コンラッド東京 総支配人――ニール・マッキネス
触れずとも素材の高級感が伝わる仕立てのいいシャツとスーツ。そして柔和さと威厳を兼ね備えた佇まい――ヒルトングループの最高級ブランドとしてはじめて日本に上陸した〈コンラッド東京〉で、2017年1月から総支配人を務めている二ール・マッキネスが纏う空気感は、我々が思い描く“一流のホテリエ”のイメージそのものだ。
- SERIES:
- ビジネスセレブの「時を紡いで」 vol.01
●今月のビジネスセレブ
コンラッド東京総支配人
ニール・マッキネス[Niel Mackines]
Profile
スコットランド生まれ。1995年、ヒルトン・グラスゴー(スコットランド)に入社し、ホテリエとしてのキャリアをスタートした。その後、ヒルトン・シドニー(オーストラリア)の課長職、副総支配人を経て2010年に来日。コンラッド東京及びヒルトン東京の副総支配人、ヒルトン東京ベイの総支配人などを歴任し、2017年1月から現職に就く。
ブライトリング
コルト 41 オートマチック
●愛用歴/約2年
●購入時の金額/約40万円
●購入場所/三越
ケース径41㎜のオートマチックで、12とバーインデックスが組み合わさった旧ロゴのこのモデルは残念ながら現在は生産終了している
「クロノグラフのイメージが強い〈ブライトリング〉ですが、私の場合はこのシンプルさに惹かれました。インデックスと針に夜光塗料が施されているので、たとえば出張先のホテルの部屋などでも非常に見やすく便利です」
BREITLING
コルト 41 オートマチック
やや大ぶりなアビエーションウォッチながら、スーツの手元にもマッチするエレガンスを兼ね備える、SSのケース&ブレスとブラックダイヤルの組み合わせが魅力。12時アラビア数字とバーインデックスの絶妙なコントラストが静かに個性を主張する
触れずとも素材の高級感が伝わる仕立てのいいシャツとスーツ。そして柔和さと威厳を兼ね備えた佇まい――ヒルトングループの最高級ブランドとしてはじめて日本に上陸した〈コンラッド東京〉で、2017年1月から総支配人を務めている二ール・マッキネスが纏う空気感は、我々が思い描く“一流のホテリエ”のイメージそのものだ。
その手元で、さりげなく存在感を主張している腕時計は、〈ブライトリング〉の“コルト41オートマチック”。入手したのは、ヒルトン東京ベイの総支配人からコンラッド東京の総支配人に就任するほんの1週間ほど前だったという。
「ホテリエとしてはやはり、装いは大事にしたいと思っています。手元や足元に、お客様からの視線を感じることもございますし。そういった意味で、〈コンラッド〉というブランドにマッチする時計が欲しいなと考えていました」
その結果選んだのは、アビエーションと深い繫がりを持つクロノグラフの名門、〈ブライトリング〉だった。
「〈コンラッド〉と〈ブライトリング〉は、ブランドとして親和性が高いと思い、迷いなくコレを選びました」
イギリス・スコットランド生まれの二ールがホテリエとしてのキャリアをスタートさせたのは、〈ヒルトン・グラスゴー〉。以来20年以上にわたり、ヒルトングループひと筋にその道を歩んでいる、日本的に表現すれば“生え抜き”だ。これはホテル業界にしては非常に珍しいケースで、そんなキャリアからは、彼の一途ともいえる情熱と真っ直ぐな生き方を窺い知ることができる。そしてそれは腕時計との付き合い方にも通じる。
「たくさんの腕時計をコレクションすることを趣味とされている方も多いと思いますが、私はそうではなくて、気に入った1本の腕時計を長く愛用していきたいと思うタイプです。はじめて自分で腕時計を買ったのは18歳のときでしたが、以来、ずっとそのスタンスは変わりません」
〈ブライトリング〉の時計を選んだ理由として、〈コンラッド〉というブランドとの親和性の高さを挙げた二ールだが、世界には“ラグジュアリー”という枕詞がつく名門ウォッチメーカーは数多ある。その中からこのブランドと思い定めたのには、どんな理由があったのだろうか?
「〈ブライトリング〉はご存知のとおり、スイスのブランドではあるけれど、1930年代にはイギリスの空軍へコックピットクロックを公式供給するなど、英国とも浅からぬ縁があります。スコットランド、イギリスは私の祖国ですから、シンパシーを感じていましたし、その真面目なウォッチメイキングをリスペクトする気持ちを持ち続けていました。〈コンラッド東京〉の総支配人に着任するタイミングで購入したのは、やはり自分にとって新しい環境で頑張るモチベーションになるから。佇まいや仕草などを含めて、この腕時計にマッチした自分になれると、そんな思いもありました」
〈ブライトリング〉のアビエーションとの深い関係、“プロフェッショナルのための計器”というその出自に彼自身も共感しながら、この時計と今を生きている。
「私は昨年、約100日間旅行をしました。ビジネスとプライベートを合わせて、15カ国25都市。もちろんすべての旅先にこの時計を連れていきました。起きている時間はずっと腕につけて、休むときはベッドサイドに置いて。本当に私にとって、パートナーですね。あ、ジムでエクササイズするときは外します(笑)。きちんと貴重品ロッカーに預けて」常に身につけているこの〈ブライトリング〉は、パートナーであると同時に、「もはやカラダの一部といった感覚で、自分自身と言っても過言ではないかもしれません」と優しく微笑む。そんな彼に、愚問は承知ながら「次に欲しい時計は?」という質問をぶつけてみた。
「 本当にこの時計を気に入っていますし、これからもずっと愛用していくつもりなので、正直全く思い浮かばないのですが、強いて挙げるなら父の時計でしょうか」熟練した職人たちの手によって精巧に作られた高級機械式時計はこんなふうに代々引き継がれていくことも多い。彼の惚れこみ方と愛着を思えば、今使用している〈ブライトリング〉も長い時を超えるであろう。人や不動産などと同様に、腕時計は“縁”と語られるが、彼と彼のコルトも、きっととても深い縁で繫がっていたに違いない。
「それをいうなら、この“コルト41オートマチック”との出合いは、実は『Safari』に載っていた広告だったんですよ(笑)。本当になにげなく見た広告でしたが、すごく素敵だなと強く印象に残って。それでデパートに足を運んで、〈ブライトリング〉以外のブランドを含めいろいろと見たのですが、シンプルでいながらエレガンスも兼ね備えているこの時計にやはり惹かれました。今回、私のこの時計でこうして『Safari』のインタビューをお受けすることになるとは、本当に不思議なご縁を感じますね」
Company Information
格式とモダンが融合したラグジュアリーホテル
浜離宮越しに東京湾の絶景を、そして高層ビル群を望む、汐留のラグジュアリーホテル。2005年、コンラッドホテルズの格式と和のモダンデザインの融合をコンセプトに開業以来、国内の高級ホテルの中でも有数の稼働率を誇る。温かみがありながら洗練されたサービスに加え、客室はスタンダードでも都内最大級、プールやジム、メンズ向けのトリートメントにも定評があるスパなどのリラクゼーション施設も充実しているため、国内外のビジネスセレブにも多くのファンを持つ。
雑誌『Safari』4月号 P228・229掲載
photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura