Safari Online

SEARCH

CELEBRITY セレブ

2022.06.19


【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!

世界で最も多くのレコードを売り上げ、キング・オブ・ロックンロールと称される男、エルヴィス・プレスリー。7月に映画の公開も控え、今再び脚光を浴びているアメリカン・レジェンドを、モーリー・ロバートソン流の新鮮なアングルで読み解く!


[エルヴィス・プレスリー]
Elvis Presley

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!エルヴィスは、好きな人と嫌いな人で評価が全く異なる人物です。好きな人にとっては、天使のように素晴らしい。嫌いな人にとっては、人種差別の象徴。その間の微妙なところの考察は、あまり見かけません。だから彼の音楽だけを取り出して話すのは、少しもったいない。なぜヒットしたのか、どういう社会背景で、どんな気持ちで人々が熱狂したのか、それを追体験したいですね。

エルヴィスを売り出した人たちは、いわゆる黒人音楽であるブルースやR&Bに商業的な可能性を感じて、この熱狂は白人の若者にも届くと考えた。映画『アメリカン・グラフィティ』に出てくるように、母親が「黒人音楽は聴くな」というのを、若者は親に借りたクルマでドライブインに行き、こっそり聴いていた。黒人音楽が隔離されていた時代に、その扉を開けたのがエルヴィスです。彼がいたからビートルズのサウンドがあったし、クラプトンやストーンズもあった。公民権運動は’70年代までもつれますが、音楽では先に強力な市民権を得ました。

ただ、それはエルヴィスの影響におけるソフトな面。ハードにいくなら、やはり黒人と白人の文化が隔離されていた背景を見なきゃなりません。当時のアメリカは戦後の好況に沸く一方、黒人は低所得の仕事に固定されていた。マーケット規模で考えると、黒人の音楽を白人に拡大するのは、ひとつの大きなヤマでした。そのための何人かいる候補の中で、エルヴィスがドンピシャだったわけです。

さらにこの時代は、プロテスタントの白人の、禁欲的に勤勉に働き、財を成して子孫繁栄みたいな、非常に実直なフォーミュラがありました。これに対して黒人は、“ジュークジョイント”と呼ばれるバーで泥酔したり、喧嘩したり、非常に享楽的だと。もちろん白人の偏見もありますが、当時のメディアではそう捉えられていた。だから白人プロテスタント的な勤勉さからすると、非常に恐怖感と嫌悪感があったわけです。でも、当時の若者が熱狂してしまうのは、まさにそのリズムやグルーブ、あるいはいかがわしさ。そのギリギリを攻めると儲かるぞ、と。健全な娯楽との紙一重、そこを巧みに突いていったのだと思います。音楽による快楽と熱狂があり、その一方では黒人街の近くに住みたくないというような差別意識がある。だから社会に不公平がある限り、エルヴィスはどうしても二面性をもって語られてしまうのです。

それからもうひとつ。エルヴィスは従軍体験を通して“オール・アメリカン・ボーイ”、つまり模範的なアメリカ人の代表になる夢をもったんじゃないかな。大人に眉をひそめられていた男が、正当な権威として市民権を得る。まさに白人プロテスタントの価値観に沿った、清い人物像です。スターに押し上げてくれたアメリカに報いたい気持ちと、そこにしがみつきたい気持ちと。もしかすると彼の中に、その筋道が見えていたのかもしれません。そういう意味でもエルヴィスは、アメリカの古きよき黄金期、でも期間としては短く、後に混迷や黄昏もある白人男性のアイデンティティが強烈に輝いた時代を象徴する人物なのです。

エルヴィスに関する個人的な思い出としては、メリーランド州のボルチモアでパンクバンドをやっていた頃のことが印象的です。当時、仲間で誰かの広い家に集まっては酔っ払っていたのですが、そこでずっとエルヴィスの最後のコンサートのビデオを流していた。もう完全にむくんじゃって、かろうじて歌っているエルヴィス。それを見て「これが人間の理想だ」と話していた3つ上のドラマーがいました。彼は本当にエルヴィスに憧れて、その生き方を実践した結果、昨年アルコール依存の合併症で亡くなりました。彼にとっては、晩年のダメになってしまったエルヴィスのほうがリアル。ある種のアンチヒーローだったんですね。

