【まとめ】ハラハラドキドキの展開に血が騒ぐ!
怒涛のアクション映画100選!PART02
『Safari Online』で紹介してきた映画作品の中から、ハラハラドキドキのアクション映画に絞って再構成し、一挙ご紹介します!
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
製作年/2018年 監督・製作・脚本/クリストファー・マッカリー 製作/J.J.エイブラムス 製作・出演/トム・クルーズ 出演/サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィン、ミシェル・モナハン、ヘンリー・カヴィル
トムのチャレンジ精神がすごい!
イーサン・ハントに託されたミッションは、悪の手に渡った3つのプルトニウムを奪還すること。このままでは核爆弾が生成され、世界の複数の都市で同時に大惨事が起こりかねない。この最初のミッションをきっかけに、イーサンらのIMFだけでなくCIAも絡んだ絶体絶命の攻防が、陰謀や裏切りのドラマとともに展開していく。
イーサンを囲む、お馴染みのIMFのメンバーは、今回もベンジーのちょっぴりとぼけた味わいなどが効果的で、もはや名人芸の域。さらにイーサンと、死んだとされていた彼の妻との切ない運命が重要パートとなり、シリーズファンの胸を熱くする。新メンバーとしては、スーパーマン役で有名なヘンリー・カヴィルが参戦。CIAのエージェントでイーサンを見張るウォーカー役で、イーサンとの騙し合い、プライド対決は見応えたっぷりだ。
しかし、なにより衝撃を受けるのは、トム・クルーズの神レベルのチャレンジ精神だろう。上空8000mからのスカイダイビング(ヘイロージャンプ)や、自ら操縦するヘリのスパイラル飛行はもちろん全力疾走も見事で、オフィスの中を通過していく、まるで往年の“ドリフ”のギャグのような設定も、笑いを通り越して惚れぼれ! そして撮影中に骨折の大ケガを負った、ビルからビルへのジャンプもそのまま映像に収められ、肉体ギリギリの恐怖を観客に体感させる。最近のアクション映画はCGでなんでも映像化できてしまうが、今作を観ると、やはり生身のアクションが観客に与えるインパクトは別物だと実感できる。そんな瞬間が何度も訪れるのだ。
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
製作年/2018年 監督/J・A・バヨナ 脚本/デレク・コノリー&コリン・トレボロウ 出演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、レイフ・スポール、ジェフ・ゴールドブラム
スペクタクル感が半端ない!
前作のラストシーンで、恐竜たちのテーマパークは完全崩壊。パークを訪れる観光客でにぎわったイスラ・ヌブラル島は、恐竜たちが自由に闊歩する世界と化していた。しかしその島で火山が大噴火の兆しを見せる。貴重な恐竜たちを保護するために島に乗りこんだ人間たちは、火山の猛威と恐竜たちの暴走と闘わなくてはならない。しかしその裏では陰謀劇も進んでいて、後半は思いもよらぬ展開が待ち受けることに……。
テーマパークの残骸も生々しい島で、次々と現れる恐竜たちの攻撃に、人間たちはなす術もない状態。しかし彼らの習性に詳しい恐竜調教師オーウェンらの機転で、ギリギリのサバイバルが続く。このあたりは予想どおりの迫力とジェットコースターのような快感が約束されている。火山の溶岩に近づきすぎるアクションなど、ツッコミどころを忘れさせるほど、とにかくノリは豪快の一言。
注目してほしいのは、前作とは全く違うスペクタクルの数々だ。冒頭からいきなり海中アクションで驚かせるうえ、遺伝子実験で開発された新種恐竜、インドラプトルが密室空間で人々を追いこむシーンは、前作とは別種のスリルをもたらす。スピルバーグが監督したシリーズの初期作品をも思い起こさせる演出だ。さらに前作と異なるのは、アニマトロニクスの使用。CGではない実物のモデルを操作するこのアナログな手法は、逆にパニック映画の王道を感じさせてくれる。どの恐竜に使われたかは、じっくりと確認してほしい。
『アメリカン・アサシン』
製作年/2017年 原作/ヴィンス・フリン 出演/ディラン・オブライエン、マイケル・キートン、サナ・レイサン、テイラー・キッチュ
マイケル・キートンに注目!
マイケル・キートンが演じる役どころは、元ネイビーシールズでCIAの工作員養成担当教官のハーリー。彼のもとに、能力を買われた主人公の青年ミッチ(ディラン・オブライエン)が送りこまれる……。CIAの新人と教官モノで思い出されるのが『リクルート』。訓練生コリン・ファレルと彼を指導するアル・パチーノの演技合戦が話題となった作品だ。そこでも描かれているのが、冷戦な判断力を身につけること。非情な世界を生き抜くには必須の条件なのだ。つまり本作は物語に加えて、怪優マイケル・キートンが冷静さを求めるCIA教官をどう演じるのか? そこも大いに注目したいポイントになってくるわけだ。
ハーリーは養成の仕上げとして、ミッチのトラウマを利用し精神的に追いこんでいく。まんまと心を乱した彼をコードで首を締め上げ、感情を捨て去る大切さを、身をもって教えこんだ。しかしながら、その際のハーリーといえば見事に鬼の表情! 十分感情的になっているのだ。さらにクライマックスでは、敵の拷問を受けるハーリーが様々な駆け引きで生き延びようとするのだが、その様が圧巻。冷静と狂気の間を行ったり来たりしながら、ついには狂気が勝り敵の耳を食いちぎってしまう! “冷静になれ”という教えはいったいどこにいったのやら。だがしかし、キートンの演技はキレキレで、まさに真骨頂! ファンを存分に楽しませてくれることは間違いない。
『オンリー・ザ・ブレイブ』
製作年/2017年 監督/ジョセフ・コシンスキー 出演/ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェームズ・バッジ・デール、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリー、テイラー・キッチュ
クライマックスの衝撃度は想像以上!
