美しさのレベルが違う〈ブルガリ〉オクト
多面の造形美から目が離せない
“オクト”は〈ブルガリ〉のメンズウォッチを代表するアイコンである。都会的な洗練を増した“オクト ローマ”、そして複雑機構を再解釈した“オクト フィニッシモ”からなる。なかでも“オクト フィニッシモ”は10個の世界記録を樹立した超薄型時計の金字塔であり、シンボルの多面ケースと同様に魅力も多彩。進化を続けるコレクションから目が離せない。
BVLGARI
“オクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズ”
5.95㎜厚の薄型ケースに約8日間の長時間駆動を秘める。ムーブメントの右上半分を大型香箱が占め、それと対向したスモールセコンドに沿って弧を描くパワーリザーブのインジケーターゲージを備える。ブラックにゴールドのアクセントが映え、幾何学パターンのオープンワークとも調和したフューチャーデザインだ。ケース径40㎜、手巻き、チタンケース、ラバーストラップ、30m防水。393万8000円(ブルガリ/ブルガリ・ジャパン)
GPHG(ジュネーブ ウォッチ グランプリ)2025の会場はひと際大きな喝采に包まれた。トゥールビヨンの最薄記録を樹立した“オクト フィニッシモウルトラ トゥールビヨン”がトゥールビヨンウォッチ賞を受賞したのだ。これまで〈ブルガリ〉はGPHGでふたつの金賞と11の賞を獲得。名門ハイジュエラーとしてだけでなく、伝統あるスイス時計においても確固たる地位を築いている。その牽引役が〝オクト”であることはいうまでもない。
現在に繋がるコレクションは2012年にはじまった。この年ローマで発表された〝オクト オリジナーレ”は、丸と四角という完璧な幾何学形状を調和した八角形からなり、まさにローマのパンテオンを想起させる建築的なフォルムに歴史と文化、精神を継承する。さらに遡れば、八角形モチーフのケースは、ウォッチデザインの巨匠ジェラルド・ジェンタが手掛けた〝ブルガリ ジェラルド・ジェンタ コレクション”をベースに、その創造性を受け継ぎ、再構築したのだった。
革新的だったのは、フォルムだけではない。それは110面という連続するファセットからなり、構築的な多面は光を受けて様々な表情を見せる。そこに注がれたのはハイジュエラーの美的感性と精細な技巧だ。時計の専業ブランドにはないメゾンならではの造形美は、現在も変わることのないコレクションのシグネチャーである。
センセーショナルなデビューを飾った〝オクト”だったが、それはまだ序章にすぎなかった。長期的展望からすでに準備が進められていた本編が明らかになったのは2年後の2014年。満を持して〝オクト フィニッシモ トゥールビヨン”を発表したのだ。
わずか1.95㎜厚という当時世界最薄の手巻きフライング トゥールビヨンムーブメントを搭載した。最新設計のトゥールビヨンもさることながら、注目はその極薄さに集まった。というのも時計の薄型化は、ケースの堅牢性や耐久性をはじめ、精度や駆動時間といった基本的な実用要件をクリアしなければならず、実現には開発から設計、製造、組立を一貫して内製する体制を要する。いわばもうひとつのコンプリケーションであり、しかも110面体という複雑なケース構造を崩さずに具現化したのだ。
それは2000年から本格ウォッチメイキングを目指し、10年をかけて構築した垂直統合のマニュファクチュール体制の結実にほかならない。そして限界に挑戦し続ける〝オクト フィニッシモ”の物語はここからはじまったのだ。
2016年から現在に至るまで、ミニッツリピーター、自動巻き、自動巻きトゥールビヨン、クロノグラフGMT、自動巻きトゥールビヨン スケルトン、パーペチュアルカレンダー、手巻きなど10本を発表し、それらはいずれも超薄型の世界記録を樹立した。並んだ〝オクト フィニッシモ”はまるで複雑機構のショーケースを見るようだ。
さらにコレクションの誕生20周年を迎えた2022年に登場した〝オクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズ”では、これまでの薄型に加え、新たな領域へと進んだ。モデル名にも冠した8日間という長時間駆動の機能だ。
薄型ムーブメントは、厚みを抑えるため、性能の制約も少なくない。駆動時間もそのひとつだ。そこで大型の香箱を搭載するとともに、輪列を最適化することでゼンマイのエネルギーを損なうことなく効率よく伝達させた。香箱は文字盤の約4分の1を占め、その圧倒的なパワーと独自のレイアウトを誇示するかのように大胆なオープンワークを施す。
長時間駆動で実用性は向上し、日常使いで心地よい装着感をよりいっそう楽しめる。それは、薄型時計の可能性を開いた〝オクト フィニッシモ”ならではの新たな価値である。ひけらかすことなく味わう充足感こそ真のラグジュアリーであるという美学が宿るのである。
2017年に登場し、コレクションで3度めの世界最薄記録を打ち立てたBVL138を搭載。マイクロローターを採用した自動巻きで2.23㎜厚を実現し、ケースは5㎜の薄さを誇る。ケースとの一体感あるデザインのブレスレットは、バックルの折り畳み部分も埋め込み、心地よい装着感を損なわない。ケース径40㎜、自動巻き、18KYGケース&ブレス、100m防水。 723万8000円(ブルガリ/ブルガリ・ジャパン)
軽やかな装着感に薄さがさらに際立つ
サンドブラスト加工のチタンケースにブラックDLCを施し、素材の軽量性とストラップのフィット感でひと際薄さが感じられる。多面は光を受けて表情豊かに変化し、文字盤やインデックスもオールブラックで統一するが、ドーフィン針をセンターラインで山折りし、コントラストによって視認性を保持する。ケース径40㎜、自動巻き、チタンケース、ラバーストラップ、30m防水。238万7000円(ブルガリ/ブルガリ・ジャパン)
ハイエンドの複雑機構と極薄を組み合わせた〝オクト フィニッシモ”は、現代の超薄型時計の金字塔になった。薄さという絶対的なアドバンテージに加え、素材やスタイルによって多彩な個性を演出するのも特徴。〝オクト フィニッシモ”はそんなコンテンポラリーな魅力にあふれる。
イエローゴールドのケースとブレスレットはサンドブラスト加工を施し、ゴージャスな輝きを、あえて落ち着きあるマットな風合いにまとめる。太陽をイメージさせるイエローゴールドは、仕上げの技法によって全く異なる印象を見せるが、メゾンがジュエリーでも得意としてきた素材である。
一方、ブラックのチタンケースにはラバーストラップを組み合わせ、大人のスポーティを演出する。〈ブルガリ〉のブラックは、美しい漆黒の文字盤でも定評がある。光沢感と深みのある陰影がエレガンスを表現し、無色でありながらも豊かな色彩を感じさせるのだ。
いずれも傑出した創造性や美学、技巧を注ぎ、際立つ個性は同一モデルのバリエーションとは思えないほどだ。
だが唯一無二のオリジナリティも普段は袖下に収まり、いたずらに存在を誇示することはない。さりげなく自己主張する、現代のダンディズムである、“フィニッシモ”の名が示すとおり、〝オクト フィニッシモ”は、マニュファクチュールにおける究極を追求するイノベーションの象徴である。そして創業者ソティリオ・ブルガリによる銀細工にはじまり、歴史あるローマのアイデンティティや、優美でいて力強く前衛的なデザインに140年以上にわたる〈ブルガリ〉の精神が息づくのだ。
⚫︎ブルガリ・ジャパン
TEL:0120-030-142
※『Urban Safari Prestige Watch vol.3』36〜39ページ掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Mitsuru Shibata































