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!エルヴィスは1958年にアメリカ陸軍への徴兵通知を受け、いっさいの特例措置を受けることなく2年間の兵役についた。西ドイツの駐留部隊に配属され、ファンに迎えられる中’60年に帰国。後ろに写っているのは、“パーカー大佐”の通称で知られるマネージャーのトム・パーカー。映画『エルヴィス』ではトム・ハンクスが演じる

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!1959年に当時14歳だったプリシラ・アン・ボーリューと出会い、8年後の’67年に結婚。翌年には娘のリサ・マリーが生まれたが、’73年に離婚。ただ、離婚後も友人関係にあった

 エルヴィス・プレスリーの歴史 

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!全世界のレコード・カセット・CDなどの総売り上げは5億枚以上とされ、公式リリース音源は800曲以上。また、32本の映画出演作すべてに主演している。没後も、楽曲がカバーされたり、映画の題材になったりと、その影響力は計り知れない。

映画公開情報
『エルヴィス』

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!©2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
世界を一変させたエルヴィスの誰も知らなかった真実の物語。バズ・ラーマン監督に「エルヴィスそのもの」といわしめた、新星オースティン・バトラーの圧倒的な演技と歌唱に注目!
監督:バズ・ラーマン 出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス 7月1日(金)より全国公開 配給:ワーナー・ブラザース映画

【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!教えてくれたのは
[モーリー・ロバートソン]
Morley Robertson
1963年、NY生まれ。日米双方の教育を受け、東京大学とハーバード大学に現役合格。東大を1学期で中退し、ハーバード大に入学。東大在学中にプロミュージシャンとしてデビュー。現在はタレント、国際ジャーナリスト、音楽家として幅広く活動している。

この偉人になりたい度数
66/100
もがき苦しんだ晩年を追体験するのは……
「トップでありたい、主流に認められたいと、懸命にもがき苦しんだ彼の思いを感じてしまいます。それを追体験するのは、ちょっとパスですね。ただ、作品は素晴らしいです」

 
Information

雑誌『Safari』7月号 P184~185掲載

文=野中邦彦
text : Kunihiko Nonaka(OUTSIDERS Inc.) photo by AFLO
一段とかっこよさを増した〈ジースター〉!ほかでは味わうことのできない、ズバ抜けたデニム感がたまらない!
SPONSORED
2025.10.15 NEW

一段とかっこよさを増した〈ジースター〉!
ほかでは味わうことのできない、ズバ抜けたデニム感がたまらない!

数多くのデニムブランドが存在する世の中で、唯一無二のスタイルを提案してきたのが〈ジースター〉。1989年にオランダ・アムステルダムで誕生して以来、解剖学をベースにした独自のアプローチと、ミリタリーやワークを現代的に再解釈したデザインで、多…

TAGS:   Fashion Denim
即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! こだわりの特別仕様になった、強く優しい秋カーディガン! 
SPONSORED
2025.10.06

即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! 
こだわりの特別仕様になった、強く優しい秋カーディガン! 

秋冬のコーデを彩る主役は、なんといってもニット。季節感のある落ち着きとなんともいえない肌触り、そして優しさを感じるから。特に、デートなんかにはぴったりの素材感といえる。そんな秋冬必携のニットを〈ロンハーマン〉が特別に別注したのが、〈ダブル…

TAGS:   Fashion
デニム好きも納得の新作に注目が集まる! 好みのシルエットが見つかる、〈リプレイ〉が放つ新定番! 
SPONSORED
2025.10.03

デニム好きも納得の新作に注目が集まる! 
好みのシルエットが見つかる、〈リプレイ〉が放つ新定番! 

コーデのバリエーションを増やしたい秋、デニムの名手〈リプレイ〉から新しいコレクション“ニューフィット”が登場した。その名のとおり、ゆったりとした柔らかいシルエットが特徴で、大人の余裕が漂うリラクシングな秋冬スタイルにぴったり。細身ですっき…

TAGS:   Fashion
〈ベルルッティ〉の新作バッグ“ペリプル”の魅力とは!?アクティブな大人が選ぶラグジュアリーなバッグ!
SPONSORED
2025.10.02

〈ベルルッティ〉の新作バッグ“ペリプル”の魅力とは!?
アクティブな大人が選ぶラグジュアリーなバッグ!