日本とは違って、毎年のように大規模な山火事が起きるアメリカには、森林専門の消防士たちがいる。“ホットショット(精鋭部隊)”と呼ばれる彼らは、過酷なトレーニングを積んで、果てしない勢いで広がる炎と全身全霊で闘うことになるのだ。この映画は、2013年、アリゾナ州で起こった巨大な山火事に立ち向かった男たちの実話を基にしている。
“ホットショット”と呼ばれるのは、米国農務省の森林局に管轄された部隊のこと。しかし本作の主人公たちは“市”が管轄する消防隊員で、大きな仕事は任せてもらえない。一見、寄せ集めに見える彼らだが、厳しいリーダーの下で、ガッツにあふれたチーム。あざやかな消火活動を地道に続けた結果、“ホットショット”として特別に認定される。そこに新たに加わったのが、麻薬漬けの生活を送り、窃盗事件も起こした問題児のマクドナウだった……。
激しすぎるトレーニングなど、数々の洗礼を受けるマクドナウ。そんな、いわくつきの新メンバーへの、ベテラン隊員たちの“大人”の対応。体育会的な男たちのドラマが展開しながら、要所に山火事発生のシーンが挿入され、規模は様々ながら、CGも駆使した臨場感たっぷりの映像に圧倒される。なんといっても驚くのは、森林消防隊ならではのテクニックの数々だ。延焼を防ぐために手前でわざわざ火を起こす“迎え火”や、現場に急行する途中の近隣邸宅のプールからの給水、防火シートにくるまって500度(!)の炎が通過するのをひたすら耐えるなど、知られざるネタが次々と登場する。
主人公のマクドナウを演じるのは、マイルズ・テラー。あの『セッション』で鬼教官にさんざん傷めつけられた彼が、今回も指揮官や先輩からの熱血指導を受ける役どころ。反発や葛藤を繰り返し、プライドを獲得する姿が、またしても激しく共感を誘うのであった。俳優のハマリ役を実感!
『ホース・ソルジャー』
製作年/2018年 原作/ダグ・スタントン 製作/ジェリー・ブラッカイマー 監督/ニコライ・フルシー 出演/クリス・ヘムズワース、マイケル・シャノン、マイケル・ペーニャ
同名ノンフィクション小説を映画化
2001年9月11日同時多発テロが起こった直後、最初に対テロ戦争の最前線へと向かった12人の米陸軍特殊部隊の活躍を描いたこの作品。2009年に発表されベストセラーとなった同名ノンフィクション小説を映画化したもので、つまりは本作で起こった出来事はすべて実話ということだ。
クリス演じるミッチ・ネルソン大尉は陸軍の内勤への転属が決まっていたところ、テロ勃発により現場復帰を決断。しかも、戦闘の最前線を希望し、アフガニスタンへと飛ぶことになる。現地では、信頼を置けぬ軍閥との共同作戦、険しい山岳地帯であることから不慣れな乗馬での移動、敵タリバンの激しい抵抗……、と苦難が次々と待ち受けることに。
そこに実は、ネルソン大尉は実戦経験がないという、とっても不安になる要素が追加される。こうなると観ているこちら側は、危なっかしいリーダーが率いる部隊の先行きを不安に思いバッドエンディングさえ想像するもの。けれどもクリス=ソーという印象づけがあるから、どんなに窮地に陥っても安心した気持ちで観ることができる。これにより、観客は軍閥が途中で隊を離脱したり、味方に負傷者が出て不利な状況になっても、その後の反撃をひたすら心待ちにすればよいってわけだ。“決してやられない”という、トム・クルーズやシルベスター・スタローンのようなアクションスターには必須の魅力を備えたクリス。ますますヒーローを演じる機会が多くなるに違いない!
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
製作年/2018年 監督/アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ 脚本/クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー 出演/クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、ジェレミー・レナー、スカーレット・ヨハンソン、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、サミュエル・L・ジャクソン
期待以上の出来栄えに興奮MAX!
