【まとめ】ポリスアクション映画17本!
『Safari Online』で紹介してきたポリスアクション映画を一挙大紹介! 最後まで読まないと逮捕しちゃうぞ!?
『バッドボーイズ』
製作年/1995年 監督/マイケル・ベイ 出演/ウィル・スミス、マーティン・ローレンス
子供の頃のような無邪気な関係になれるマーカスとマイクに憧れる!
学生時代の親友みたいにくだらない話をし、ときには文句を言い合うが、やっぱり離れられない。そんな腐れ縁のようなバディが理想ならば、なにかと暴走してしまうこの2人に魅了されるに違いない。
マイアミ市警に保管されていた1億ドル相当の押収ヘロインが、何者かに盗まれた。外部に漏れる前に解決したい当局は、マーカスとマイク両刑事にその任を命じる……。家族主義者のマーカスと、プレイボーイのマイク。正反対の性格で事件現場でもケンカをはじめるほどだが、いざとなったら抜群のコンビネーションを発揮する。悪ガキが大人になったような彼らは、常に掛け合い漫才のようなやり取りをしている。この間柄が、なんとも羨ましく思えるバディだ。
胸が熱くなるのは、互いを救出する場面。マーカスが敵の乗るクルマに轢かれそうなピンチにマイクが飛び出して助ければ、クライマックスでの空港倉庫内の銃撃戦では、今度はマーカスがお返しとばかりにマイクの窮地を救う。これぞバディの醍醐味、と思わせる名シーンだ。そして事件解決後には、「やっぱりお前は最高の相棒だ」と語り合う。波長が合う人こそ、何者にも代えがたい存在なんだと気づかされる1本だ。
『セルピコ』
製作年/1973年 監督/シドニー・ルメット 出演/アル・パチーノ、ジョン・ランドルフ
それが正義なら、たった1人でも戦い抜く勇気がもらえる!
1971年、麻薬捜査中の警官フランク・セルピコが狙撃され、重傷を負って病院に搬送された。ただ、普通の麻薬事件と違っていたのは、セルピコを撃ったのは同僚の警官らしいというとんでもない疑惑だった!
アル・パチーノが実在の警察官を熱演した『セルピコ』は、警察内の腐敗と汚職にたった1人で闘った男の実話だ。正義を守るという信念をもって警察学校を卒業するも、実際に配属されてみると、賄賂とサボリが横行するどうしようもない現実に愕然とする。しかしセルピコは決して賄賂を受け取ろうとせず、同僚から疎まれ、あんな奴は早く死んだらいいと危険な現場に回されたりするのだからもうメチャクチャ! しかしセルピコは、史上はじめて公然と内部告発をした警官となり、今もアメリカのヒーローとして語り継がれている。
映画では、もう本当に誰ひとり味方がいない中、決死の覚悟で自分を貫く姿にハラハラさせられながらも応援せずにはいられない。日本では“空気を読む”ことが美徳とされがちだが、“絶対に空気を読まない男”の奮闘に胸が熱くなること間違いなし!
『フレンチ・コネクション』
製作年/1971年 監督/ウィリアム・フリードキン 主演/ジーン・ハックマン
昭和的な生き方も男としては憧れる!
麻薬犯罪の撲滅に執念を燃やす刑事たちを主人公にした実録アクション映画。NY市警の薬物対策課所属のベテラン刑事ポパイが麻薬組織を追い詰めていく姿がとにかく圧巻!すべてを麻薬組織壊滅に注ぐポパイの生き方は、働き方改革がうたわれる昨今では時代錯誤かもしれないが、そこまで熱狂できる職を見つけられたという点では羨ましく思えるはず。
ジーン・ハックマン演じるポパイはひたすらNYを走り回り、容疑者たちを次々と検挙していく。なかでも麻薬組織が放った殺し屋とポパイとが地下鉄とクルマとでチェイスを繰り広げるシーンは、映画史に残る名場面だ。ポパイの鬼気迫る捜査ぶりに、刑事という職業に対するプライドがビンビンと伝わってくるだろう。
これと決めたものにすべてを捧げるポパイの生き様に男として憧れるわけだが、続編『フレンチ・コネクション2』では、それに加え男の意地を見せつけてくれる。組織の手に落ちたポパイが麻薬漬けになってしまうのだが、そこから立ち直ろうと懸命になる。この姿も、また胸が熱くなる名シーンだ。
『スピード』
製作年/1994年 監督/ヤン・デ・ボン 共演/デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック
短髪姿のたくましいキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスとヒロインのサンドラ・ブロックが大ブレイクした大ヒットノンストップアクション。時速80km以下になると爆発する爆弾を仕掛けられたバス。そこに飛び乗ったSWAT隊員のジャックが、いかに80km以下に速度を落とさず市中を走るか、いかに犯人にバレずに乗客を救出するか、いかに犠牲者を出さないか――車内を監視しながらも姿を見せない犯人と頭脳戦を繰り広げ、最後までハラハラドキドキ!
