIPAIRのフラットシートを選べばカラダの負担もなく、夜の飛行ゆえ睡眠も十分にとれ、時差ボケとは無縁!? 小さな空港なので、人の混雑も、荷受けで長く待つこともないのが嬉しい。
まずはレンタカーを空港でピックアップ。サンノゼから南下して各地を巡り、ロサンゼルス国際空港から帰国するルートを考えると、乗り捨てできるのが必須だ。最大手レンタカー会社の〈ハーツ〉なら、営業所が多いので乗り捨てが可能。長距離にも疲れないSUVは、たくましい旅の相棒となってくれるだろう。
ファースト・ストップオフは、伝説のサーフタウン“サンタクルーズ”へ。1885年にハワイから3人の王子がサーフィンをこの地にもたらしたことからはじまり、その後、伝説のハワイアンサーファー、デューク・カハナモクがやってくるなど、この地のサーフィンカルチャーの種がまかれたという。
安定した小ぶりの波が寄せるカウエルビーチ、その右手にある難度が高いスティーマー・レーンやプレジャーポイントと、波の種類がバラエティに富んでおり、実際に波乗りするのはもちろん、見るだけでも楽しい。
サーフシーンの伝説にもっと深く触れるなら、サンタクルーズ・サーフィンミュージアムへ。ウエスト・クリフ・ドライブ沿いにある昔の灯台を利用した建物で、海上の断崖からはスティーマー・レーンの波に挑むトップサーファーたちの技を眺めることができる。
〈オニール〉の創設者ジャック・オニールが、1950年代、世界的なウエットスーツブランドを開発していた地としても知られるサンタクルーズ。ジャック・オニールレストラン&ラウンジは彼の熱いサーフスピリットを引き継ぎ、訪れるサーファーたちの心を惹きつける場所となっている。サーフボードで飾った天井、ジャックも眺めていたカウエルビーチのパノラマ。時空を超えたサーフサイド体験をしてみよう。
サンタクルーズの隣街、西海岸最古のビーチリゾートといわれる小さな街、キャピトラも見どころだ。海岸を彩るようにイタリア風の邸宅が建ち並んだフォトジェニックな景色に出会える。ゆったりとした空気が流れ、混雑とも無縁な穴場なので、クルマを停めて散歩をするのも気持ちがいい。
ドライブ休憩は、地域一帯に広がるフルーツファームが広がる街、ホリスターにあるカーサ・デ・フルータで。地元の農産物を種類豊富に扱う市場のほか、ダイナー、アイスクリームショップ、公園、RVパークと、時間を忘れて過ごしてしまうヴィレッジのような大きなドライブインだ。カリフォルニアの太陽を浴びて芳醇に育ったオレンジやチェリーは、是非とも手に入れよう。オリジナルのスパイスやワインなど、お土産として持ち帰りやすいものが揃うのも嬉しい。
イタリア系の家族3世代にわたって経営を受け継いできたオーナーはこう語る。
「農作物の美味しさや自然の中で過ごす豊かな時間を、次世代にも感じ続けてほしい。だから単なる市場ではなく、アミューズメントとして楽しんでもらいたいんだ」
経営を維持しながら農村に住み続け、地元の風土を想い育てるという彼の理念は、目新しい物事を追いかける都会生活の中で忘れかけていた、大事な価値観に気づかせてくれる。
ロードトリップといえど、キャンピングカーを借りて移動する本格流はなかなかハードルが高い。かといって、泊まる場所は現地ならではの空気感を感じられる場所がいい。そんな大人たちを満足させるアコモデーションがこちら、ダブル・エイチ・ランチ・アット・ストーンパインエステート。
緑深いカーメルバレーの奥、何百エーカーもの広大な牧場を抜けた先にクラシックなゲストハウスが見えてくる。この牧場はミシシッピ以西で最古のサラブレッド競馬場だったそうで、パドックには今も毛並みの美しい馬が悠々と歩いている。そのパドックにゲストハウスが隣接するというレアな立地だ。ハウスの中にはプライベートルームが4部屋、共用のリビング、ダイニング、キッチンが1つずつあり、家族や友達同士で貸し切ることができる。
エクステリアや基礎的な内装はオリジナルを保ちつつ、ゲストハウスとして快適性が求められる水回りやインテリアには、モダンで洗練されたあしらいが施されている。馬や馬具をモチーフにした〈エルメス〉や〈グッチ〉、またアメリカらしい〈ラルフ ローレン〉のアイテムも、部屋をエレガントに演出するひと役に。
部屋の窓から悠々と歩く馬を眺めるうちに、時空を超えたような感覚へと誘われる。そして、さらに過去の記憶に想いを馳せられるのが、敷地奥に佇む気高いシャトー。かつて様々なハリウッドスターや社交界のセレブがお忍びで訪れ、晩餐会を開いたり、館に隣接するフェアウェイでゴルフをしたという。書棚にはオーナー家族がクリント・イーストウッドやマザー・テレサと並ぶポートレートの数々が。アメリカの栄華の時代を、ここまで間近に感じられる空間はかなり少ないだろう。
まさに、現代社会から完全に心身を切り離してくれる館。少しアナログな暖房設備やきしむドアもまた、旅情を盛り上げてくれる。ラグジュアリーホテルとは異なる“贅沢”を堪能してほしい。
