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CULTURE カルチャー

2025.04.26


Vol.28 松坂大輔/平成の怪物からDice-Kへ 前編【MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡】

 

  

 

松坂大輔(まつざか だいすけ)/1980年9月13日生まれ、東京都出身。日米通算170勝108敗2セーブ3ホールド(1999〜2021年)

甲子園で初めて150キロを超える速球を投げ、“平成の怪物”として注目された横浜高校時代。3年生で迎えた夏の大会では、PL学園戦での延長17回250球の完投勝利や、史上2人目となる決勝戦(対京都成章)でのノーヒットノーラン達成などの大活躍。その夏の松坂大輔の勇姿は、老若男女を問わずあらゆる日本人の記憶に刻まれた。

おおいに注目の集まった1998年のドラフト会議では、3球団の競合を経て西武ライオンズ(当時)が交渉権を獲得。本人は横浜ベイスターズ(当時)への入団を希望しており、当初は社会人野球入りの意向を表明。だが東尾修監督らの粘り強い交渉によって軟化し、ライオンズへの入団が正式に決まった。

ライオンズでの活躍ぶりは多くを語るまでもないだろう。初登板で155キロを計測して初勝利(8回2失点)。高卒新人ながら16勝を挙げて最多勝に輝いた。第1期ライオンズ時代の8年間で108勝を積み上げ、最多勝を3度、最優秀防御率を2度、最多奪三振を4度獲得。また、新人賞、沢村賞、ベストナインなどの各賞も受賞している。まさに獅子奮迅の活躍だった(ライオンズだけに)。

そんな松坂がメジャー挑戦を訴えたのは、2005年のオフだった。代理人を立ててポスティング移籍の道を探ったが、球団側は行使を拒否。この年の移籍は断念せざるを得なかった。翌2006年オフ、ようやくポスティングシステムの行使が容認され、MLB数球団が入札に参加。ニューヨーク・ヤンキースなどとの競合を経て、ボストン・レッドソックスが当時のレートで60億円を超える金額で独占交渉権を獲得、6年の大型契約が締結された。
 

  

 

2007年4月11日、フェンウェイパークにてシアトル・マリナーズのイチローとメジャー初対戦。ピッチャーゴロに討ち取った

2007年のスプリング・トレーニングでは、松坂の持ち球であるジャイロボールがメディアの関心を集め、大輔と奪三振(K)をかけたDice-Kという愛称も定着。ファンの大きな期待を背負った。4月5日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦でメジャー初登板・初勝利。7回1失点10奪三振という圧巻の投球に、ライバルであるNYのメディアも称賛を贈った。また4月中にイチロー、松井秀喜といったメジャーの先輩とも対戦し、ともに無安打に抑えている。松坂は同年に入団した岡島秀樹とともに期待どおりの活躍を見せ、ボストンのファンの間にちょっとした日本ブームを生み出した。松坂が絶好調だった夏頃には、球場を訪れるファンの熱狂ぶりもピークに達した。
 

  

 

ワールドシリーズでは西武ライオンズで同僚だったコロラド・ロッキーズの松井稼頭央と対峙した

シーズン後半にはやや不調に陥るも、最終的に15勝12敗、防御率4.40、201奪三振という好成績。その一方で、リーグワースト6位の与四球率、MLBワーストの平均球数(108.8球)といった課題も露呈した。また、この年は日本人として初となるワールドシリーズでの先発登板を果たし、5回1/3を投げて勝利投手となった。チームはワールドチャンピオンを獲得し、松坂自身も新人王投票で4位に入っている。

続く2008年、東京ドームで3月25日に行われたオークランド・アスレチックス戦に開幕投手として登板。5回2失点で勝ち負けはつかなかった。本国開幕戦となった次の登板で初勝利を挙げると、以降は負けなしの8連勝を記録。非常に好調な滑り出しとなったが、5月末に右肩の張りを訴えて故障者リスト入り。約1カ月で復帰すると、順調に勝ち星を積み上げ、最終的に日本人シーズン最多となる18勝(リーグ4位)を記録した。この年は18勝3敗、防御率2.90(リーグ3位)という抜群の成績を残したが、相変わらず四球と球数が多く、メディアの評価も分かれるところとなった。
後編に続く

 
文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
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