冒頭はエレベーター、メインはバス、最後は地下鉄といずれも動く密室を舞台に狂気の爆弾魔(デニス・ホッパー)と対峙するジャックがかっこよく、劇中ジャックがつけている〈Gショック〉(実際にもSWAT隊員が着用しているそう)やクルーカットが大流行。運転手のケガにより急遽バスのハンドルを握ることになった女子大生のアニー(サンドラ)との淡いロマンスもいい。
走る姿が豪快だったり、暴走バスを追いかけてド派手なカーチェイスを披露するなど、たくましいキアヌが観たいならうってつけな1本だ!
『マイアミ・バイス』
製作年/2006年 製作・監督・脚本/マイケル・マン 出演/コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス
男なら、度胸を据えて立ち向かえ!
麻薬組織に潜入捜査をしていたFBI捜査官が殺害された。情報漏えいを疑うFBIは、捜査に関与していないマイアミ特捜課ソニーとリコに漏えいルートの割り出しを依頼。2人は麻薬の運び屋に成りすまし、組織との接触を図ろうとする……。潜入捜査という過酷な任務が男ゴコロをくすぐる一作。オリジナルのテレビシリーズ版も手掛けていたマイケル・マンが、雰囲気を一新させ、ハードボイルド映画に仕立てている。
当然ながら、そんな2人を潜入先の組織は警戒。現場を取り仕切るイエロは疑いの目を向け、詰問してくる。そこでのソニーとリコの駆け引きが実にお見事。慌てず、騒がず、自らを説明。それでも脅してくる相手に、手榴弾を片手に握りしめ、覚悟を示す。この一歩も引かない度胸のよさに男らしさを感じずにはいられない。
男たちがしのぎを削る世界が得意なマイケル・マン作品にあって、本作はコン・リー演じる美女イザベラとソニーが恋物語を展開。珍しくラブシーンも多いのだが、でも観せたいのはそこではない。愛した女性を組織から逃がすために命を賭けるなどの、男の熱い生き様、そしてみなぎるスピリットだ。人生の中でピンチは何度も訪れる。つい逃げたくなるが、そこは度胸を据えて立ち向かいたい。そこにそこ男の美学があると、この映画は教えてくれている。
『ケープタウン』
監督・脚本/ジェローム・サル 共演/フォレスト・ウィテカー
ベスト・オブ・オーランドな1作!
南アフリカのケープタウンで、元ラグビー選手の娘が殺される事件が発生。捜査を担当することになった刑事ブライアンとアリは、街で頻発する子供失踪事件との関連にたどり着く。背後に潜む巨大な陰謀の影を感じる中、やがて2人の身にも危険が迫り……。
フランスで数々の賞を受賞し、話題となった犯罪小説を映画化した骨太サスペンス。ブライアンをオーランド、アリを名優フォレスト・ウティカーが演じている。ハードな展開、容赦ないバイオレンス描写など、製作国であるフランスと南アフリカ共和国の本気がみなぎる中、酒と女に溺れて自堕落な日々を送る刑事のアリをやさぐれた雰囲気で熱演したオーランド。広く知られる大作ではないが、実は“ベスト・オブ・オーランド”を堪能できる1作。
『ハートブルー』
製作年/1991年 監督/キャスリン・ビグロー 共演/パトリック・スウェイジ、ゲイリー・ビジー
ナイーブな雰囲気を纏うキアヌに惹かれる!
パトリック・スウェイジがサーファーかつ強盗団のリーダーを、キアヌがそのサーファーたちの仲間に潜入するFBI捜査官を演じ、友情と逮捕の狭間で揺れる姿を好演。サーフィン(特に夜のサーフィンシーン!)やスカイダイビングのシーンはスタイリッシュかつ迫力があり、惹きこまれること間違いナシ。
監督はイラクを舞台にした『ハート・ロッカー』で女性監督として史上初めてアカデミー監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー。製作総指揮は当時、彼女の夫だったジェームズ・キャメロンが務めている。
キアヌは精悍で頼りがいしか感じない『スピード』とは、だいぶ違う印象。本作ではハーバード大卒のエリートながら、カリスマ性のあるパトリック・スウェイジに惹かれ、その関係性や逮捕することに逡巡するようなナイーヴな雰囲気を残している。そこが、”らしく”て、実にイイ!