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でも中核をなす『アベンジャーズ』の第3作。これまでMCUで活躍した重要キャラクターの、ほぼすべてが登場するとあって、信じがたいレベルの“オールスター作品”に仕上がっている! 監督を務めたのは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でも多くのヒーローキャラの見せ場を巧みに配分した、アンソニー&ジョーのルッソ兄弟。
これまでMCU作品に現れた敵の中でも、“最強”といえるサノスが暴れまわる本作。宇宙の多くの星で、人口の半分の生命を消してきたサノスが、ついに地球にも襲来する。彼が求めるのは、MCUでも重要アイテムである6つのインフィニティ・ストーン。現時点でドクター・ストレンジやヴィジョンがひとつずつ保持しているが、それらをすべて手にすることで、未曾有のパワーが得られるというのだ。
ソーとロキが乗る宇宙船への襲撃にはじまり、ニューヨークでは降り立つサノスの側近たちに対する、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマン、ブルース・バナー(なかなかハルクに変身できない!)らが共闘。ヴィジョンが狙われるスコットランドの攻防も続き、怒濤の勢いは加速するばかり。各所での、各キャラクターが手を組むバトルに、観ているこちらはまばたきもできないほどだ。
最も刺激的な参加となるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のチーム。とぼけた味わいや軽妙なノリを楽しめるだけでなく、彼らの1人、ガモーラが(血縁ではないが)サノスの娘なので、思いがけないエモーショナルな展開も用意される。その他にも自己犠牲のシーンや、サノスの心の闇に迫る演出があり、ドラマチックな期待にも応えるだろう。
『ダークナイト ライジング』
製作/2012年 監督/クリストファー・ノーラン 出演/クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン
バットマンの印象をガラリと変えた!
『バットマン ビギンズ』に始まる3部作をまとめて、クリストファー・ノーランの代表作と言っていいだろう。これまでのティム・バートン作品などから、アメコミヒーロー、バットマンのイメージを一新。とことんダークでシリアスなヒーロー像を作り上げ、ヒース・レジャーのジョーカー、トム・ハーディのベインなど強烈な悪役も送り出した『ダークナイト』シリーズ。そのフィナーレを目にする意味でも必見の一作だ。
ジョーカーとの死闘を経て、絶望にさいなまれていたバットマンだが、恐るべきテロリスト、ベインの出現でゴッサム・シティが窮地に陥り、再び戦いに挑むことを決意する。空中戦やカーチェイス、アメリカンフットボールのスタジアムの崩壊など、アクション場面の演出・迫力はシリーズでも最高レベル。
前作『ダークナイト』では部分的だったIMAXカメラを多くの場面で使用し、アン・ハサウェイの怪しくセクシーなキャットウーマンも魅力的だ。賛否両論にわかれる結末も、ある意味でノーラン作品らしい!?
『ロード・オブ・ザ・リング』
製作年/2001年 製作・監督/ピーター・ジャクソン 出演/オーランド・ブルーム、イライジャ・ウッド、ビゴ・モーテンセン、イアン・マッケラン
世界的スターとなったシリーズ作品!
J・R・R・トールキンの小説『指輪物語』を原作に、邪悪な冥王サウロンを滅ぼすための冒険が展開するファンタジーアドベンチャー。美しきエルフ族の王子で、主人公のフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)らと行動をともにするレゴラスをオーランドが演じている。
エルフ族きっての弓の名手という設定もあり、アクションシーンで類まれな存在感を発揮。プラチナブロンドのロングヘアをなびかせながら次々と敵を射抜いていく姿が、大勢の観客の心も射抜いた。俳優オーランド・ブルームの出世作ともなった作品だが、演技学校卒業後間もない時期にオーディションを受けて役を勝ち取ったそう。翌年の第2作『~二つの塔』、翌々年の第3作『~王の帰還』まで、シリーズ全3作に出演している。
『キングダム・オブ・ヘブン』
製作・監督/リドリー・スコット 出演/オーランド・ブルーム、エバ・グリーン、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン
コスチューム劇で光る存在感!
12世紀フランスを舞台に、父親の導きで十字軍に参加した鍛冶屋の青年が、偉大な騎士へと成長していく様を追ったスペクタクル史劇。妻子を失って生きる望みを失いつつある中、聖地エルサレムへの旅を通して再生していく主人公バリアンをオーランドが演じている。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや古代ギリシャのトロイア戦争を題材にした『トロイ』などで、コスチューム劇にハマることを証明したオーランドの魅力を最大限に生かした1作。父の理想を受け継いだ息子の信念、王女との禁じられた恋に身を投じる男の熱情など、バリアンの揺れる心をダイナミックな展開の中で細やかに演じている。名匠リドリー・スコットが、製作費1億3000万ドルをかけて作品世界を作り上げたことも話題に。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
製作年/2007年 製作/ジェリー・ブラッカイマー 監督/ゴア・バービンスキー 出演/オーランド・ブルーム、ジョニー・デップ、キーラ・ナイトレイ
生真面目な役がオーリーにピッタリ!
孤高の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)が活躍する大人気シリーズの第3作。オーランドは第1作『~呪われた海賊』以来、自由奔放なジャック・スパロウに振り回されながらも彼と行動を共にする青年ウィル・ターナーを演じている。ジャック・スパロウとのユーモラスなやり取り、気丈な総督令嬢エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)とのロマンスなどが観客の心をつかみ、物語に欠かせない存在としてシリーズの人気キャラクターに。
第3作『~ワールド・エンド』はそんなウィルに大きな運命がのしかかる展開で、生真面目で勇敢な彼の人間性の奥深くを知ることができる。第3作から10年を経て製作された第5作『~最後の海賊』でもウィル・ターナーを演じ、ファンを喜ばせた。
『パルプ・フィクション』
製作年/1994年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン、サミュエル・L・ジャクソン
復活を果たした大ヒット!
