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2024.10.07


「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!

すき焼きは、京都で発祥した日本の牛肉文化のひとつ。割り下が和牛にからんで、美味しさが何倍にもなるけれど、自分で焼くとなると、なかなか難しい。2024年3月1日、虎ノ門にオープンした〈すき焼き あさい〉なら、カウンターの向かいに立った仲居がすべて仕上げてくれるので、そんな心配もご無用。“おまかせすき焼きコース”(2万900円、要予約)では、季節変わりの前菜が3品ほど提供された後に、すき焼き、白米と赤だし、デザート2品が味わえる。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!料理長の廣瀬和也さんと女将の篠﨑由美さん

料理長に就任したのは、リゾートホテルなど国内外の和食店で研鑽を積んできた、廣瀬和也さん。『ミシュランガイド』2つ星の西麻布〈臼杵ふぐ 山田屋〉には12年間在籍し、二番手としてメニューを開発したり、調理現場のオペレーションを改善した人物。女将の篠﨑由美さんは、2016年に惜しまれながらも閉店した『ミシュランガイド』1つ星のすき焼き店〈よしはし〉に、仲居として6年間在籍。客あしらいから焼きまで、安定した高い接客術を持つ。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!食通や肉好きから圧倒的な支持を得ている〈サカエヤ〉の近江牛

〈すき焼き あさい〉のすき焼きは、素材のこだわりが半端ない。主役の黒毛和牛は、精肉のプロフェッショナル新保吉伸さんが率いる〈サカエヤ〉の近江牛。〈サカエヤ〉は食通や肉好きから圧倒的な支持を得ている滋賀県の精肉店で、すき焼き店に卸すのは〈すき焼き あさい〉が初めて。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!野菜も厳選された珠玉の素材ばかり

卵は三重県にある〈コケコッコー共和国〉で、自然交配で採卵される有精卵。親鶏のストレスが少ないから、良質な卵が産まれる。ほかにも、“京の地豆腐”で知られる京都府の〈久在屋〉の豆腐、豊洲市場の青果・丸越から仕入れた千住葱、北海道からは“アスパラ名人”と称される長谷川博紀さんの〈ジェットファーム〉のアスパラガスや〈とかち井上農場〉の井上慎也さんが手掛ける2年熟成の高糖度のジャガイモ、1910年創業の奈良県にある〈松音商会〉の特製白滝と、珠玉の素材が目白押し。割り下は濃口醤油、日本酒、砂糖、水を合わせ、冷蔵庫で最低一週間寝かせるから、塩味の角が取れてまろやかな味わいとなる。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!まろやかな味わいの割り下が具材の味を引き立てる

具材は肉、ざく=鍋料理で肉や野菜に添える煮た野菜、肉、ざく、肉、白滝という順番で焼かれ、メリハリがあって小気味いい。最初の肉は4㎜の厚さで、約70gもあってステーキのような圧倒的な存在感。質のいい霜降りのロースで、舌の上でとろけるような口溶け感がある。その後は3㎜のカットになり、野菜と一緒に食べやすい。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!白身だけを泡立てるという“熟練の業”

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!オリジナルの“メレンゲ卵”で二種類の味わいを

肉に合わせる卵は、〈すき焼き あさい〉オリジナルの“メレンゲ卵”。生卵の黄身を割らないように、白身だけを泡立てるという“熟練の業”でふわふわ~に仕上げる。肉の食べ方は、まずはメレンゲに付けてやわらかなテクスチャーを楽しみ、その後に黄身を割って濃厚な味わいに移行するのがオススメ。

最後の白滝は通常よりも細めで、カリカリに香ばしく焼き上げてくれる。すべての食材と割り下の味わいをまとっていて、感嘆するような至味。オリジナルの薬味は、新宿生まれの江戸東京野菜・内藤とうがらし、京都・清水寺参道の七味家本舗の七味唐辛子、京都・祇園の原了郭の粉山椒をブレンドしたもの。これを加えれば、ピリッと引き締まって味変にもなる。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!白米、赤だし、香の物のお食事。思わず白米も進む

季節のメニューも特筆に値する。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!松茸バージョンの茶碗蒸し

最初に提供されるのは、定番の茶碗蒸し。和牛出汁をベースにして、季節によって合わせる食材が変わる。和牛出汁は、初日に数時間かけて牛骨のみで出汁を引き、こしたものを一晩冷蔵庫で休ませ、翌日に脂を取ったスープに牛筋と野菜を加えて数時間かけてさらに引く。これだけ手間をかけているから、濃厚そうでいて、さらりとした上味に紡がれる。秋の茶碗蒸しでは、ふくいくたる香りの松茸をたっぷり乗せた。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!デザートの柿饅頭

デザートは水菓子と和菓子の2種類、和菓子は、廣瀬さんが手作りしていて、妥協を一切許さない。柿饅頭は、餡にも皮にも柿が加えられていて、柿の淡い甘味が後を引く。シナモンの香りもさわやかで、最後を締めるにふさわしいひと品だ。

すき焼きには日本酒がぴったりだけれども、〈すき焼き あさい〉ではフランスを中心にしたワインも寄り添う。

ハウスシャンパーニュは、“ルイ・ロデレール カルト・ブランシュ”( 1万5000円/ボトル、2000円/グラス)。熟した果実のアロマが心地よく、甘く芳ばしい香りも特長的。3年間の瓶内熟成で、ボリュームも深みもあるから、近江牛にマリアージュする。“ドメーヌ・ロシニョール・トラペ ブルゴーニュ ルージュ 2021”( 1万2000円/ボトル)は、イチオシの赤ワイン。ほのかな果実味とミネラル感があり、繊細が感じられながらも適度なミディアムボディだから、何にでもマッチする。

「これぞ、すき焼きの新境地」という体験をさせてくれる〈すき焼き あさい〉!天然木を用い、贅を凝らした数寄屋造りのカウンター

路面店で駅からのアクセスは抜群ながら、店内は広く、カウンター席はゆったりとした造り。個室も設けられているので、プライベートを大切にしたいのならこちらもいい。

すき焼きの新境地を切り拓く〈すき焼き あさい〉。予約も取りづらくなっているので、早いところ体験するのがよさそう! 

 

 
Information

●すき焼き あさい
住所:東京都港区虎ノ門3-11-15 SVAX TTビル 1F
営業時間:11:30~15:00(14:30LO)、17:30~23:00(21:00LO)
定休日:水・日曜
TEL:03-6452-9995
URL:https://www.sukiyaki-asai.com/
※サービス料別

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文=東龍 text:Toryu
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。
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