『ディパーテッド』
製作年/2006年 製作・監督/マーティン・スコセッシ 出演/レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ
警察とマフィアに潜入した男たちの交錯にハラハラ!
レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンの競演による覆面捜査もの。バイオレンス描写を得意とするマーティン・スコセッシ監督によるツボを押さえた演出で、アカデミー賞作品賞に輝いている。
ディカプリオ演じるビリーは警察から犯罪組織に、デイモン扮するコリンは逆にギャングから警察へと、それぞれ身分を偽って潜入することに。犯罪組織、警察と、どちらも内通者がいることに気づくが、人狼ゲームさながらに正体をつかむことができない。周囲を欺いて暮らすうちに、本当の自分を見失いそうになり、苦悩するビリーの姿は観ていて、心が痛むはず。
全編とおして緊迫感があるのだが、イチオシなのは2人が最接近する劇場のシーン。ビリーの仕掛けた罠と知らず、組織のボス、コステロとコリンが密会。後方で息を潜めるビリーは、立ち去るコリンを追いかけ路地裏を駆け抜ける。暗闇で、互いの存在を感じ取り、武器を構える……と、残念ながら、ここでのマッチアップはお預け。しかし、互いの身分がバレるかもしれない、というドキドキ感は存分に味わえる名場面だ。
『フェイス/オフ』
製作年/1997年 監督/ジョン・ウー 共演/ニコラス・ケイジ、ジョーン・アレン
どっちがトラボルタ?
凶悪テロリストのトロイ(ニコラス・ケイジ)に息子を殺されたFBI捜査官のショーン(ジョン・トラボルタ)は執念の捜査の末についにトロイを逮捕する。ところが意識不明の重体に陥ったトロイがどこかに細菌爆弾を仕掛けていたことが発覚。ショーンは仲間から情報を聞き出すためトロイの顔を移植して彼になりすますことに。一方、意識を取り戻したトロイはショーンの顔を移植して……。
正義と悪の顔が入れ替わると言う奇想天外なアイデアで、トラボルタ、ケイジともに善悪両方の魅力を味わえるアクション。白い鳩、善悪対峙の二丁拳銃などジョン・ウー印のケレンミもたっぷり! テロリストの顔をした男を夫と信じられるのか、夫の顔をしているのに不穏な雰囲気の男は誰なのか。ショーンの家族を巻き込んだやり取りもハラハラ。トラボルタはジョン・ウーと初めてタッグを組んだ『ブロークン・アロー』でも悪役を演じていたが、悪役時の妙な色気と華が印象的!
『潜入者』
製作年/2016年 原作/ロバート・メイザー 監督/ブラッド・ファーマン 出演/ブライアン・クランストン、ダイアン・クルーガー、ジョン・レグイザモ
覆面捜査官は家族との団らんの場でも油断できない!
レーガン政権期の米国と南米コロンビアとの間で繰り広げられた、1980年代の“麻薬戦争”。それを題材にした実録サスペンスが、こちらの作品。
ブライアン・クランストン演じる主人公ロバートは平凡な関税局員。麻薬の取り締まりのため、大胆にも資産家のふりをして南米の麻薬組織と接触することに。同僚役のダイアン・クルーガーとともにカップルを装って、結婚披露宴に麻薬組織の幹部たちを全員招待。そこで、一網打尽にする破天荒な作戦を実行しようとする。
本作で、潜入捜査を行うロバートは、家族持ち。そのため、仕事と家族の間で苦悩する姿が描かれている。ハイライトは、結婚記念日に夫婦でレストランへと訪れるシーン。運悪く麻薬組織の人間と鉢合わせてしまい、ロバートは、とっさに妻のことを秘書だとごまかす。さらに記念日のケーキを持ってきた店員に悪態をつき、なんとかその場をやり過ごすことに成功する。
ところが何も知らなかった妻はショックを受け、夫婦には大きな溝が。その後、同僚捜査官の気づかいもあり、麻薬組織は壊滅するも家庭は崩壊せずに済んだ。やはり、覆面捜査官は独身の方が向いている!?
『フェイク』
製作年/1997年 監督/マイク・ニューウェル 出演/アル・パチーノ、ジョニー・デップ
疑われまくりで気を緩めることができない!