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したクエンティン・タランティーノ監督のクライムストーリー。ギャングのボスの妻ミア(ユマ・サーマン)と、彼女の世話を頼まれた手下のヴィンセント(ジョン・トラボルタ)、ボスと八百長試合の取引をしたボクサー、ブッチ(ブルース・ウィリス)、ボスを裏切った若者を始末に行くヴィンセントとジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)。3つのエピソードが時系列をバラバラにして語られていくスタイルは当時としては斬新で、今も圧倒的支持を誇るエポックメイキング的な作品。
トラボルタはちょうどキャリアが低迷していた頃。トラボルタの大ファンだった映画マニアのタランティーノが主人公ヴィンセントに彼を熱烈に推し、結果、キャリアの大復活となった。トラボルタといえば出世作『サタデー・ナイト・フィーバー』や『グリース』で踊れるスターというイメージがあったので、それを逆手にとって(?)、ミアとふたりでオールドスタイルのツイストダンスを披露するシーンがあり。トラボルタの凄みと愛嬌が同居したギャング像はまさに唯一無二!
『フェイス/オフ』
製作年/1997年 監督/ジョン・ウー 出演/ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジ、ジョーン・アレン
どっちがトラボルタ?
凶悪テロリストのトロイ(ニコラス・ケイジ)に息子を殺されたFBI捜査官のショーン(ジョン・トラボルタ)は執念の捜査の末についにトロイを逮捕する。ところが意識不明の重体に陥ったトロイがどこかに細菌爆弾を仕掛けていたことが発覚。ショーンは仲間から情報を聞き出すためトロイの顔を移植して彼になりすますことに。一方、意識を取り戻したトロイはショーンの顔を移植して……。
正義と悪の顔が入れ替わると言う奇想天外なアイデアで、トラボルタ、ケイジともに善悪両方の魅力を味わえるアクション。白い鳩、善悪対峙の二丁拳銃などジョン・ウー印のケレンミもたっぷり! テロリストの顔をした男を夫と信じられるのか、夫の顔をしているのに不穏な雰囲気の男は誰なのか。ショーンの家族を巻き込んだやり取りもハラハラ。トラボルタはジョン・ウーと初めてタッグを組んだ『ブロークン・アロー』でも悪役を演じていたが、悪役時の妙な色気と華が印象的!
『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』
製作年/2003年 製作/ジェリー・ブラッカイマー 監督/ゴア・ヴァービンスキー 出演/ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ
徹底したキャラ作りに脱帽!
映画ファンの間では確実にトップスターの地位を築いていたジョニー・デップが、子供から中高年まで、超メジャーな人気を獲得したのが、このジャック・スパロウ役。ディズニーランドのアトラクションを基にしたとはいえ、ここまでの特大ヒットになったのは、ジョニーのキャラ作りの賜物といえる。
結局、2017年の第5作まで製作。ジョニーにとっても最大の人気シリーズとなったし、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのも、今作が初めて。
海賊船ブラックパール号の船長として、大海原を駆け巡るという、一見、カッコいい役ながら、とぼけた味わいやズレた行動が目立ち、愛すべきキャラとなったジャック・スパロウ。
その裏には、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズや、アニメキャラなどを研究したジョニーの、ひらめき的な役作りがあった。ファッションやメイクにも話題が集中。そしてポイントでは、劇的な運命を背負った海賊の孤独や悲哀もにじませたりして、誰もが憧れる男の姿が、ここにある。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』
製作年/1996年 監督/ロバート・ロドリゲス 出演/ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル
ハチャメチャ展開の血みどろアクション!
『ER緊急救命室』のロス先生として大ブレイクした後のジョージ・クルーニー初主演映画。脚本は出演もしている奇才クエンティン・タランティーノ。『エル・マリアッチ』『デスペラード』で注目された、当時、新進気鋭のロバート・ロドリゲスが監督を務めたクライムアクション……と思いきや、途中からいきなりヴァンパイアホラーに華麗に転換するという斬新さが面白い1本。
銀行強盗を繰り返しながら逃亡し、メキシコ国境の怪しげなナイトクラブまでやってきたクルーニー演じる兄と、タランティーノ演じる弟のゲッコー兄弟。しかしそこはヴァンパイアの巣窟で、セクシーなダンサーたち(サルマ・ハェック様がダイナマイト級の美しさ)が突如牙をむき大パニックに!
目の前で繰り広げられる血の饗宴に、ゲッコー兄弟と、人質の牧師(ハーヴェイ・カイテル)とその子どもたちが立ち向かう。タランティーノらしいトークもハチャメチャ展開も血みどろアクションもごった煮のうま味MAX、クセになる1本だ。牧師の娘を演じたジュリエット・ルイスがかっこいい。
『MEGザ・モンスター』
製作年/2018年 監督/ジョン・タートルトープ 出演/ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン
巨大ザメだって退治可能!