©Refuge
サンタルシア山脈に囲まれた渓谷、カーメルバレーには、心身を養生できるスパやリトリート施設が点在している。なかでも、ヘルスバケーションに有効でユニークなオアシス、リフュージは一度訪れる価値があるだろう。
©Refuge
山々に囲まれた秘境のデイスパで、サウナ、スチームルーム、様々なプランジプールでカラダをヒートアップ&クールダウンをさせながら、恍惚としたディープ・リラックス状態へ。静寂と携帯電話禁止のルールが徹底されているので、完全なデジタルデトックスが叶うのも魅力。昨今の日本のサウナブームにハマっている人にも、確実に満足度が高いスポットとなるはず。
カーメルバレーでもう一軒おすすめしたい場所がここ、バーナーダス・ロッジ&スパ。ワイナリー、ホテル、スパ、レストランを所有する優雅なリトリート・ホテルで、多くのハリウッドセレブも足繁く訪れるという。
約3万4000本のワインが貯蔵された星付きレストラン“ルシア”では、敷地内の有機ガーデンで育てられた作物をカントリーキュイジーヌというスタイルで楽しめる。自然体系を利用した農作が行われており、蜂による自然交配やコンポスト農法によって栽培された野菜や果物は、美食家たちをも唸らせる。農園を見渡す心地よい屋外テラスで、カジュアルに滋味とグラスに向き合う至福を味わってみてほしい。
“ザ・スパ”では、ブドウ園とファームガーデンの素材を使ったヴィノセラピーやボディラップなど、カラダと心を癒すリラクゼーション・メニューを堪能。ウォーミングルーム、メディテーションガーデン、ディッピングプール、リフレクティングプールなどが揃う山間の別天地で、“最幸の”ウェルネス旅を完成させよう。
カーメルと名のつくエリアにはもう一つ、のどかな海辺の街、カーメル・バイ・ザ・シーがある。山から海へと短時間で行ける距離感ゆえ、どちらも訪れてみると魅力の違いに気づくだろう。瑠璃色の海に向かって緩やかな勾配となっているこのスモールタウンでは、クルマを停めて街を気ままに散策するのが正解。カーメル建築と呼ばれる童話に出てきそうな愛らしい家々が並び、どこか俗世界とは別の安らいだ雰囲気に包まれている。
文明の進歩を望まないこの街では、大きな建物やネオンサイン、屋外広告はほとんど見かけない。道路に信号機はなく、交差点ではそれぞれがゆっくりと徐行して譲り合っている。郵便は配達システムがなく住民が郵便局まで受け取りに行き、警察的な役目は自警団が行っている。自分たちのことは自分たちで決めるという“自治”を重んじた街なのだ。役所主導の都市とは異なる仕組みが守られた街づくりに、思わず感動するだろう。
サンセットタイムは、“カリフォルニアで一番美しい”と称される夕景を、砂浜に降りて眺めてほしい。真っ赤に染まる太陽が水平線に溶けゆく景色はもちろん、どこからともなく集まり会話をしたり、ペットを散歩したりする地元住民たちを眺めるうちに、「こんな心豊かな生活があるんだ」と気づかされる。海とともに暮らす彼らの豊かなライフスタイルが、日常で息詰まっていた旅行者たちの心に少し、風穴を開けてくれるかもしれない。
【Travel Tips】
<フライト>
日本〜サンノゼ間の航空会社のベストチョイスはZIPAIR(ジップエア)。必要な人に必要なだけのサービス提供をという潔いテーマ、そして燃油サーチャージがかからない料金設定は、ミニマルな時代にとても嬉しい。ホームページからの予約もスムースで、フルフラットシートまたはスタンダードシートの選択から座席指定、機内食などのオプション選択もわかりやすい。ちなみにカリフォルニア(ロサンゼルス・サンノゼ・サンフランシスコ)までのロングフライトはダンゼン、シートが180度倒せるフルフラットシートがおすすめ。ネックピローやブランケット、スリッパなどのアメニティも充実している。
URL:https://www.zipair.net/ja
<レンタカー>
今回のようなロングドライブの旅では、レンタカーの乗り捨てが必須。最大手の〈ハーツ〉なら、営業所が多いので乗り捨てが可能に。また本来は国際運転免許証を取得しなければならないが、ハーツの“運転免許翻訳サービス”を利用すれば、その必要はなし。ちなみに無料で加入できる“Goldプラス・リワーズ”のメンバーになると、手続きカウンターが混んでいても優先カウンターを使えたり、提示された駐車エリア内から実際に運転席に座って希望の1台を選ぶ“ULTIMATE CHOICE”を利用できてとても便利!
URL:https://www.hertz-japan.com/
2024年はカリフォルニア・セントラルコーストで大人の冒険を!【後編】に続く
●カリフォルニア観光局
URL:https://www.visitcalifornia.com/jp/
●モントレー観光局
URL:https://www.seemonterey.com/
photo & text:Yuki Miyahara