ジョニー・デップがFBIのオトリ捜査官ジョー・ピストーネを熱演した実録ドラマ。イタリア系マフィアの男レフティをアル・パチーノが演じており、演技派俳優同士のがっぷり四つに組んだ共演が楽しめる。
ジョーは宝石鑑定士ドニー・ブラスコに扮して、マフィア組織の末端にいる男レフティと接触することに。やがて、ふたりは家族同然の親密な関係となっていく。レフティに信頼されていくドニーは、しだいに本来の自分であるジョーの生活を見失っていく。そして、妻や子どもたちの待つ自宅にほとんど帰らなくなってしまう……。
バレるかも? と思わせる場面は、潜入捜査中に知人にばったり遭遇する場面。このピンチを、ジョーは「このホモ野郎、俺に触るな!」と殴り飛ばすことで乗り切る。また、マイアミのボスを客船に招くものの、警察の手入れが入る場面ではレフティはドニーが潜入捜査官ではないか? と詰め寄る。最大のピンチが訪れるが、そこも上手く切り抜けることに成功する。ヒヤヒヤする場面の連続で、潜入捜査ものの醍醐味が味わえる1本だ。
『ロボコップ』
製作年/1987年 監督/ポール・バーホーベン 出演/ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン
人間の良心が備わっていることが大事!?
舞台は荒廃しつつある近未来のアメリカ、デトロイト。犯罪を抑制するべく、当局はハイテク企業が開発したロボット刑事の起用を検討。その初号機は、殉職した善良な警官マーフィの脳が埋め込まれていた。このロボコップは治安維持に大きく貢献し、一躍注目の的になる。だが、これを快く思わない悪党たちが暗躍。一方では、ロボコップの中で抑圧されていたマーフィの意識が少しずつ芽生えつつあった。
ロボット刑事の活躍を描いて大ヒットを飛ばし、シリーズ化&リメイクに発展した定番SFアクション。人間の意識とテクノロジーが一体となるのは、今となってはありがちだが、その主体はA.I.ではなく人間にあり、サイボーグと表現するのが正しいのかもしれない。ともかく、このロボコップは人間が持つ良心を失っておらず、あくまで法と道徳に基づいて行動し、必要に応じた武装を備えている点がユニーク。こんな警官ばかりなら、世の中も平和になる!?
『アンダーカヴァー 』
製作年/2007年 監督・脚本/ジェームズ・グレイ 出演/ホワキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ、エヴァ・メンデス
刑事の兄が不良の弟に潜入捜査の協力させる!
『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスとマーク・ウォルバーグとの共演作。麻薬組織を撲滅しようとするエリート刑事役のマークと夜の世界で働く不良の弟役のホアキンとの兄弟の葛藤が描かれる。
麻薬捜査に協力することを拒んでいた弟ホワキンだが、兄に懇願されて盗聴器を隠し持って麻薬の精製工場を訪ねることに。ところが、緊張のあまりに汗をだくだくと流してしまい、麻薬組織から怪しまれてしまう。このあたりは「バレちゃうかも!?」と、観ているこちらも手に汗を握ってしまうシーンだ。素人が潜入捜査する際のたどたどしさをリアルに演じたホワキン。その演技は、さすがの一言。
警察の捜査に協力したために、ホワキンと恋人は麻薬組織から命を狙われてしまう。ビジネスの付き合いを優先するか、それとも家族の絆を守るか。そこの決断もハラハラさせられる。
『イースタン・プロミス』
製作年/2007年 監督/デビッド・クローネンバーグ 出演/ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル
完璧な覆面捜査官ぶりに脱帽!
潜入捜査もので、一風変わった作品がこちら。ヴィゴ・モーテンセン主演のクライムサスペンス。東欧系の10代の少女たちが薬漬けにされ、人身売買されているという衝撃的な実話をベースにしている。
舞台はロンドン。14歳の少女タチアナがドラッグストアで出産後、死亡。助産師のアンナは赤ん坊の家族を探すため、残された手帳を頼りにあるロシアンレストランを訪ねる。そこはロシアンマフィア“法の泥棒”のアジト。で、そこで運転手をしているのがヴィゴ演じるニコライだ。実はニコライはロシア連邦保安庁の潜入捜査官。死体にメモを貼り付けるなどして、組織の内情を報告していた。
一風変わっているというのは、潜入捜査官だと疑われる場面がないところ。それだけニコライの潜入ぶりがお見事というわけかも? では、ハラハラドキドキしないかといえば、そうではない。サウナでの全裸格闘シーンや、ロシアンマフィアの残虐な仕打ちは目を覆うばかり。特にボスの息子キリルは、どこでキレるのかわからない厄介な男。その男を手なずけるニコライは、やっぱり最強の覆面捜査官かも!?
