小布施で温故知新の旅
奥信濃の小布施は、古くから残る歴史的建造物と新しい建物が調和している。ここにパークハイアット 東京を手掛けた米国人建築家の宿も、小布施の風景と溶けこむように佇む。
桝一客殿
建築家ジョン・モーフォードが
手掛けたジャパネスク
部屋番号はなく、北斎の作品が描かれたルームキーと入り口の絵を合わせる。長期滞在にも対応した“傘風子”
時代を超えた名建築として知られるパークハイアット 東京の内装やインテリアを担当した香港在住の建築家ジョン・モーフォード。彼の作品は日本国内に2つあり、パークハイアットともうひとつがコチラの“桝一客殿”。信越国境の太い梁の民家を改装した元喫茶店をメイン棟に、長野市の砂糖問屋の土蔵などを移築した計3棟に、客室は12。すべてデザインが異なる。オーナーが代々続く酒蔵でもあったことから、インダストリアルな趣と、外国人から見た日本の生活習慣がみごとに生かされた空間だ。たとえば建材は石材やウッド、ステンレス、ガラスなど硬質なイメージのもの。風呂は半身浴の仕上げに肩まで浸かる様子を観察したのか、ガラス製の浴槽内に座面を設けた。一方、レインシャワーやウォークインクローゼットなど、今どきの設備を取り入れた部屋もある。家具やカップなどの備品も、もちろんジョン・モーフォードのセレクトだ。
“客殿”とは賓客を迎えるための殿舎のこと。小布施の町のゲストをもてなそうという気持ちがココにこめられている。
江戸期の文庫蔵を改装したライブラリー。建築や江戸美術、小布施関連の蔵書が並ぶ
インダストリアルテイストのシンクは、厚さ5㎜ものステンレスを使用。湯量たっぷり、1㎥のバスタブも5分で給湯完了。各種サイズのタオルも多めに用意
ファミリーやグループでも利用しやすいよう、部屋の配置を工夫
●MASUICHI KYAKUDEN[桝一客殿]
住所:長野県上高井郡小布施町大字小布施815
料金:書斎型ツインルーム坪庭付き 2 万4300 円、書斎型ツインルーム50㎡1万8900 円、リラックス型ツインルーム2 万1600 円、リラックス型ダブルルーム1 万8900 円、リビング型ツインルーム2 万4300 円(1 室2 名利用時の1 名料金、朝食付き、税込み)
TEL:026 - 247 - 1111
URL:www.kyakuden.jp/
雑誌『Safari』8月号P192掲載