北澤さんが力を注ぐ“アンプティサッカー”とは?
現役を離れた今なお、サッカーに情熱を注ぐ北澤さん。今回は会長を務める一般社団法人日本障がい者サッカー連盟に属する競技の1つ、アンプティサッカーにスポットを当てて語ってもらった。
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- 北澤 豪の「こだわりMYスタイル!」
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日本アンプティサッカー協会提供
今年5月に開催された、第6回レオピン杯コパ アンプティを視察してきました。みなさんは “アンプティサッカー”って、ご存知ですか? フィールドプレイヤーは足、ゴールキーパーは腕に、それぞれ切断障がいを抱えている選手たちがプレーする7人制のサッカーです。フィールドプレイヤーは、普段着けている義足や義手を外し、医療用補助器具のロフトストランドクラッチでカラダを支えながらプレーします。2本の松葉杖を突いている姿を想像するとわかりやすいかもしれません。
今回の視察で驚いたこと、感じたことが3つあります。1つは戦術が大きく変わったことです。これまではGKから順にパスをまわして、繋ぎながらじっくりと相手ゴールに向かう戦術が多かったんです。でも、昨年のメキシコW杯での経験を踏まえてなのか、前線に一気にパスをして、ボールが収まれば全員で駆け上がるという、スピーディなサッカーをするチームが多くなりました。彼らは片足で走るわけですから、カラダへの負担も大きいはず。それでも走って、ボールを蹴る。そんな彼らの姿は迫力があるし、なによりサッカー競技として白熱したものが見られました。
2つめはニュースターの誕生です。この大会で目を見張った選手が、関西セッチエストレーラスの近藤 碧くん。まだ高校生になったばかりなのに、ドリブルはキレッキレ。彼がボールを持つと、黄色い声援がキャーキャー飛び交うくらいにファンも多いんです! 日本のアンプティサッカーの未来を担う、新しい逸材が誕生したんだなと実感しましたね。
写真右/近藤碧選手 日本アンプティサッカー協会提供
最後に、若いボランティアスタッフが目立っていたこと。2020年のパラリンピクが控えていることもあるのでしょうが、若い子たちが関心を持ってくれていることがよくわかりました。僕の隣で「あの選手はですね……」なんて解説してくれる高校生もいましたからね(笑)。サッカーから共生社会の実現を目指す我々にとっては、嬉しい光景でした。
こんなふうに話すだけでは、魅力は伝わらないかもしれません。だから、実際に試合を観てほしいですね。たとえばFCアウボラーダ所属で日本代表にも選ばれる、エンヒッキ 松茂良 ジアス選手(元アンプティサッカー ブラジル代表 選手)のフリーキック。これは、それだけで集客できるほどのクオリティを持っています。通常のサッカーをプレーする若者たちも、参考になるはずです。アンプティの選手たちも注目が増えれば当然燃えるし、その分強化にも繋がりやすい。そして世界大会などで結果を残す、また注目される……こんないいサイクルが生まれることで、アンプティサッカーをはじめとした障がい者サッカーが盛んになるといいなと。いや、盛り上げていかないといけないなと思っています!
写真中央/エンヒッキ 松茂良 ジアス選手 日本アンプティサッカー協会提供
元サッカー日本代表。現役時代は豊富な運動量と闘志あふれるプレースタイルから、“中盤のダイナモ”と称された。現在は日本サッカー協会の理事を務めながら、サッカーの普及などに尽力する傍ら、日本テレビ系『NEWS ZERO』のサッカー解説やサッカー中継の解説などでも活躍中。