『ダイ・ハード』
製作年/1988年 監督/ジョン・マクティアナン 出演/ブルース・ウィリス、アラン・リックマン
不審な点があったら、まず疑うことが大事!
『ダイ・ハード』といえば、世界一運の悪い刑事ジョン・マクレーンが高層ビルでテロ集団と戦うハメになる傑作アクション。意外に忘れがちなのが、この映画が人質奪還ミッションを描いていること。犯人グループは日系企業が所有するナカトミビルを乗っ取って、ビル内にいた社員たちを人質にするのだ。
ところが犯人グループが巧妙にカムフラージュするせいで、なかなか人質事件であることが世間や警察に知られないのが本作のミソ。たまたまビル内にいたマクレーンは、必死に警察へ連絡を取ろうとするのだが、なかなか信じてもらえない。こんな状況もあるんだと肝に銘じておきたいシーンだ。
マクレーンが居合わせていてくれたおかげで事件解決に至ったが、そんな都合のいいことばかりではない。我々にできるのは、不審なことを見つけたら決してスルーしないこと。ちょっとした注意力で、人質を救えるかも知れないのだから。ちなみに、ビルのガードマンがいつもの人と違う場合は、要注意だ!
『ポリスストーリー/REBORN』
製作年/2017年 製作総指揮・出演/ジャッキー・チェン 監督・脚本/レオ・チャン 出演/ショウ・ルオ、オーヤン・ナナ、エリカ・シアホウ
実弾を使用した銃撃戦に、リアルな爆発がスゴい!
冒頭シーンから、約13分にわたる銃撃戦を繰り広げ、そこではなんと実弾を使用!100kgもの火薬を使い、リアルな爆発シーンを撮影している。役者の至近距離で爆発している危険な場面もあり、CG全盛の近年にはないド迫力な映像が観られるのだ。
今作のハイライトシーンは、前述したオペラハウスでのすべり落ち。まさに名人芸で、『WHO AM I?』での超高層ビルすべり落ちを彷彿とさせる場面だ。さらに、巨漢の女殺し屋を相手に闘うシーンでは、『サンダーアーム 龍兄虎弟』でのアマゾネス軍団との一戦を思い出させ、ファンならニヤリとするに違いない。主題歌『英雄故事』を新録するなど、本作に対するジャッキーの思いは並々ならぬものを感じる。
『ヒート』
製作年/1995年 製作・監督・脚本/マイケル・マン 出演/アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ
男なら、何事にも“プロ意識”を持って挑め!
ロバート・デ・ニーロ演じるギャングのボス、ニール。そしてアル・パチーノ演じるLA市警刑事のヴィンセント。ともに自分の仕事に過剰なまでのプライドを持った、プロ中のプロだ。そのうえ、名優同士がハイレベルの熱演を披露。絶対に譲れない男のプライドを表現したこの『ヒート』は、ハードな男の世界を体感させてくれる。
そんな男のプライドの中でも我らが参考にすべきは、 “プロ意識”の高さだ。強盗集団を率いるニールの場合、たとえば白昼、銀行へ押し入るシーンでは、その大胆かつ冷静な動きに犯罪者ながら“仕事人”としての完璧さが光る。それを象徴するのが、家具が一切置かれていない彼の自宅だ。この理由は、「30秒フラットで高飛びできるよう面倒な関わりを持つな」という言葉にある。要は、危険が押し迫ったときに身一つで逃げられるように。そして、大切な人がいたらその人まで巻き込まないように……っていう彼の哲学なわけ。犯罪者だということを除けば、その生業にストイックに向き合う姿勢やプロとしてのあり方は、男として学ぶべきところがある。
そしてヴィンセントもまた“仕事に憑かれた男”だ。仕事に没頭するとほかの事を忘れて行動してしまう性格。その代償として、家庭を失うという男の悲哀も突きつけられるのだ。この主人公2人を中心に『ヒート』に出てくる男たちに共通するのは、損得に関係なく、カラダの中から湧き出してくる“本能”が原動力になっているという点。実際には、まわりに迷惑をかけるので真似できないが、その本能のままに行動できる男らしい心意気だけは持っておきたい。
photo by AFLO