舞台は中国、上海沖の海中に建設された海洋研究所。海底の調査に向かった探査艇の通信が途絶え、元レスキューダイバーのテイラーら捜索隊が海底へと向かう。そこに現われたのが、200万年前に絶滅したとされていた体長25メートルの巨大生物メガロドン。
サメの元祖ともいわれているこのモンスターは、未知の海溝で種を保存しながら生き延びていた。やがてメガロドンは海底から浮上し、海洋研究所のみならず海水浴客でにぎわうビーチをも襲撃する!
『トランスポーター』『ワイルド・スピード』シリーズでおなじみのアクションスター、ジェイソン・ステイサムが主人公テイラーに扮して、太古の生物とのバトルを体現。メガロドンは架空の生物ではなく、太古の時代に存在していたことが化石学から判明している。
この怪物が現代に現われたら、人類はどうやって戦うべきか? テイラーはグライダーに乗って海中を駆け回り、ポッド上部のエッジを利用して撃退作戦を敢行。痛快にして爽快な結末を見逃すな!
『ターミネーター2』
製作年/1991年 監督・脚本/ジェームズ・キャメロン 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、エドワード・ファーロング
無骨なアクションヒーロー像を確立!
2019年には最新作も公開され、誰もが認めるアーノルド・シュワルツェネッガーの代表作シリーズ。その中でも最高の人気を誇るのが、この第2作。1作めではヒロインのサラ・コナーを抹殺するために未来から送り込まれたターミネーターのT-800。つまり“悪役”だったわけだが、この続編では、サラの息子ジョンを殺そうとするT-1000に対し、ジョンを守ろうとする。悪役が“味方”に変貌したことで、観る者の心をグッとつかんで離さない。
液体金属として姿を自在に変えるT-1000。公開当時はその驚異のビジュアルが話題になった。一方のシュワのT-800が、やや旧式のパワーで、あくまでも真っ向勝負に挑む。マシンなので基本的に無表情。ジョン・コナーから人間の心を学ぶ姿も微笑ましく、無骨のアクションヒーローというシュワの原型が完成した1作と言っていい。日本では1991年、ぶっちぎりのナンバーワンヒット。あの有名なラストシーンや、「地獄で会おうぜ(アスタ・ラ・ビスタ)、ベイビー」といった名セリフなど、いつまでも心に残っている人も多いはず。
『コマンドー』
製作年/1985年 監督/マーク・L・レスター 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、アリッサ・ミラノ、ヴァーノン・ウェルズ
勢いにまかせた豪快アクションが存分に味わえる!
『コナン・ザ・グレート』の史劇の世界の剣士、『ターミネーター』のT-800と、どこか非現実的な役でスターへの階段を駆け上がっていたシュワルツェネッガー。そんな彼が“現実的”なヒーロー役で初めて認知されたのが、この『コマンドー』だ。
シュワが演じたのは、元陸軍特殊部隊(=コマンドー)の隊長、ジョン・メイトリクス。南米でクーデターが起こり、彼の娘が誘拐される。犯人に大統領暗殺を強要されるジョンだが、その依頼には従わず、単独で敵地に乗り込む。
T-800役からさらに進化した銃撃など、シュワのアクションが確立された1作。セリフ回しがややぎこちなかったりもするが、それさえも魅力に変える、カリスマ的オーラが漂っている。娘を奪還するジョンの行動は、とにかく迷いがなく勢いまかせ。しかし、その勢いが爽快感につながり、作品の持ち味になったという、ある意味で“奇跡”のような作品。シュワのファンには彼の本質を心から味わえるという意味で、根強い人気を保っている。
『プレデター』
製作年/1987年 監督/ジョン・マクティアナン 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリーロ
地球外生命体とのタイマン勝負に血が騒ぐ!
人間を相手にした戦いでは物足りないとばかりに、シュワルツェネッガーが地球外生命体と格闘する。敵となる“プレデター”の、ありえないほど不気味なビジュアルも話題を集めた。シュワが演じるのは、元グリーン・ベレーの隊員で、通称“ダッチ”。南米で消息不明となった要人を探し、ダッチが指揮をとる特殊コマンド部隊がジャングルに分け入っていく。
前半はゲリラ軍との死闘が展開。このあたりはバトルアクション映画のド迫力で、中盤は正体不明の敵がいつ襲ってくるかわからないサスペンス風のムード。地球外生命体のプレデターは肉体を透明化する能力をもち、獰猛な肉食という点が斬新だったが、シュワのほかの作品を観慣れた人には、1対1の戦いが明らかにシュワに軍配……という安心感も!?
『プレデター』は続編も作られ、後にエイリアンと人気キャラ対決する映画も公開された。けれども、ダッチは1作めの後に亡くなったという設定なので、シュワが出演したのは今作のみ。その意味でも貴重。
『ツインズ』
製作年/1988年 製作・監督/アイヴァン・ライトマン 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、ダニー・デヴィート、ケリー・プレストン
コメディセンスを遺憾なく発揮!
