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CULTURE カルチャー

2024.06.07

イーサン・コーエン監督作の公開で気になるアノことを聞いてみた!
「もしかして、コーエン兄弟の仲が悪くなったんですか!?」



映画ファンが“コーエン”という言葉を聞けば、コーエン兄弟を思い浮かべるはず。偽装誘拐と衝撃の殺人に、ちょっとズレた笑いも込めた犯罪ドラマ『ファーゴ』や、麻薬取引を巡って冷酷な殺し屋が暗躍するスリラーで、アカデミー賞作品賞に輝いた『ノーカントリー』など、コーエン兄弟が手がけてきた映画は、強烈なインパクトを残す傑作が数知れず。そして必ず兄弟2人の共同作業によって作られてきた。ジョエル(兄)&イーサン(弟)のコーエン兄弟は、コンビで世界の巨匠と認識されている。

しかし最新作『ドライブアウェイ・ドールズ』に、ジョエルの名前が……見つからない! これはイーサン・コーエンの単独監督作なのだ。そういえば2022年の『マクベス』は、監督・脚本のクレジットはジョエル・コーエンのみだった。

ガールフレンドと別れたばかりのジェイミーと、本当の自分を出せないタイプの友人マリアンが、配送の仕事を請け負ってアメリカ縦断のドライブに出る。しかし乗ったクルマには思わぬブツが隠されており、2人は凶悪なギャングに追われる、という物語。スリリングな犯罪ドラマに痛快なネタも盛り込んだ作りは、まさにコーエン兄弟作品のテイスト。それを今回、イーサンは妻であるトリシア・クックと脚本を書き、2人の共同作業で完成させた。

もうジョエルとのコンビは復活しないのか? どんな思いで妻と新作を撮ったのか? イーサン・コーエンに質問をぶつけてみた。
 

 

 
ーーコーエン兄弟が別々の作品を撮るようになったということで、映画ファンは2人の間に方向性の違いが生まれたのか、あるいは仲が悪くなったのかと心配していますが……。

「ケンカしたわけじゃありませんから安心してください(笑)。とりあえず現在は、それぞれ作りたい映画に専念しようと決め、一緒に仕事をするのを休んでいるだけです。今回の『ドライブアウェイ・ドールズ』はトリシアと一緒に脚本を書いたので、こうして最後まで共同で作ったのは自然の流れでした。次回作もトリシアと脚本を書き、ちょうど撮り終えたばかりですよ」

ーーコーエン兄弟作品では、監督に2人の名前がクレジットされることも多かったですが、今回はトリシアの名が入っているのは脚本と製作だけです。

「クレジットにあまりこだわってないだけです。ジョエルとの作品でも“ジョエル&イーサン”と私が2番目になっていたし、そこに文句を言うつもりもありませんでした。とにかく今回は、ジョエルとの仕事と同じように、トリシアとの共同作業だったのは確かです」

ーートリシアとの仕事は、ジョエルとの経験と変わらず、実質的に彼女も監督だったのですか?

「そうですね。脚本の執筆からキャスティング、実際の撮影、編集、ポストプロダクションと、すべてのプロセスを2人で一緒にこなす姿勢は、ジョエルもトリシアも同じでした。もちろん別人ですから、いろいろと違いはあります。でも具体的に違いを説明するのは難しいですね」
 

   

 
ーー主人公2人はレズビアンです。クィア=LGBTQを扱った作品にはテーマが深刻だったり、悲劇になったりするパターンを多く目にしますが、この作品は徹底的に痛快なノリで新鮮です。

「そこは、まさにトリシアのおかげです。彼女は(クィアのコミュニティとつながりがあるので)レズビアンのキャラクターや、それを取り巻く状況について、私が知らないことを作品に入れ込んでくれました。そんな感じで、おたがいを補い合って作品を完成させたんです」

ーーLGBTQ当事者の観客の反応はいかがですか?

「そこはあまり気にしませんでした。ジョエルと私の過去の作品にしても、ユダヤ人を主人公にすることが多かったりして、その意味では人種的な偏りを察知され、誰かを憤慨させるリスクはありました。ユダヤ人であることが言及され、そのイメージを壊すような映画で、本心から激怒されるケースは少なかったような気もするので」

ーーいずれにしても『ドライブアウェイ・ドールズ』は、肩の力を抜いて撮ったような軽やかな楽しさが貫かれています。オスカー監督で“巨匠”と呼ばれてもいいあなたは、あえて軽やかさを追求したのでしょうか。
 

  

 
「いま私は自由な気分で映画を撮ってる気がします。近い将来、本当の自分をカミングアウトできそうですよ(笑)。でもよく考えたら、これまでのジョエルとの作品もかなり軽くて、下品だったんですけどね……。それが高尚な作品と錯覚されてきたのかもしれません。だから今回の作品も本質的に私の方向性に従ってると言えます」

ーーでは、あなたはどんな目的で映画を撮ってるのですか? 特定の観客をイメージしていたりは?

「とても興味深い質問ですね。特定の観客層に向けて作っている意識はありません。かと言って、自分のために撮っているわけでもない。そういうスタンスなので、作品にどんな反応が届いても、あまりに気にならないんです。1本の映画を製作するのに、だいたい1年くらいかかりっきりになるので、完成すると『もう十分!』と満腹状態。その作品を頭から追い払いたくなっちゃうんです(笑)」

ーーアーティストとして映画作りの喜びは?

「アーティストという職業は、自分の仕事に打ち込んでいる時に喜びを感じるものでしょう。映画の場合は、多くの人と一緒に作り上げる部分がエキサイティングです。ただ私も、そしてトリシアも、アーティストと呼ばれるのは何だか違うような気がしますが」

ーー改めて妻のトリシアと映画を作って良かったと思うことを教えてください。

「ふだんの生活で私は毎日、彼女に感謝しています。ちょっとした天才だと感じることも多いですから。私は映画の現場で、カメラマンや俳優など多くの人と関わりながら『この人は仕事がうまい』と感じることが何度もあり、トリシアはそういうタイプ。とにかく任された仕事を上手にこなす人です」
 

  

 
ーー『ドライブアウェイ・ドールズ』から、あなたとトリシアは3部作の映画を構想しているそうですが、次の作品もレズビアンの探偵が主人公ということで、つながりがありそうですね。

「主演を務めるのも、本作と同じマーガレット・クアリーなんですが、まったく違う映画になると思います。今回は抑えめにしたラヴシーンも、もうちょっと過激に生々しくなってるし。ちなみにそこはトリシアの意向ですけど(笑)」

『ドライブアウェイ・ドールズ』6月7日公開
製作・監督・脚本/イーサン・コーエン  出演/マーガレット・クアリー、ジェラルディン・ヴィスワナサン、ビーニー・フェルドスタイン、コールマン・ドミンゴ、ペドロ・パスカル、ビル・キャンプ、マット・デイモン、マイリー・サイラス 配給/パルコ ユニバーサル映画
2023年/アメリカ/上映時間85分

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取材・文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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