水平ラインと素材の魅力がミックスされたロイド的空間!
お気に入りの定宿は、荷を解いたときにほっとするくつろぎと自分だけの特別な場所がある高揚感を与えてくれる。髙橋邸のLDKはまさにそんな場所だ。生活感を排しながら、包み込むような心地よさを感じさせる。それは、深い色味とシンプルなラインを際立たせたデザインがあるからこそ。
- SERIES:
- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.43
髙橋邸/1LDK/60㎡
ダイニングテーブルは奇をてらわないシンプルなデザインと、無垢の木目の美しさで、長年の愛用品。天板を広げれば10人ほどがかけられるサイズ。木が生きる空間によく映える
近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトは、水平線を強調した佇まい、ゆるやかに繋いだ空間、機能的で普遍性のあるデザインに特徴のひとつがある。ライトが好きという髙橋邸はまさに、そんなロイド的世界観を感じさせる。築30年以上になるマンションを購入し、フルリノベーションした住まいだ。
ひき板を張り巡らせた深いブラウンの壁と、温かみのあるクリーム色の絨毯は、和も洋も受け入れる包容力があり、クラシックホテルの趣。建物全体がセントラルヒーティングでエアコンを天井に内蔵しているため、部分的に折り上げ天井になっていたことも奏功した。折り上げ部分は木張りに。LDKの平板になりがちな天井部に、シャープな横のラインが生まれる。そこに丸みのある〈ジョージ・ネルソン〉のソーサーバブルペンダントを吊り、空間にギャップを作った。
キッチンとワークスペースを緩やかに分けているのは、板張りを施した建物の構造柱だ。実はキッチンの上部も、吊り戸棚に合わせて梁部分を板張りにしている。フルリノベでも取り払ったり動かしたりすることができない構造部分を取り込んだ統一感のあるデザイン。収納扉などの建具もすべて天井までのハイドアにして、視界を狭くする垂れ壁を設けないなど、細部までこだわった作りで、空間の完成度を上げている。
寝室からクローゼット経由でキッチンへと続く回遊動線など、ゆるやかに空間を繋ぎ、「どこにいても行き止まりを感じないので、朝の仕度が重なるときもストレスがありません」と髙橋さん。
夫妻のワークスペースはLDKの一角にありながら、水平に延びた端正な書棚とデスクは気持ちの切り替えにもひと役。仕事に集中したり、日当たりのいい窓辺でくつろいだり、どこにいてもお気に入りの空間で満ちている。
01 構造柱を利用したワークスペース
キッチンとワークルームは構造柱を隔てた並びの配置。デスクと書棚の描く水平ラインが横の広がりを感じさせる。デスク前にある2脚の椅子は〈カステリ〉と〈オカムラ〉が日本市場用にDSC 106をリペアしたもの。スタッキングできる機能性と’60年代のレトロな空気と存在感がお気に入り。
02 ガラスの室内ドアが光のパサージュを作る
玄関を入ると、正面のガラスドア越しにLDKからの光が届き、温かく帰宅を迎え入れる。
03 ベッドルームは内装の質感と色でプチ変化!
コンパクトにまとめられた寝室は質感のある壁紙を採用。クローゼット経由でキッチンに抜けられる回遊動線になっている。
04 設備のセレクトでパウダールームを上質空間に!
ガラスで仕切り、開放感を出したパウダールーム。バスには〈グローエ〉のレインシャワーを付け、洗面シンクは〈デュラビット〉。
ソリッドな質感のコーヒーテーブル
太さの異なる三角を組み合わせた幾何学的な脚組みと、マットに仕上げた丸い天板が個性的な〈オカムラ〉の“ネル”。シンプルかつコンパクトで、ソファやベッド脇にはちょうどよく、読みかけの本などちょっとしたものを置ける。今は、日当たりのよいLDKの窓辺に置いてグリーンスタンドとして使用。小ぶりな鉢を置いてもサマになり、大きなグリーンを置いても安定感がある。
「以前の住まいは将来の取り壊しが決まっている2年限定の賃貸でした。当初は近隣で探したのですが、家賃が高かったためエリアを変えて探したところ、まさかの千代田区内の方が安い物件があったんです。バスルームの位置なども変更してフルリノベした結果、暮らしやすさだけでなく、自分たちらしい空間が実現できました」
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雑誌『Safari』2月号 P202~203掲載
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