シュワルツェネッガーがほかの大物アクションスターと違うのは、コメディセンスが独特な点。初期の『コマンドー』でも片鱗は覗いていたが、純粋なコメディ作品に主演するのは、これが初めて。製作と監督は『ゴーストバスターズ』のアイヴァン・ライトマン。今作と『キンダーガートン・コップ』で、新たな才能がマックスで発揮された。日本では一時、CMにも出ていたりしたので、こっち側の彼を“シュワちゃん”と呼び、ファンになった人も多い。
シュワが演じるのは双子のひとり。とはいっても、もうひとりは外見が似ても似つかぬダニー・デヴィート。遺伝子操作の実験によって、片方は長身で運動神経バツグン、頭脳も優秀。もう片方は、すべて逆という双子が誕生。大人になって再会した2人が母親を探す旅に出る。
もちろん主演2人の凸凹感が見どころなのだが、すべて優秀のようなシュワ演じるジュリアスが、実は世間知らずで純粋な性格という味つけが笑いを加速。ホッコリするラストまで、シュワ主演作としては安心感も満点!
『ラストスタンド』
製作年/2013年 監督/キム・ジウン 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、ロドリゴ・サントロ、フォレスト・ウィテカー、ピーター・ストーメア
無敵じゃないキャラが新鮮!
2003年、カリフォルニア州知事に就任し、基本的に俳優業は休止状態となったシュワルツェネッガー。知事の合間に『エクスペンダブルズ』などへの特別出演はあったが、2011年に任期を終えて映画界に本格復帰。2003年の『ターミネーター3』以来、約10年ぶりに主演を務めたのがこの作品だ。演じたのは、メキシコ国境に近い田舎町の保安官。国境を超えて逃亡しようとする凶悪犯の麻薬王を、なんとか阻止しようとする。
公開時、シュワは70歳。作品の中でも年齢にまつわる自虐ネタを披露するし、演じる保安官は無敵のヒーローというわけではない。そんな男が銃をかまえる姿は哀愁も漂い、シュワの新たな方向性が示された1作だ。
過去の作品では基本的にメインとして戦ってきたが、ここでは保安官仲間、武器マニアら町の面々とのチームプレーがメイン。ヒーローのイメージとは遠い彼らの奮闘と絆に、思いのほか感動してしまう。レアな銃器も登場したりと、マニア心もくすぐるはず。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/ジョージ・ミラー 出演/シャーリーズ・セロン、トム・ハーディ、ニコラス・ホルト
強くて美しいシャーリーズ最大のハマり役!
『マッドマックス サンダードーム』以来、30年ぶりとなるシリーズ第4作。妻子を殺された男マックス(トム・ハーディ)が、資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界で壮絶な復讐劇を繰り広げる。シャーリーズが演じるのは、荒野をさまようマックスと出会い、やがて共闘していくことになる女戦士フュリオサ。
髪を短く刈り込んだクールな外見に片腕の欠損を感じさせない戦闘能力など、精神的にも肉体的にも強く美しい現シャーリーズ・セロン最大のハマリ役で、彼女にしか演じられない役どころ。邪悪な支配者の打倒を誓うマックスとのカップリングも相性よく、強く美しいシャーリーズを堪能するなら何はなくともコレから。
『ジョン・ウィック:パラベラム』
製作年/2019年 監督/チャド・スタエルスキ 出演/キアヌ・リーヴス、ハル・ベリー、ローレンス・フィッシュバーン
犬との超絶コンビプレーで敵を退治!
元凄腕の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)が、亡き妻の遺した愛犬を無残に殺されたことから裏社会に復帰。たったひとりで巨大マフィアを壊滅させて、愛犬の復讐を果たした痛快作のシリーズ3作め。
本作では掟を破ったことで命を狙われる立場となったジョンがNYから逃亡するハメになり、シリーズ史上最も派手で壮絶なアクションを繰り広げる。
シリーズを通して犬が出てくるので本作でももちろん登場。特に白眉はハル・ベリー演じるソフィアとジョン、ソフィアの愛犬という、人間ふたり、犬2頭の共闘シーン。
よく訓練された犬がソフィアの指示に従って敵に襲いかかっていく様子(ドッグ・フー)はかっこよすぎ。ソフィアと並んで歩く2頭の堂々とした(ちょっと得意げ)姿がとても凛々しく、そしてかわいい。やはり『ジョン・ウィック』シリーズといえば犬! “犬は最良の相棒”なのだ。
『ロッキー』
製作年/1976年 監督/ジョン・G・アビルドセン 出演/シルベスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング
伝説シーンが凝縮された傑作!