休日を思う存分楽しむ大人には、どんなバッグがふさわしいか? 単に荷物を持ち運ぶだけのツールではなく、装いの品格出しに活用できるデザインで使い勝手もいい、そんなバッグこそが最適。〈ベルルッティ〉の最新作“ペリプル”シリーズは、まさにそんな理…

TAGS:   Fashion
〈キングセイコー〉で手の届く“上質”を。“美ダイヤル”の機械式腕時計で2人の日常を特別に。
SPONSORED
2025.09.26

〈キングセイコー〉で手の届く“上質”を。
“美ダイヤル”の機械式腕時計で2人の日常を特別に。

先進的な性能とデザインを手の届きやすい価格で提供する時計作りで、1960〜’70年代に国産機械式腕時計の新しい在り方を示した〈キングセイコー〉。2022年に待望の復活を果たした現在も、そのスタイルは健在。現代の技術で進化を遂げた“美ダイヤ…

都市に生きる大人に似合う〈ヴェイランス〉。美しさに磨きをかけた高機能アーバンウエア。
SPONSORED
2025.09.26

都市に生きる大人に似合う〈ヴェイランス〉。
美しさに磨きをかけた高機能アーバンウエア。

デザイン、クラフトマンシップ、パフォーマンス。すべての面にこだわり、都市生活に最適化した先進的なアーバンウエアを提案する〈ヴェイランス〉。ミニマルな作りの中に、厳しい山岳環境が生み出した先進技術を詰め込んだハイエンドなアイテムは、端正なス…

TAGS:   Urban Safari Fashion
〈ディースクエアード〉の新作で週末をもっと楽しく!男らしくて爽やかな大人の格上カジュアル!
SPONSORED
2025.09.25

〈ディースクエアード〉の新作で週末をもっと楽しく!
男らしくて爽やかな大人の格上カジュアル!

これからの季節の週末は、男らしさと爽やかさを感じさせる王道カジュルが気分。そこで注目したいのが〈ディースクエアード〉の新作。独自の感覚で生み出される格上のカジュアルで、もっと楽しい週末を!

TAGS:   Fashion Denim
“ハリー・ウィンストン銀座店”が移転オープン!最新コンセプトのサロンで最高の輝きに出会う!
SPONSORED
2025.09.25

“ハリー・ウィンストン銀座店”が移転オープン!
最新コンセプトのサロンで最高の輝きに出会う!

“キング・オブ・ダイヤモンド”として名高い、世界最高峰のジュエリー&ウォッチブランド〈ハリー・ウィンストン〉。このブランドの銀座店が2025年8月29日に、新たなフラッグシップ・サロンとして移転オープンしたのはご存知かと。伝統的な〈ハリー…

TAGS:   Fashion
〈サンローラン〉の新作アイテムを着る!今、必要なのは上質でセンスが際立つレザー!
SPONSORED
2025.09.25

〈サンローラン〉の新作アイテムを着る!
今、必要なのは上質でセンスが際立つレザー!

レザージャケット、レザーコート、レザーパンツ。大人にとって普遍のアイテムのひとつがレザーなのは、誰しも異論ないところ。とはいえ、その素材感、デザイン、作りのよし悪しなど、クオリティに関しては実に様々。〈サンローラン〉なら、ラグジュアリーメ…

TAGS:   Fashion
大人が穿くべき〈ディーゼル〉の新作!デニムが変われば見た目が変わる!
SPONSORED
2025.09.25

大人が穿くべき〈ディーゼル〉の新作!
デニムが変われば見た目が変わる!

色味、シルエット、加工感の組み合わせが無数にあるデニムは、どんな1本を選ぶかで見た目の印象を簡単に変えられるのがイイところ。その点、ほどよくトレンドを押さえつつ、いま大人が穿くべきデニムをしっかり提案しているのが〈ディーゼル〉。まずはその…

TAGS:   Fashion Denim
今シーズンも〈ラコステ〉から目が離せない!秋のゴルフコーデは'90年代レトロでいく!
SPONSORED
2025.09.25

今シーズンも〈ラコステ〉から目が離せない!
秋のゴルフコーデは'90年代レトロでいく!

