読書に没する旅に出る!
読書はどこででもできる。通勤の車内でも、トイレの中でも。けれど本とじっくり向き合うなら、なにかの合間ではなく、本腰を据えられるこんな宿がいい。
箱根本箱
本好きならではのアイデアを
満載したブックホテル
本と箱根を掛け合わせたネーミング。ロビーラウンジでは、壁を埋め尽くす圧巻の本棚がお出迎え。館内の本はすべて購入できる
本の問屋の日本出版販売(以下、日販)が箱根・強羅の保養所を改装し、新潟の名宿〈里山十帖〉を手掛けた“自遊人”とタッグを組んだブックホテルが、今年8月に誕生した。館内1万2000冊の本のディレクションは日販、施設全体の企画・運営は“自遊人”が担当。本に携わる本好き同士が、得意分野のノウハウと知恵を出し合った、仕掛けに満ちた“箱”になっている。
ユニークなのが、「あの人の本箱」企画。客室を中心に館内の随所に、各界の第一線で活躍する人々が選書した本箱を設置。写真家・映画監督の蜷川実花やチームラボ代表の猪子寿之、美術家の横尾忠則など、あの人がどんな本で形成されたのか、脳内を覗き見する気分だ。
18の客室すべてに温泉露天風呂を備え、半数以上が箱根外輪山を望む。施設にはショートフィルムを上映するシアターや、ブックアートが目に楽しいレストランなども。ロビーの巨大本棚から好きな本を選び、その世界にしばし没入。旅先でもうひとつ、物語を旅している自分に気づいた。なんて贅沢。
●箱根本箱[HAKONE HONBAKO]
住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-491
料金:マウンテンビューコーナースイート3万1400円~、マウンテンビューツイン2万4980円~、グリーンビューファミリー2万4980円~など(2名利用時の1名料金、朝食付き)
TEL:0460 -83 -8025
URL:hakonehonbako.com
雑誌『Safari』12月号 P274掲載
text : Chieko Koseki