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2021.04.19


チルな人柄が生む癒しのサーフアート

サーファーなら彼のアートを一度は目にしたことがあるかも? 〈モラスク・サーフショップ〉の看板など、レトロなフォントをモダンにアレンジした美しいタイポグラフィーはじめ、'60~'70年代カルチャーを彷彿とさせるアートで人気のジェフ。忙しい毎日を送りながらも、ハワイ育ちらしい穏やかであたたかな雰囲気は、まさに彼の作風を反映しているようだ。


今月のサーファー
ジェフ・カンハム
[JEFF CANHAM]

“海は友達”なオアフボーイ


サーフィンの神が宿るといわれるハワイ。なかでもワイキキは、観光客も温かく受け入れる高い水温とファンウェイブで人気だ。今回紹介するジェフも、この周辺で育ったオアフっ子。幼少期はブギーボードを使って波と遊ぶのが日常だったといい、10代になるとそのボードは自然とサーフボードへ切り替わった。

「12、3歳の頃、ワイキキのカヌーズではじめてボードの上に立ったことを覚えてる。ハワイは海にすぐ飛びこめるし、サーフ文化も定着しているから、波乗りが継続しやすい環境だったよ」

やがてジェフ少年は運転免許を取得すると、島のあらゆるスポットでサーフィンを楽しむように。さらに、高校生のときに引っ越したカネオヘという街でできた友人の父が海軍だったため、幸運にも関係者しか入れないビーチへのアクセスを得る。人の少ない極秘スポットで、思う存分波乗りを楽しむことができた、恵まれた青春時代だった。

「とにかくいろんなボードに乗ったことが結果的にスキルを磨いたんだと思う。さらに、各ボードがどう作られ、どういう特徴があるか、とか違いを発見することにも楽しみを感じていたよ」

雑誌『サーファー』も定期購読しはじめ、ますます波乗りのマニアな世界にハマっていた若きジェフ。とはいっても、コンペティションなどの競争にはいっさい興味がなかったようだ。

「自分のサーフビデオを何度も見るうちに、競い合うようなサーフィンは、僕には向いていないと気づいたんだよね」

そんな彼に当時のサーフヒーローを尋ねるとしばらく考えたのち、多すぎて挙げたらキリがないよ、と笑って答えてくれた。

オアフの快適な水の中でめきめきと上達したジェフ。これまでに挫折を味わったことはないように思えるが、それはアーティスト活動のため移住したサンフランシスコで訪れる。

「とにかく冬が寒くて(笑)、環境の違いに戸惑ったよ。でも、僕には大きすぎるけれど完璧な波が立つ場所。自分を納得させて波に挑むか、チャレンジできないともがくのか、いずれにせよ向き合わなきゃいけないんだ」

彼のアトリエのワークデスクもあたたかみのあるウッドを採用。ここではアートショーの準備のためにペイントが進行中

いつも爽やかなスマイルのジェフ。たとえ締め切りが迫っていようとも、プレッシャーだとは思わず淡々と作業をこなしていく

憧れの編集部、そしてアートの世界へ


さて、サーフィンに夢中だったジェフ少年は、いかにデザイナーとして、またアーティストとして成功をおさめたのだろうか? 実は、幼少期からアート好きな両親の影響により、絵を描くことに親しんでいた彼。アート系の学校へ進んだのは自然な選択だった。高校を卒業後、ポートランドのアートカレッジではグラフィックを専攻。そこで学んだタイポグラフィーに、予想外に虜になったそう。

「できるだけ自分の言葉にマッチするタイポグラフィーを選ぶ作業が魅惑的だったよ」

バリー・マギーなど、彼の敬愛するアーティストたちは揃って独自のタイポグラフィーを取り入れていたこともあり、ジェフも自分にしかできないスタイルを模索した。

転機が訪れたのはカレッジ卒業直前のこと。なんと、憧れの『サーファー』誌のエディトリアルデザイナーとして採用されたのだ。カレッジで偶然アートや建築雑誌のデザインに携わっていたこと、そして読者として雑誌を熟知していたことが採用の決め手だった。

「前任のデビッド・カーソンは僕が尊敬するデザイナー。彼から直に仕事を引き継ぐことができてとても光栄だったよ」

仕事をするうち多くのコネクションも掴んでいったジェフ。そこには生涯の友人となる存在、のちに〈モラスク・サーフショップ〉のオーナーとなるジョン・マッケンブリッジとの出合いもあった。ジェフがサンフランシスコ移住後“モラスク”オープンの際に、Tシャツから店の看板までデザインを一任される。その印象的なタイポグラフィーは、今も色褪せていないことはご存知のとおり。と、アーティストとしても注目を集めはじめていた彼。本格的に活動を開始したのは、初の個展を開いた2003年。以来、多くのショーを実施している。なかでも写真家のカノアと旅したメキシコ・オアハカでの作品をまとめたエキシビションは、特別な思い出があるという。

「旅の前半はカノアの写真を使ってアート制作に熱中し、後半はポイントブレイクの温かい海でサーフィンを思いっきり楽しんだよ!」

タオルブランド〈スロータイド〉のビーチタオルをデザイン

ウッドクラフツマンのダニー・ヘスがシェイプしたボードをペイントした作品

売れっ子アーティストのSFライフ


2005年の“モラスク”オープンで一気に忙しくなったサンフランシスコ生活。でも、その忙しさも現在はすっかり当たり前の光景になったよう。家族の誰よりも早く目覚めるジェフは、子供が起きるまでにメールやSNSチェック、エクササイズなどを行う。

「キッズが起きるまでにやるべきことを終えるんだ。と、いいたいところだけど朝は慌ただしくて、実際はインスタをチェックするくらいしかできないよ(笑)」

子供たちを学校に送ったあとは自転車でアトリエへ。そこから数ブロック先のビーチで波チェックをし、波があれば小一時間ほど海に入る。それから5時までアトリエで仕事をこなす。彼のアトリエとは、友人アーティストと4人でシェアしているワークスペース&ショールームの〈ウッドショップ〉のこと。ここは2008年にオーシャンビーチの近くにオープンし、サーフボードやハンドボード、そして4人が制作したアートが展示販売されている話題のショップだ。現在は、コロナ禍によりショールームは一時クローズ中だが、ワークスペースはジェフたちクリエイターで賑わっている。

「複数のプロジェクトを同時進行しているので、忙しいけれど幸せだね。今一番力を入れているのは天井からぶら下げるモビール制作。これは、数年前に制作したのがきっかけで、すでに試作もいくつか作ったよ。これからどうやってプロデュースしていくか考え中さ」

このプロジェクトが完成したら、日本をはじめ海外でもアートショーを開催する可能性も秘めているよう。さらなる活躍に目が離せない。

アトリエを離れてリフレッシュできるサーフトリップ中のひとコマ。ジェフには不可欠な時間だとか

陸では手入れの行き届いた〈ベスパ〉で風を感じるのが楽しみ。寒い冬でもキッズと一緒に街クルーズへ!

●ホームポイントはココ!
オーシャンビーチ[OCEAN BEACH]サンフランシスコを代表するポイントのひとつ。ビーチブレイクだが基本的に波が上がり、レフト&ライト両方楽しめる。西のスウェルと東からのオフショアの風が入るとコンディションのいい波に。冬は大幅にサイズがアップ!

 
Information

雑誌『Safari』5月号 P218~219掲載

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photo : Kanoa Zimmerman text : Momo Takahashi(Volition & Hope)
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