シルヴェスター・スタローンの代表作と誰もが認めるうえに、ボクシング映画としても最も人気の高い1作として、映画史に燦然と輝く。モハメド・アリの試合を見てアイデアが浮かんだスタローンが自ら脚本を執筆。
当時、俳優としては無名だった彼自身がロッキー役を演じた結果、主人公の挑戦とスタローンのスターとしての大ブレイクが鮮やかに重なった。その結果、アカデミー賞作品賞という栄冠までつかんだのである。
30歳を迎えて、ボクサーとしての夢を失っていたロッキー。しかし、世界ヘビー級チャンピオンのアポロが、無名のボクサーと対戦すると発表。その相手に選ばれたロッキーが、人生をかけてトレーニングに挑む。
ビル・コンティの音楽とともにフィラデルフィア美術館の階段へ向かう早朝ランニング、生卵の一気飲み、ラストのセリフなど、“伝説”となったシーンが多数。スタローンは、このロッキー役を、2018年の『クリード 炎の宿敵』まで、42年間演じ続けたことになる。
『ランボー/怒りの脱出』
製作年/1985年 監督/ジョージ・パン・コスマトス 出演/シルベスター・スタローン、リチャード・クレンナ、チャールズ・ネイピア
究極のサバイバル戦に興奮!
スタローンにとってロッキーと並ぶ“生涯の当たり役”となった、ベトナム帰還兵のジョン・ランボー。シリーズが成功するかどうかのカギは2作めだといわれるが、このランボーも2作めの『怒りの脱出』が好きだというファンが多い。服役していたランボーが、自由と引き換えに与えられた任務は、今もベトナムのジャングルで捕虜となっているアメリカ兵の調査だった。
ベトナム時代の上官で、1作めにも登場した国防総省のトラウトマン大佐が「地獄はランボーの戦場」と語るように、この2作めはトラウマを作ったベトナムが舞台になることで、より過酷で壮絶な戦いが用意された。
ランボーといえば、弓矢の達人というイメージだが、そのアクションが確立されたのも今作。捕虜救出のミッションは怒涛のサバイバルになだれ込むが、現地の案内人であるベトナム女性との切ない恋も展開。シリーズでは珍しく、ランボーのキスシーンもある。
『オーバー・ザ・トップ』
製作年/1987年 監督/メネハム・ゴーラン 出演/シルベスター・スタローン、デビッド・メンデンホール、ロバート・ロッジア
挫折をバネに立ち向かう姿こそ醍醐味!
妻子を残して家を飛び出したコンボイ運転手が、妻の病気をきっかけに10年ぶりに息子と再会。しかし父と息子の間には、深い溝ができあがっていた……。複雑な親子関係を、スポ根ストーリーと合わせて描く映画はよくあるが、今作の場合、そのスポーツがアームレスリングというのが斬新だった。
公開時の1987年、日本では“腕相撲”という名称が常識だったが、この映画によってアームレスリングという言葉も一般レベルで浸透。アームレスリング大会が盛んになるという、ちょっとした社会現象も起こした作品。
広大なアメリカを、コンボイトラックが疾走する。そんな映像からテンションが上がり、最大の見どころである“筋肉対決”は大盛り上がりの状態。スタローンの上腕には目がクギづけである。もちろん勝負の行方は、息子とのエピソードが左右し、定番の流れとはいえ、ストレートに感動を呼び起こし、目頭が熱くなる。
ロッキーやランボーもそうだが、今作で演じたリンカーン・ホーク役も、屈折や挫折をバネに強敵に立ち向かうという構図が、ほかのアクションスター以上にスタローンにはよく似合うと証明する。のちにプロレスラーとなり、日本のリングで活躍するスコット・ノートンも出演している。
『クリフハンガー』
製作年/1993年 監督/レニー・ハーリン 出演/シルベスター・スタローン、ジョン・リスゴー、マイケル・ルーカー
高所恐怖症を克服して挑んだ山映画!
日本では年間トップ(1994年度)のヒットを記録するなど、スタローンのキャリアの中でも人気の高いのが、この山岳アクションだ。同僚の恋人を死なせてしまったレスキュー隊員のゲイブ。気落ちする彼にロッキー山脈からのSOSが届き、国際犯罪組織の罠に巻き込まれていく。
特殊効果は最小限に抑えて、徹底的に肉体のパワーを強調したスペクタクルが見もので、高所や山岳を舞台にしたその後のアクション映画は『クリフハンガー』を引き合いに出されることが常識となった。
『ランボー』のアクション撮影でケガをしたのがきっかけで、高所恐怖症になったというスタローン。そのトラウマを消すために、インナーマッスルと握力を鍛えて今作に挑んだ。絶壁の雪山を素手で、しかもTシャツ1枚で登るなんて、スタローン以外には不可能だとファンならずとも惚れぼれ!
もちろんスタントマンも大活躍。上空を行く2機の飛行機の間をワイヤーで渡るなど、信じがたい実写シーンも登場する。近年のスーパーヒーローのアクション映像を観慣れた人にとって、このリアル感は貴重。ややヒット作が少なくなってきた時期のスタローンにとって、一発逆転作品としても記憶にとどめておきたい。
『バレット』
製作年/2012年 監督/ウォルター・ヒル 出演/シルベスター・スタローン、サン・カン、サラ・シャヒ、クリスチャン・スレーター
ベテランらしい抑えた演技が光る!