今シーズンも大人のゴルフコーデは、レトロテイストが気分。なかでも、'90年代のレトロスポーティな雰囲気の着こなしに注目したい。ということで、見逃せないのが〈ラコステ〉の新作ウエア。ちょっと古着っぽいニュアンスを取り入れた、個性的なアイテム…

TAGS:   Fashion
〈タトラス〉の新作を羽織って、街へ、海へ!変化球アウターで格上の週末スタイルに!
SPONSORED
2025.09.25

〈タトラス〉の新作を羽織って、街へ、海へ!
変化球アウターで格上の週末スタイルに!

秋の週末スタイルはアウター選びが大事。街でデートや買い物をするにも、海でとことん遊ぶにも、お気に入りのアウターがあれば気分上々で過ごせそう。そこで頼りになるのが〈タトラス〉の新作。まわりとはひと味違う秋アウターが揃っているから、いつもの着…

TAGS:   Fashion
品があってお茶目な〈フルラ〉の新作!秋の大人のお洒落はレザーで遊ぶ!
SPONSORED
2025.09.25

品があってお茶目な〈フルラ〉の新作!
秋の大人のお洒落はレザーで遊ぶ!

落ち着いた大人のお洒落が楽しめる秋は、小物選びにもこだわりたいもの。遊び心を効かせたレザーアイテムを取り入れて、どこか茶目っ気を感じさせる上品スタイルを狙ってみては? そこで注目したいのが〈フルラ〉の新作。グレーと茶のツートーンに、オレン…

TAGS:   Fashion
気が利いた1着を〈マッカージュ〉で選びたい!男らしくて品が出る大人の秋アウター
SPONSORED
2025.09.25

気が利いた1着を〈マッカージュ〉で選びたい!
男らしくて品が出る大人の秋アウター

秋のお洒落はアウター選びが大事。男らしさと品のよさを兼ね備え、なおかつ気の利いた遊び心ある1着があれば、気分よく毎日を過ごせそう。カナダ発の〈マッカージュ〉なら、高品質で実用的な秋アウターが必ず見つかる!

TAGS:   Fashion
この秋、〈エドウイン〉で“買い”の1本はどっちだ!?大人のデニムは“楽ちん”か“本格派”か?
SPONSORED
2025.09.25

この秋、〈エドウイン〉で“買い”の1本はどっちだ!?
大人のデニムは“楽ちん”か“本格派”か?

厳しい暑さもひと段落し、デニムの季節の到来。ガシガシと穿ける、しっかりとした生地感こそがデニムの魅力だけど、楽な格好で夏を満喫した人にはハードな味のデニムはちょっときつい? さて、ならば秋のデニム選び、いったいどうする? そこで頼りになる…

TAGS:   Fashion Denim
アクティブな毎日に欠かせない〈オークリー〉の新作!お洒落で快適な理想のデイリーウエア!
SPONSORED
2025.09.25

アクティブな毎日に欠かせない〈オークリー〉の新作!
お洒落で快適な理想のデイリーウエア!

日常をもっと自由に、コンフォートに楽しみたい大人にこそ〈オークリー〉の新作を。高いパフォーマンス性とベーシックなルックスを兼ね備え、どんなスタイルにも自然に馴染む。街でのデイリー使いから週末のアクティブライフまで、シーンレスに活躍してくれ…

TAGS:   Fashion
〈デンハム〉白澤社長がデニムを引き立てるグリーンニットで魅せる!大人の“チラ見せ”テクニックとは!?
SPONSORED
2025.09.25

〈デンハム〉白澤社長がデニムを引き立てるグリーンニットで魅せる!
大人の“チラ見せ”テクニックとは!?

なにかとシンプルな着こなしになりがちな秋。であれば、いつものアイテムをいつもとは違う色で遊んでみるのはどう? そこで今回、〈デンハム〉白澤社長が紹介してくれるのがこちらのニット。あざやかなグリーンは、着こなしに一瞬で華を添えてくれる。スマ…

TAGS:   Fashion Denim
ちょっとの変化で大きく変わる!?いつもの生活をワンランクアップ!
SPONSORED
2025.09.25

ちょっとの変化で大きく変わる!?
いつもの生活をワンランクアップ!

海遊びに没頭した夏が過ぎると、ちょっとお疲れ気味!? そんなときこそ、いつもの毎日に変化球。優雅なおウチ時間をもたらすマシンから、清潔感を格上げするケア、秋のアウトドアへと誘う秀逸アイテムまで、新たな“波”をキャッチできるはず。

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