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2025.12.30 NEW


【年末恒例】今年はどんな一年だった!? 2025年の映画界を振り返り!



2025年も間もなく終わろうとしているが、どんな映画やスターとともにこの一年が記憶されるのか、改めて振り返っておきたい。

まず大ヒットという点で強烈なインパクトを残したのが『国宝』だろう。実写の邦画として、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の持っていた興行収入記録の173.5億円を22年ぶりに更新。『国宝』は6月公開ながら、12月の現在も動員ベストテン内にランクイン(一度は11位以下に落ちるも復活)しており、興収200億円近くに到達しそうな気配で、年末の流行語大賞に絡むなど社会現象となった。次のアカデミー賞でのノミネートの期待もあり、今年の興収トップである『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』以上に、『国宝』ブームは連日のニュースで盛り上がった。

洋画に目を向けると、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(52.7億円)、『モアナと伝説の海2』(51.7億円)、『ジュラシック・ワールド』(49億円)が日本国内興収のトップ3で、世界興収でも好調の『リロ&スティッチ』、『マインクラフト/ザ・ムービー』、『ウィキッド ふたりの魔女』あたりも日本で大ヒットした。シリーズものや、ゲームや舞台ミュージカルが原作など、多くの人におなじみの題材が並んでおり、“絶対に面白いとわかっている作品を観る”という傾向がますます加速している。だからこそ、その傾向を覆した『国宝』の大ヒットはサプライズとなった。

『ミッション〜』が洋画の1位になった大きな要因のひとつは、トム・クルーズの来日キャンペーンだろう。2年前のシリーズ前作の際、俳優組合ストライキの影響でトムは来日できなかった。その分を挽回すべく、東京都庁前広場での異例&ド派手イベントを開催し、メディアでも大きく取り上げられた。そのトムの来日が5月で、その直後の6月にはブラッド・ピットが主演映画『F1/エフワン』の公開に合わせて急遽、来日が実現。両作ともに彼らの持ち味が最大限の“スター映画”であり、さらにもう一人の大スター、レオナルド・ディカプリオの主演作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が10月に公開。同作はアカデミー賞に向けた賞レースの本命として、レオの代表作となった。このように2025年は“ハリウッド3トップ”の主演作が立て続けに世界を熱狂させたことになる。また、大物の来日といえば、11月下旬、8年半ぶりにジョニー・デップが大きな話題を振りまいた。
 

  

 
久しぶりと言えば、かつての人気スターたちの“復活”も2025年の重要なトピック。『ゴースト/ニューヨークの幻』などで1980〜90年代に大人気だったデミ・ムーアが、センセーショナルな主演作『サブスタンス』によって久々に大注目を浴びた。アカデミー賞では主演女優賞にノミネート。惜しくも受賞を逃したものの、キャリアが一気に好転した。同じくヒュー・グラントも自身のイメージを変えたホラー映画『異端者の家』で数多くの賞にノミネート。『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』で、人気シリーズの新作に復帰し、65歳にして再ブレイクの年となった。一時は完全に俳優業を引退していたキャメロン・ディアスも、約10年ぶりに映画に復帰。『バック・イン・アクション』で、ブランクを感じさせないアクションを披露した。

一方で彗星のごとく現れたニュースターが、『ワン・バトル・アフター・アナザー』でレオナルド・ディカプリオの娘を演じたチェイス・インフィニティ。映画初出演とは思えない存在感で、今後の活躍が期待される。男優では『ヒックとドラゴン』『ブラックフォン2』と出演作が相次いだメイソン・テムズが、まだ18歳ながらハリウッドのトップの仲間入りを果たしたと言える。

また、2025年の話題ということで“右肩上がりのロングランヒット”も挙げておきたい。通常、映画のヒット作は公開1週目の数字が重要。そこからゆっくりと興収が落ちていくのが常識だが、逆に2週目、3週目に動員を伸ばす作品が、今年は目についた。邦画では『366日』、『ファーストキス1ST KISS』、『爆弾』、『栄光のバックホーム』などで、観た人の好反応が口コミ、SNSで広がり、観客をじわじわ増やすパターン。『国宝』だけでなく、中ヒットの作品にもこのケースが多くなった。洋画でも、1月公開の香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が上映館を拡大して息の長いヒットを記録。アカデミー賞に合わせて3月に公開した『教皇選挙』は、現実でのローマ教皇の死去と次の教皇を決めるコンクラーベが偶然にも重なり、ゆっくりと順位を上げて予想外の興収を達成した。

その反面、ヒットが期待されながら、残念な結果に終わった作品もいくつか。邦画では、『国宝』に続き、長尺の力作として注目された『宝島』や、これまで確実に広い支持を集めてきたアニメ界の重鎮、細田守監督の新作『果てしなきスカーレット』は早い段階で失速した。日本のアニメは、原作のないオリジナル作品のヒットがますます難しくなっている。洋画では、『ゴッドファーザー』などの名匠、フランシス・フォード・コッポラ監督が私財を投げ打って撮った超大作『メガロポリス』は、日本でも大きな話題にならず、静かに公開が終了。世界興収では年間ベスト10内に入る『ヒックとドラゴン』も日本ではまったく当たらず、ここ数年の“洋画離れ”を象徴することに。

洋画離れという点では、ハリウッドのメジャースタジオで『ハリー・ポッター』シリーズなどで知られるワーナー・ブラザースが、日本での配給を他社(東和ピクチャーズ)に委譲。ワーナー日本支社は、邦画の製作・配給のみとなり、事実上、日本の映画会社となる。また、そのワーナーの大元、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーがネットフリックスに買収されるなど、映画業界は大きく揺れ動いている。

最後に、2025年にこの世を去った映画界のレジェンドたちを改めて振り返っておこう。

ジーン・ハックマン、ロバート・レッドフォード、テレンス・スタンプ、ダイアン・キートン、ロブ・ライナー監督、仲代達矢、原田眞人監督……。中でも『スタンド・バイ・ミー』を撮ったロブ・ライナーが息子に殺害されるという事件は映画ファンにとっても衝撃だった。名作を残した彼らに哀悼の意を捧げたい。

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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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