秋の味覚を味わうなら、日本料理に新風を吹き込む新料理長就任で注目の日本料理〈山里〉で!
〈オークラ東京(The Okura Tokyo)〉といえば、和洋中の一流レストランが勢揃いした都内でも屈指の美食ホテルだ。それぞれでオークラの伝統を継承した素晴らしい料理が味わえるのだけれど、最近大きな変化があったのが日本料理〈山里〉。なぜなら、20年ぶりに世代交代が行われ、2023年4月に第5代料理長として大森朗弘さんが就任したからだ。
料理長の大森朗弘さん
大森さんは1989年ホテルオークラに入社し、2003年には〈オークラ千葉ホテル〉和食料理長にグループ内最年少で就任したという輝かしい実績をもつ。前任者の澤内 恭さんから薫陶を受けて〈山里〉の日本料理を知悉(ちしつ)。〈山里〉の心や伝統を大切にしつつも、さらなる発展のために、日本料理という枠を超えて新しい風を入れようと尽力している。
この大森さんの新しいスタートを記念して、2023年11月30日まで“料理長就任記念特別会席”(3万円)が提供されている。前菜、お吸物、お造り、焼物、煮物、止肴という料理6品に、“お食事”、“お食後”という構成で、大森さんの哲学がいかんなく表現されたコースに。
“料理長就任記念特別会席”より、前菜
前菜は3品構成になっていて、柿の器や青柚子の器がつかわれていて風情がある。前者ではまろやかな柿の白和えを、後者では柚子をアクセントにした燻した鮭と筋子の味噌漬けを提供。奥には白板昆布を合わせた鯖の棒寿司があり、シャキシャキとした“もって菊”が添えられている。
“料理長就任記念特別会席”より、お吸物
お吸物は、旬の松茸をふんだんに用いた土瓶蒸し。繊細な滋味が溶け込んだスープを飲んでから、具材は別にいただく。松茸、鱧、銀杏と最旬を賞味できるのが乙。三つ葉の青い香りが心地よく、フレッシュな酢橘を絞れば、味変もできる!
“料理長就任記念特別会席”より、お造り
鮮度抜群なのが、お造り。脂がのった秋の鯛=“紅葉鯛”、赤身が旨い本鮪、とろっと口溶ける甘海老、潮の薫りをまとう北寄貝と、バラエティに富む。
“料理長就任記念特別会席”より、焼物
焼物は、炭火コンロ仕立ての朴葉焼き。食味に優れた真名鰹を〈山里〉オリジナルの自家製味噌で焼き、その旨味をより深めている。アワビ茸やマコモダケが合わせられ、食感のよいコントラスト。
“料理長就任記念特別会席”より、煮物
煮物は甘味があってもっちりとした海老芋の揚げ出しが主役。磯の香りをまとった雲丹(うに)の天ぷら、頭も身もつかった海老の天ぷらも添えられていて、とっても豪華なお椀に仕上がっている。
“料理長就任記念特別会席”より、止肴
メインディッシュの止肴は和牛みすじ肉のすき焼で、黄味あんにつけて食すのがいい。サシが適度に入った厚みのあるみすじ肉に、至味を携えたまるごとの松茸、シャキシャキとしたささがきごぼうと九条葱が最強のコンビネーション。
“料理長就任記念特別会席”より、“お食後”
“お食後”は“季節の果物盛り合わせ”に加えて、この夏に好評だった大根のソルベも登場。大根おろしに火を入れてからソルベにしているので辛味がほとんどなく、大根の香味だけが堪能できるもの。最後のデザートまで、大森さんのこだわりメニューが続くのは心憎い。
素材の持ち味を引き出した大森さんの料理はオークラオリジナルのお酒と相性がいい。辛口シャンパーニュを世界で初めて造り出した〈ポメリー〉と協業した“ポメリー ブリュット オークラ エイジング”(3300円/グラス)は、マグナムボトルなのでまろやかな味わい。クリーミーな泡が特徴で、日本料理にも寄り添う一本。“龍力 純米大吟醸 山里”(4800円/1合)は、旨味がありながらも香りが落ち着いており、特に魚介類との相性が抜群。
隣を気にせず、食事と会話を楽しめるダイニング
〈山里〉のダイニングには36席があり、ゆったりとした配置になっているので、隣の席を気にせずに過ごせる。個室も5部屋用意されているから、プライベートな空間が必要な時には利用するといい。
名門日本料理の〈山里〉に新しい料理長が就任したのなら、気にならない人なんていないから、彼女も喜んで一緒に行ってくれると思うよ。
●〈オークラ東京(The Okura Tokyo)〉日本料理 山里
住所:東京都港区虎ノ門2-10-4 オークラ東京 ヘリテージウイング4F
営業時間:朝食 7:00~9:30(土・日・祝日~10:00)、ランチ 11:30~14:30、ディナー 17:30~21:30
定休日:祝日・祝前日を除く火・水曜は朝食のみ営業
TEL:03-3505-6070
URL:https://theokuratokyo.jp/dining/list/yamazato/
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。