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2021.01.03


【山中亮平】未来をかけて臨んだ大会でのミスが躍進のきっかけ! 緊張が生んだノックオンが日本代表の切符に!

ラグビーワールドカップ2019日本大会で、はじめてW杯のグラウンドに立った山中亮平。代表メンバーとして、試合で躍動する自信に満ちあふれた姿。そんな彼を作るターニングポイントとなった試合は、ひとつのミスからはじまった。

RYOHEI YAMANAKA
TURNING POINT
2019年8月10日
ワールドラグビー
パシフィック・ネーションズカップ2019
VS アメリカ代表

日本代表チームが史上初の8強進出という快挙をなし遂げ、日本中が熱狂したラグビーワールドカップ2019日本大会。激闘を繰り広げたその1次リーグの全試合に最後尾を固めるフルバックとして出場し、4戦全勝という快進撃に大きく貢献したのが山中亮平だ。実はこの大会の開幕戦となったロシア戦は、山中が悲願のW杯初出場を果たした試合だった。早稲田大学時代から将来を嘱望されながら、31歳にして桜のエンブレムが輝くジャージを纏うことができた記念すべき一戦だ。しかし、彼の記憶に強く刻まれている試合は別にあった。W杯の前哨戦として3カ月前に戦ったパシフィック・ネーションズカップ2019。その大会の最終節のアメリカ戦だ。意外かもしれないが、実は山中はこの大会直前まで試合に出られるかどうかがわからない当落線上にいる選手だった。大会のスコッド(代表に選出される可能性のある強化選手)には入っていたが、この試合までメンバー外だったのだ。

「このアメリカ戦は、その年ではじめて日本代表の試合に出場できた一戦。8年ぶりの大会優勝に王手をかけた大事な試合であったと同時に、この試合で活躍できるかどうかでW杯の最終メンバーに残れるかどうかが決まる。そんな重要な試合でもありました。だから、ここで結果を出さなければならないという強い思いがありました。絶対にミスをしてはいけない。そんなプレッシャーもありましたね」

ところが前半早々、その“してはいけない”と思っていたミスを犯してしまう。

「前半20分くらいのことだったと思います。普段なら簡単に取れる相手からのキックを落としてしまい、ノックオン(ボールを前方に落としてしまう反則)してしまったんです。相手チームの選手からのプレッシャーも全くない状態だったにもかかわらず。今思えば、自分でも気づかないくらい緊張していたんですね。メンタル的にもそうですが、身体もガチガチになっていたんだと」

いつもの試合ではしないような失敗をしてしまう。そんな強烈なプレッシャーに晒されるということは、それだけ山中がこの試合に懸けていたものが大きかったのかもしれない。確かに、この試合で日本代表入りを果たすまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。ラグビー名門校の東海大仰星高校と、早稲田大学で全国優勝の中心選手として活躍。大学在学中に日本代表にも選出。しかし、2011年の日本代表候補合宿中のドーピング検査で陽性反応が出てしまう。口髭の育毛剤に含まれていた成分が違反とされ、2年間の資格停止処分に。復帰した後も日本代表にはなかなか届かず。しかし、諦めずに一歩一歩前に進み続け、’18年には神戸製鋼コベルコスティーラーズの18年ぶりの日本一に貢献。また、日本ラグビーの強化を目的に国際リーグのスーパーラグビーで戦う、サンウルブズの選手にも選ばれた。結果を出し続け、目の前のハードルをクリアしてきた。

「サンウルブズでいいプレイができていたので、その分、選ばれた日本代表でアピールしたい気持ちも強かった。それがアメリカ戦での緊張として出てしまったんだと。でも、失敗したことで気持ちが吹っ切れました。一度ミスをしてしまったんだから、思い切ってプレイしよう。そう気持ちを切り替えられました」

逆にミスを恐れずにプレイできるようになった山中は、グラウンドで躍動。後半開始早々、田村 優との見事な連携で相手チームのディフェンスを攻略し、そのままトライをゲット。さらに、後半15分には自陣から好走をした山中からボールがつながり、リーチマイケルがフィニッシュ。日本代表は3戦全勝の優勝で大会を締めくくった。そして、この試合で力を証明した山中は、W杯で桜のジャージを着て戦う権利を勝ち取ったのだ。

「自分の役割をまっとうできたと同時に、大舞台でプレッシャーに対応する経験を積むことができた。今、トップリーグでも自信を持ってプレイできているのは、この試合での経験のおかげだと思っています。その一方で、フィジカルが強い海外チームと戦うときにボディコンタクトで体力を消耗するなどの課題も見つかりました。新しいシーズンに向けてクラブチームの練習もようやく本格化したので、現在はそうしたまだ成長できる部分のレベルを上げる練習に取り組んでいます」

どんなに遠回りになっても、目の前にある課題を越え、階段を上り続ける。そんな山中のスタイルは、今までもこれからもずっと変わらない。

ラグビー選手
山中亮平
RYOHEI YAMANAKA
1988年、大阪府生まれ。東海大仰星高校と早稲田大学で活躍。2010年にアジア5カ国対抗のアラビアンガルフ戦で日本代表初キャップを獲得。’11年に神戸製鋼コベルコスティーラーズ入団。’18年にはスタンドオフからフルバックに転向し、さらに才能を開花させる。


TAMURA'S NEW WORK[浅田真央]
バレエ教室に通いはじめた3歳から2度のオリンピック。そして感謝の気持ちを込めて全国ツアーを行う現在に至るまで、浅田さんの軌跡を今にも動き出しそうなタッチで表現した

作品は、日刊スポーツの見開き一面にも掲載


浅田さんに直接会い、作品をサプライズでプレゼント!

「浅田さんの30年はみんなの30年」
今回紹介する田村 大の作品は、フィギュアスケート元世界女王・浅田真央。彼女のスケート人生における印象的なシーンを、16枚のイラストで再現した力作。

「9月25日に30歳の誕生日を迎えた浅田さんを祝う作品として、描かせていただきました。浅田さんは多くの人に愛され、感動を与えた国民的なアスリート。きっとみなさんが、それぞれの思い出を持っていると思うんです。だから、浅田さんの軌跡を振り返りながら、みなさんの30年間を思い出しながら見てほしい。そんな気持ちも込めて描きました」

描いていて、印象に残ったことは?

「演技を終えたときの表情ですね。特にうまくできたときは、重圧から解放されたような優しい表情なんです。男性アスリートの猛々しさとはまた違う、美しさを感じました。そんな女性らしい表情や仕草も楽しんでもらえたら嬉しいですね」

アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会、ISCAカリカチュア世界大会で総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。海外での圧倒的な知名度を誇る。Instagram:@dai.tamura

 
Information

雑誌『Safari』1月号 P206~208掲載

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イラスト=田村 大 文= 遠藤 匠
illustration : Dai Tamura  text : Takumi Endo  photo by AFLO
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