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2021.06.03


惹かれるのは“魔力”! 〈ベントレー〉フライングスパー W12

普段は驚くほどエネルギッシュな人だって、たまには休息が欲しくなるはず。時速300km/hで複数のバトルを2時間にわたって繰り広げる(!)レーシングドライバーも、普段はゆったり系のクルマをクルーズさせている、な〜んてケースは決してレアじゃない。で、どうせゆったり乗るなら「究極にゆったりしたい!」。だったらなにを選ぶべき? SUV? ミニバン? いやいや、超ラグジュアリーなセダン、な〜んてのはどう? 〈ベントレー〉フライングスパー W12だ。

ラグジュアリーSUV“ベンテイガ”の大ヒットで、一躍若年世代にもその名を知らしめた〈ベントレー〉。でも、やはり“ミュルザンヌ”の血を引くFRベースのセダンは、格別の気品を漂わせる。 

 
リズミカルに点々と配置される片目2灯の丸目ライトはまるで江戸切子のガラスのように、大胆なカッティングを施して存在感を主張する。中央にはメタルの華奢な縦フィンを、お馴染みのメッシュ上にあしらった大型グリルを据えて、さらに鼻先にはブランドアイコンである立体の“フライングB”が、実にエレガントに佇んでいる。

そう、それぞれの意匠はとてもシンプルなのに、まっすぐ心に突き刺さるような、強いデザインを感じさせるのが〈ベントレー〉の魔力。この恐ろしくシンプルなデザインを、単調さを感じさせることなく5325×1990×1490cmのビッグボディに落としこむ手法のあざやかなこと! 

 

至るところに魔力が宿る!

さらなる魔力は内装にも漂う。ホイールベース3195mmに置かれた、セダンとは思えないほどの長いフロントドアを開けると、〈ベントレー〉が最も大事にしている“クラフトマンシップ”が濃厚に敷き詰められている。

ドアパネルの内側からメーターの左右、インパネ、シートはもちろん、サンバイザーの裏側まで、おおよそオーナーが手に触れ得るすべての場所が、職人の手によって丁寧に仕上げられている。レザーのステッチも手作業なら、ウッドパネルのラッカーも手作業だというのだから……。

そんなエレガンス漂う全体の印象を、W12というモンスターエンジンは決して破綻させない。数字だけを見ると、ツインターボを備えたソレは、6ℓという大排気量。635ps/ 900Nmという恐ろしい諸元を持っている。しかもその900Nmというド級のトルクは、わずか1350rpmから発揮されるのだから、スポーティな飛び出しをつい期待してしまうというもの。しかし、そんな気負いは乗り出してすぐに真っ向否定されてしまう。だって、とにかく静かでフラットなのだ。 

 
さらに、アクセルペダルの踏みはじめだって、かっちりと重みがあって、決してトルクを見せびらかすような種類のクルマではない。むしろ8速デュアルクラッチは、どんどんシフトアップを繰り返して、静粛性をことのほか大事にしているかのようにも感じる。

そこが、恐ろしい諸元ながら、究極のゆったりカーとして君臨する所以。トルクの大部分を、余剰のムードとして匂わす、そんな小悪魔っぷりを存分に発揮しているのだ。つまり、再加速などの際やある程度の強い踏みこみに対するトルクの密度は、さすがW12エンジンとため息が出るもの。こんなレディな身のこなしの先に、まるで底なし沼のような、覗きこむのをためらうほどのパワーをチラつかせるのだから堪らない。 

 
さらにフライングスパーは気筒休止システムを持ち、そして四輪駆動システムも普段はFRで走らせエミッションにも貢献させるという、実に優等生な面をも併せ持っている。どこまで全方位にいい子なのか。裏側を知るには、長く付き合うしかないのかも! 

 

気になるスペックは?

★DATA 〈ベントレー〉フライングスパー W12
●全長×全幅×全高:5325×1990×1490mm
●車両重量:2540kg
●ホイールベース:3195mm
●エンジン:6ℓW12気筒ツインターボTSI
●最高出力:467kW(635PS)/5000~6000rpm
●最大トルク:900Nm/1350~4500rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:四輪駆動
●税込み価格:2750万円 

 

 
Information

●ベントレーコール
TEL:0120-97-7797

文=今井優杏 text:Yuki Imai
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