隠れた名作アクション映画5選!
映画の中で人気のジャンルのひとつがアクション。激しいバトルに、手に汗握る展開という、痛快さと緊迫感がその魅力。今回は、そんなアクション映画の中でも、公開から時が過ぎたことで、世間的にはあまり知られなくなった名作を5本ピックアップ!
『ストリートファイター』
製作年/1975年 監督・脚本/ウォルター・ヒル 出演/チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ジル・アイアランド
拳ひとつで生きる男のドラマ!
舞台は1930年代、大恐慌時代のアメリカ、ニューオリンズ。流れ者のチェイニーはストリートファイトのマネージャー、スピードに売り込み、試合に出て難なく相手を倒す。その後も連戦連勝を続ける彼に悪徳マネージャーが目を付け、スピードを拉致。チェイニーは彼を救い出すため、シカゴからやって来た最強の拳闘士と戦うことになる。
後に『ザ・ドライバー』『ストリート・オブ・ファイヤー』などアクションの快作を放つウォルター・ヒル監督のデビュー作。肉弾相打つストリートファイトを克明にとらえながら、大不況の厳しい時代を拳ひとつで生きる男のドラマを紡ぐ。主演を務めたチャールズ・ブロンソンは当時54歳だが、鍛え抜かれた筋骨隆々のボディに説得力を宿らせ、タフな殴り合いを熱演。当時の妻ジル・アイアランドとの共演や、スピード役にふんしたジェームズ・コバーンの妙演など、役者陣のキラリと光る個性にも注目。
『ガントレット』
製作年/1977年 監督・出演/クリント・イーストウッド 脚本/マイケル・バトラー、デニス・シュリアック 出演/ソンドラ・ロック、パット・ヒングル
クライマックスの銃撃戦がスゴい!
アリゾナ州フェニックスの市警に勤務する刑事ベンは、裁判の証人となった娼婦マリーをラスベガスから護送する命を受ける。それは簡単な任務のはずだったが、マリーを保護するや何者かが襲撃を開始。警官までもが彼らを銃撃してくる。実はマリーは警察上層部にとって都合の悪い証人であり、そのせいで命を狙われていたのだ。ベンは彼女を守りながら、バイクやバスを奪い、命懸けでフェニックスを目指す。
1970年代のクリント・イーストウッドは『ダーティハリー』シリーズで絶大な人気を獲得していたが、本作で演じた刑事ベンは同作のタフなアウトロー刑事とは対極にある。大事件に関わったこともなく酒浸りで、年金生活だけを楽しみに閑職に携わっている男。そんな彼が危険な任務の中で、使命感に目覚めていく。勝ち気なマリーにふんした当時の恋人ソンドラ・ロックと体現する、ロマンスのドラマも見どころだ。
『チャンプ』
製作年/1979年 監督/フランコ・ゼフィレッリ 脚本/ウォルター・ニューマン 出演/ジョン・ヴォイト、フェイ・ダナウェイ、リッキー・シュローダー
ジョン・ヴォイトがボクサー役を熱演!
ボクシングの元世界王者ビリーは今や落ちぶれ、酒とギャンブルに溺れ、妻にも逃げられた。8歳になる息子TJだけが、彼を“チャンプ”と呼び慕い続けている。借金を背負い、ケンカ沙汰で落ちるところまで落ちたビリーは、そんなTJのために、もう一度リングに上がることを決意。ハードなトレーニングを積み重ね、ついにタイトルマッチへの挑戦権を手にする。やがてTJや元妻が見守る中、死闘のゴングが鳴った……。
1931年の同名映画を『ロミオとジュリエット』のフランコ・ゼフィレッシ監督がリメイク。『帰郷』でアカデミー主演男優賞を受賞したジョン・ヴォイトが体重を絞り、すべてのファイトシーンをこなす熱演を見せる。試合の場面は、もちろん見どころだが、親子の絆を見つめたドラマも“泣ける”と好評を博した。TJにふんして俳優デビューを飾った子役のリッキー・シュローダーの愛らしさも光り、劇場公開時には日本でも人気者に。
『ハンター』
製作年/1980年 監督/バズ・キューリック 脚本/テッド・レイトン、ピーター・ハイアムズ 出演/スティーブ・マックィーン、イーライ・ウォラック、キャスリン・ハロルド
縦横無尽のチェイスシーンが見どころ!
保釈中に逃亡した犯罪者を追跡し、捕らえる凄腕のバウンティハンター、パパ。とある犯罪者の恨みを買った彼は、同棲中の恋人ともども命を狙われ、危険にさらされることに。そんな折、凶悪犯の捕獲を依頼された彼はロサンゼルスからシカゴへと飛び、手ごわい敵を追いつめていく。
『大脱走』『パピヨン』で知られる、時のアクションスター、スティーブ・マックイーンの遺作。日本ではなじみのない米国の職業“賞金稼ぎ”にスポットを当てて、手に汗に切る物語を展開させる。撮影時にはすでに闘病生活をおくっていたマックイーンだが、劇中ではとにかく若々しい立ち回りを見せる。とりわけ、民家の屋根から電車、立体駐車場へと舞台を変える縦横無尽のチェイスシーンはスリリングな見せ場。主人公パパは独身貴族を謳歌しており、妊娠している恋人とは関係がぎくしゃくしたりするが、そんなドラマ面での面白さも見どころとなっている。
『カリフォルニア・ドールズ』
製作年/1981年 監督/ロバート・アルドリッチ 脚本/メル・フローマン 出演/ピーター・フォーク、ヴィッキー・フレデリック、ローレン・ランドン、バート・ヤング
女子プロの世界を描いた秀作!
女子プロレスの世界での成功を夢見て、マネージャーのハリーとともにドサ回り生活をおくっているタッグ・チーム、カリフォルニア・ドールズ。ギャラを値切られたり、泥レスの見世物にされたりしながらも、彼女たちはビッグマッチへの出場のチャンスをつかむ。対戦相手は、これまで何度か戦ってきたトレド・タイガース。反則もいとわず、レフリーをも味方に付ける、この宿敵に、ドールズはどう挑むのか!?
『ロンゲスト・ヤード』などで知られる男気映画の鬼才ロバート・アルドリッチの遺作にして、女子プロレスの世界をユーモラスに、アツく描いた秀作。ヒロインたちのひたむきさに、ハリーにふんした『刑事コロンボ』のピーター・フォークが醸し出す軽妙な空気が噛み合い、ドラマは人間味あふれるものに。もちろんレスリングシーンは迫力満点で、乱闘にまで発展するクライマックスは圧巻。当時、日本の女子プロレス界で活躍していたミミ萩原&ジャンボ堀を相手にしたヒロインたちの戦いぶりも必見!
photo by AFLO