ホテルのサービスにも通じる親密さが魅力! 万年筆はいつだって パーソナルタッチで温かい!
2009年3月の〈シャングリ・ラ ホテル 東京〉開業に大きく貢献し、’16年2月には同ホテルの総支配人に就任したマーカス・バウダー。幼い頃から万年筆のある生活に親しみ、総支配人となった今も、ビジネスにプライベートに万年筆が欠かせないという。無駄のないシンプルでミニマムなデザインを好むマーカスは、どんな万年筆を選び、どんな万年筆ライフを送っているのだろうか!?
- SERIES:
- ビジネスエリートの愛する万年筆! 第40回
PROFILE
ドイツ出身。UAEのドバイ、リビアのトリポリ、チェコのプラハなど、中東やヨーロッパを皮切りに、ホテルパーソンとして世界9カ国で20年以上のキャリアを積む。2006年、シャングリ・ラ ホテル&リゾーツへ。’08 ~’10年にはレジデントマネージャーとして〈シャングリ・ラ ホテル 東京〉の開業準備に携わる。その後、北京、バンコクのホテルを経て、’16年2月に〈シャングリ・ラ ホテル 東京〉の総支配人に就任し、現在に至る。
最愛の人への手紙
親愛なるクレイグへ
心温まる招待をありがとう。
カナと2人で喜んで参加させてもらうよ。
また会えることが今からもう楽しみだよ。
̶マーカス
ブラックとブルーのインクを使い分け!
インタビューがはじまるや否や、〈シャングリ・ラ ホテル 東京〉総支配人のマーカス・バウダーは〈エルメス〉とデザイナーのマーク・ニューソンによるコラボ万年筆ノーチラスを見せてくれた。「2016年2月に、ホテルの総支配人として東京に戻ってこられたことを記念して、この万年筆を購入しました。どうです? 万年筆なのに、ミニマムでスタイリッシュだと思いませんか?」
機能やスペック、メカニズムは複雑でも、見た目はとにかくシンプルで無駄のないデザインがマーカスの好み。これは万年筆に限らず、生活のすべてにおいて、彼の“マイスタイル”なんだそう。そんなマーカスも昔から万年筆を愛用するビジネスエリートのひとりだ。
「ドイツでの小学生時代は、教養のひとつとして万年筆を使うことが義務づけられていました。ですから、筆記具といえば万年筆がなにより身近な存在でしたね。あの頃は〈ペリカン〉や〈ラミー〉のリーズナブルな万年筆を使っていました」大学時代に一度万年筆から遠ざかったものの、学業を終えホテルパーソンとしてキャリアをスタートさせると、再び万年筆を手に取るように。現在はホテルの総支配人として、毎日約50枚ものウェルカムカードをしたためるという。
「お客様へのメッセージには、失礼のないよう主にブラックのインクを使用します。一方、プライベートでは自分が好きなブルーのインクを使います。ついさっきもブルーのインクで、従妹に結婚祝いのカードを書いたところなんですよ」
言葉を選び、時間をかけて書く万年筆のメッセージは、誠実で、温かみがあり、パーソナルタッチ。それは一流ホテルのサービスにも通じるという。
「我々シャングリ・ラ ホテルズでは、一人ひとりのお客様に真摯に向き合い、親密で洗練されたサービスを心がけています。忙しい現代社会だからこそ、万年筆で手書きするような“心からの温かみ”が求められているのかもしれません」
愛用の万年筆
マイスターシュテュック プラチナライン
クラシックP149/モンブラン
あえてシャープなプラチナで!
マーカスが主にビジネスに使用するのがコチラ。定番のマイスターシュテュックでも、シンプルかつミニマムなデザインを好むマーカスは、トリム類をすべてプラチナプレートで装飾したプラチナラインをチョイス。モダンで洗練された印象を与えてくれる1本だ!
格納式キャップレス万年筆!
〈エルメス〉と世界的なインダストリアルデザイナーのマーク・ニューソンとのコラボモデル。独自の回転式機構により、ペン先を自由に出し入れできる仕組み。無垢のアルミニウムとステンレスによるボディは、筆記具というよりオブジェのようなソリッドな印象!
万年筆同様
身のまわりのものは
いつもミニマム!
とにかくシンプルでミニマムなものが好きだと語るマーカスは、ファッションにも独自のスタイルがある。スーツはいつもダークカラーの〈ヒューゴ・ボス〉。シャツはテイラーメイドで、基本的に白(袖口にネーム入り)をチョイス。そして、時計はアップルウオッチを着用!
常にスタイルがある!
機能性とシンプルなデザインに惚れこみ、小物類は〈モンブラン〉で統一。万年筆のほか、インクやボールペン、財布、名刺入れなどを愛用している。デスクまわりが常に整頓されているのも、さすがはビジネスエリート!
COMPANY DATA
SHANGRI-LA HOTEL TOKYO[シャングリ・ラ ホテル 東京]
静寂に包まれた空間はまさに都会の隠れ家!
東京駅隣接なのに、大都会の中心にいることを忘れてしまうほどの静寂に包まれた安らぎの場所。洗練された西洋流のサービスと、東洋的なホスピタリティを融合させ、くつろぎの時間を提供。16のスイートを含む200のゲストルームには、大都市・東京のパノラマが広がる。
雑誌『Safari』6月号 P284・285掲載
photo : Mamoru Kawakami text : Takehisa Mashimo