予期しない結末が訪れる作品を5本セレクト。【ネタバレ】解説付きなので、ラストを知りたくない人はご注意を。なお、この5本以外にもどんでん返し系作品を紹介しているので、気になる人は【まとめ】まさかのエンディングに驚愕! どんでん返し映画45本!をチェックしてみて!
『ホワット・ライズ・ビニース』
製作年/2000年 監督/ロバート・ゼメキス 出演:ハリソン・フォード、ミシェル・ファイファー
超常現象? それとも人間の仕業!?
ロバート・ゼメキスが得意のCG技術をふんだんに用いたヒッチ・コック風サスペンス。研究者ノーマンと妻のクレアは、誰もが羨むような夫婦。しかし妻は、湖のほとりに建つ自宅でおかしな現象が相次いでいることに気づく。浴室の鏡に文字が浮かんだり、写真盾が倒れたりーーー。盾の裏にはマディソンという名の女性が失踪した記事が。ふと超常現象との繋がりを感じたクレアは、儀式によって霊を呼び寄せてみることに。その結果、記憶の奥に封じられていた、ノーマンとマディソンが浮気関係にあった過去が呼び起こされる。
【ここからがネタバレ】
クレアが夫を問い詰めると、彼はかつて浮気を暴露すると脅してきたマディソンを殺害し、遺体を湖に沈めたことを告白する。彼は真実を知ったクレアをも殺そうと襲い掛かるが、揉み合う二人を乗せたクルマは方向性を失い、湖の中へ。すると水底からマディソンの霊が現れ、ノーマンが息絶えるまで掴んで放さない。そうやって彼女は復讐を遂げ、再び水底へ戻っていくのだった……。“ノーマン”という名や“バスタブ”も『サイコ』のオマージュであるのを意識して楽しみたい一作。
『女神の見えざる手』
製作年/2016年 監督/ジョン・マッデン 出演/ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング
手段を選ばぬ頭脳戦に唸る!
主人公エリザベス・スローンは、ロビー活動のスペシャリスト。そのキャリアを見こんで銃規制に対する反対キャンペーンを依頼されるが、彼女はこれを断り、銃規制を推進するライバル会社へと移籍。結局、彼女の古巣の会社が銃規制反対キャンペーンを請け負い、両者は真っ向対決を繰り広げることに。常に相手の先を読むスローンは快進撃を続ける。しかし勝つためなら手段を選ばぬやり方には仲間内からも批判が噴出。さらに重要法案の投票が近づく中、敵側はスローンの個人攻撃を展開し、彼女は公聴会で倫理規定違反を問われることに……。
【ここからネタバレ】
公聴会の最終発言で彼女は“切り札”を放つ。実は彼女は、古巣を退社する際に信頼できる部下を密偵に残していて、この最終局面で自身が矢面に立たされるのも筋書き通り。注目が集まるこの場で改めて銃規制法案への指示を呼びかけ、さらにネット公開した映像によって、公聴会議長と銃規制反対派の癒着を暴露してみせる。騒動の甲斐あって法案は可決。自分は倫理規定違反で収監されながらも、彼女は身を切る形で結果を取ったのだ。
『アス』
製作年/2019年 監督/ジョーダン・ピール 出演/ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク
自分によく似た恐怖の訪問者がやってくる!?
『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールが、またも奇想天外な発想で観客を驚愕、震撼、熱狂させたサスペンス・ホラー。主人公アデレードら4人家族がバカンスを過ごすべく水辺の家で過ごしていると、その晩、彼らとそっくりの顔をした”テザード”という訪問者が現れ、襲いかかってくる。なんとかこれを撃退し逃げ延びる彼らだったが、TVのニュースによると同様の事件が全米中で発生中らしい。彼らは一体何者なのか? そしてこの凶行の目的は何なのか?
【ここからネタバレ】
かつて秘密裏に人間のクローンとして生み出されたテザードたち。しかしこの研究やがては忘れ去られ、その後もずっと地下で生き続けたテザードたちは、何年もかけて復讐の時を待ち構えていた……。死闘の末、自分そっくりのテザードにとどめをさしたアデレードだったが、ふと記憶の蓋が開く。かつて二人は幼少期、遊園地で遭遇したことがあり、その時気絶したアデリーンとテザードは入れ替わっていた。つまり生き残ったのはテザードの方。こうして人間が持つ二元性を浮かび上がらせながら映画は幕を下ろす。人の不幸は決して他人事ではない。すべては表裏一体で繋がっているのだ。
『ソードフィッシュ』
製作年/2001年 監督:ドミニク・セナ 出演:ジョン・トラヴォルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー
斬新な筋書きと映像表現に大興奮のアクション!
いきなりクライマックスから幕を開けるトリッキーな構成と、そこで生じる爆発の衝撃波をバレットタイム撮影で捉えた映像表現が話題となった新感覚アクション。そもそもの事のはじまりは、謎の男ガブリエル(ジョン・トラヴォルタ)が天才ハッカーのスタンリー(ヒュー・ジャックマン)をスカウトしたことに遡る。一味の狙いは政府の裏金を盗み出すこと。多額の報酬と引き換えに特殊ワームの開発を命じられたスタンリーだったが、作業を進める中でガブリエルの正体が、合衆国の脅威となるテロリストに制裁攻撃を仕掛ける狂信的な愛国者だと知る。その資金力を拡充するため裏金を手に入れる必要があったのだ。
【ここからがネタバレ】
娘を人質に取られたスタンリーは、一味の銀行襲撃に付き従わせられ、システムにワームを仕掛け、金の奪取に成功。だがその後、ガブリエルが逃げ去る間際、スタンリーは一瞬の隙をついてロケットランチャーを発射し、一味の乗ったヘリを爆破する。ガブリエルは死んだーーーかと思いきや、彼は死を偽装し、まんまとモンテカルロへ逃亡。スタンリーの反撃も最初から織り込み済みで、すべて彼の手のひらの上で踊らされていたのだ。
『サイド・エフェクト』
製作年/2013年 監督/スティーヴン・ソダーバーグ 出演:ルーニー・マーラ、ジュード・ロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム
予測不能な”副作用”ミステリー!
名匠ソダーバーグが4人の豪華俳優を配して贈る濃密なサスペンス。夫が逮捕されて以来、精神の不調を感じるようになった妻エミリー(ルーニー・マーラ)は、自ら運転するクルマで自殺未遂を起こす。担当医ジョナサン(ジュード・ロウ)は、エミリーの前主治医シーバート(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)から「新薬を使ってみては?」とアドバイスをもらい、さっそく処方。これが激しい副作用を引き起こし、エミリーは夢遊病のまま夫(チャニング・テイタム)を刺殺してしまう。心神喪失につき罪には問われず、精神科病棟へ収容される彼女。一方でジョナサンは、エミリーが症状を装っているのではないかと疑いはじめる。
【ここからネタバレ】
実は、エミリーはシーバートと結託し、夫殺しで罪に問われないために病気を装いつつ、さらに新薬の信用失墜に伴う株価の乱高下で大金を手に入れていた。ただし、彼女が外の世界へ出るには、主治医ジョナサンの承認が必要だ。彼はそれを逆手に取り、エミリーに盗聴器をつけさせシーバートの自白を引き出す。さらに主治医の指示に従わなかったという理由で、エミリーを精神科病棟へと強制入院。一連の事件で医師としての信頼を貶められた復讐を果たすのだった。
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