ベースは海外ドラマのシックなアメリカンスタイル
自分の城を持つなら、とことんこだわり抜きたい。長く過ごす場所だからこそ、妥協のない空間にしたい。そんな家主の強い思いがこめられた西海岸テイストのコンセプチュアルな部屋を紹介。第1回の今回は、ミッドセンチュリーインテリアに惚れこんだ放送作家の家。スケールの大きいアメリカンサイズが、やりたいことをすべて受け止める!
- SERIES:
- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.01
今月の部屋 田中邸/5LDK/235㎡
リビングの照明は、福生のヴィンテージショップで購入したもの。造り付けの家具にはブルーとグリーンの2色をアクセント使いし、間接照明の柔らかい光とともに、武骨なコンクリートと石張りの空間に温かみを出している
地上の住まいと地下の仕事場。目的が違うので、あえて内装は別のインテリアデザイナーにオーダーしたが、共通するのはミッドセンチュリーなインテリアとフランク・ロイド・ライトの落水荘を彷彿させる壁。職人による唯一無二の乱張りの壁は、ラグジュアリーな空間の要だ。ソファやTVボードなど、大型家具はオーダーの造り付け。施主が愛する世界観に沿ってデザインされているだけに、集めていたヴィンテージの家具が見事にハマる。原体験は幼少期に見た、1960年放送の『奥さまは魔女』。それ以来ベースにある好きなものは、ミッドセンチュリー&アメリカンだった。
「家族の増減など、住人の生活の変化に合わせられる、流動的な家が理想」と考え、フロアを仕切らずスキップにし、広い空間を分割。互いの気配を感じながらも個々の時間に集中でき、アメリカンサイズの大きな家具を置いても圧迫感がない。家には変化はまだないが、現在ビルを1棟購入し、リノベーションの真っ只中。その中には映画館もあり、現在施主が製作中のドキュメンタリー作品などを公開する予定。ダイナミックなインテリアに囲まれた暮らしは、スケールの大きな仕事ぶりにいい影響を与えている。
01 仕事場全体を見渡せる窓辺のクラシカルな社長席
地下の仕事場も3層構造のスキップフロア。デスクや棚、ソファは仕事場の内装を手掛けたハウストラッドによる造り付け。デスクチェアは〈ジロフレックス〉で統一。30人ほど入る空間なので、制作した番組や映画の上映会やちょっとしたイベントも開催する
02 ホテルをイメージした落ち着きあるベッドルーム
地下空間のロフト的な場所に位置する施主の寝室。乱張りで揃えず、ベニヤ板を組み合わせて軽さを出し、キャビン調に仕上げた
03 玄関の大きなドアはオールドアメリカンなグリーン
玄関の巨大な扉はヴィンテージライクなグリーン。コンクリートの打ちっぱなしによく映える
04 自然光がたっぷりの開放的なバスルーム
バルコニーへの掃き出し窓と天窓からの採光で、明るく気持ちのよいバスルーム。バスタブはアメリカンスタンダード社
05 アメリカンダイナーサイズのテーブルが鎮座するダイニング
約2 . 5×1 . 5mのダイニングテーブルとコの字型のソファはアメリカンダイナーさながら。3つの〈トム・ディクソン〉のペンダントランプが唯一の直接照明
INTERIOR POINT
幼い頃からの夢だったアイスディスペンサー付き冷蔵庫
冷凍室を開けずとも氷をサーブできる、発明王エジソンが設立したGE(ゼネラル・エレクトリック)のアイスディスペンサー付き冷蔵庫。ドラマ『奥さまは魔女』で見て以来、いつか家を建てたらこの冷蔵庫を置きたい、という施主の夢を叶えた。冷蔵庫はキッチンの中でも特に存在感のある大型の白物家電。少しでも生活感を払拭できるよう、表面にレザー風のパネルを張った高級感のあるタイプをチョイス。このほか、ガスレンジをはじめ目に見えるキッチン家電はすべてアメリカ製で揃えた。筋の通ったトータルコーディネートがこの家のインテリアを完壁に仕上げている
●ハウストラッド
TEL:03-6412-7406
URL:www.housetrad.com
雑誌『Safari』5月号 P312・313掲載