監督は『ストリート・オブ・ファイヤー』などのウォルター・ヒルで、スタローンとはこれが初の作品ながら、長年、親しい関係だったという2人。そうした信頼感から、監督はスタローンに“抑えた演技”も提案したという。そうした演出によって、スタローンの多くの主演作の中でも独特のムードが生まれたのが、この『バレット』だ。
スタローンが演じるジミーは、スゴ腕の殺し屋である元海兵隊員。少しだけランボーも連想させるが、裏社会に生きる男だ。そんな彼が、相棒を殺されたことで復讐の鬼と化す。敵に近づくため、ジミーが手を組むのは刑事のテイラー。殺し屋と刑事。普通なら協力することのない彼らがコンビとなるわけで、正義と悪の混沌とした世界へと進んでいく。
スタローンも邪悪さとヒーローの両面を好演。すでに60代半ばになっていたので、たしかに全盛期のような肉体のキレはない。しかし、わずかな動きと銃撃という“テクニック”で魅せる。いぶし銀の活躍を観てほしい1作だ。
『ザ・シューター/極大射程』
製作年/2007年 監督/アントワーン・フークア 出演/マーク・ウォールバーグ、ダニー・グローバー、マイケル・ペーニャ
マークが最も得意とするキャラクター!
『ローン・サバイバー』、『パトリオット・デイ』など、マーク・ウォールバーグのアクション主演作にはシリアス&骨太系も数多い。その中でも隠れた名作といえるのがコレ。アメリカ海兵隊員のボブ・リー・スワガーは、スナイパーとしての腕前は誰にも負けなかった。軍の極秘任務で仲間を亡くしたことから隊を退き、隠遁生活を送っていた彼に、大統領暗殺計画を阻止してくれという依頼が舞い込む。仕方なく承諾するスワガーだが、その裏では恐るべき陰謀も進行していた。
孤高の無敵男が、かつて誰も経験したことのない過酷な試練に立ち向かう……。これこそ、マーク・ウォールバーグが最も得意とする役どころ。スナイパーとして狙った標的に銃をかまえるシーンなど、そのストイックな“仕事人”の表情に、見ているこちらの集中力もアップ。心に深い傷を抱え、俗世間から離れて暮らす姿も、これまた妙にカッコいい。この成功に気をよくしたマークは、本作の世界観を広げた、同じタイトルのドラマ『ザ・シューター』を製作総指揮(自分は出演せず)。マークにとっても、お気に入りの作品なのである。
『ザ・ファイター』
製作年/2011年 監督/デビッド・O・ラッセル 出演/マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス
演技力の高さを見せつけた!
マーク・ウォールバーグの演技力がハイレベルで発揮された作品を聞かれたら、この『ザ・ファイター』を挙げる人は多いだろう。マークが演じたのは、兄のディッキーから指導を受けるボクサーのミッキー。ディッキーは天才ボクサーなのだが、麻薬に手を出し、犯罪も起こす。そんな複雑な家庭環境で、兄や母から過剰な期待をかけられつつ、なかなか試合に勝てない……。屈折しまくりな状況のミッキー役で、ほかの映画とはまったく違うマークを目にすることができる。
自他ともに認める“肉体派”のマークは、本作のためにトレーナーの下で準備を積み、プロボクサーと比べても遜色のない完璧な肉体を作り上げた。特にリングでのシーンはリアリティ満点だ。この映画はアカデミー賞で、ディッキー役のクリスチャン・ベールが助演男優賞、愛情過多で独善的な母親役のメリッサ・レオが助演女優賞を受賞。マークは主演でありながら、彼らの熱演を引き出すという一歩引いたその姿勢で感動を高めることに成功。実話の映画化で、モデルとなったミッキー本人も特別出演している。
『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』
製作年/2010年 製作・監督/アダム・マッケイ 出演/マーク・ウォールバーグ、ウィル・フェレル、エバ・メンデス、サミュエル・L・ジャクソン、ドウェイン・ジョンソン
マーク史上、最高ランクの楽しさ!
マーク・ウォールバーグの魅力のひとつが、まじめにやればやるほど笑っちゃうという演技。その魅力が発揮されて、多くの人に愛されたのが『テッド』だが、それ以上にマークのコメディの才能が炸裂しまくるのが本作。タイトルのとおり『俺たち』シリーズなので、主人公たちのふざけた活躍が見もの。マークが演じるのはNY市警の刑事テリーで、血気盛んで暴走しやすいタイプ。そんな彼が、内勤好きなオタク刑事アレンとコンビを組むことになる。
何から何まで正反対のテリーとアレン。そのギャップはもちろん、相棒の不甲斐なさにブチきれるマーク・ウォールバーグの演技にいちいち爆笑。全くモテないタイプのアレンに、実は超セクシーな妻がいたと発覚するのだが、その瞬間のテリーの驚きの表情は最高! さらに先輩刑事コンビとしてドウェイン・ジョンソンとサミュエル・L・ジャクソンが出演。豪華キャストの登場に喜ぶのもつかの間、あっさりと序盤で消えてしまう! あらゆる方向で予想を裏切る展開が用意されている、なんとも痛快な作品なのだ。刑事アクション映画としてのド派手さも含め、“楽しさ”という点ではマーク・ウォールバーグ作品の中でも最高ランク!
『ベイウォッチ』
製作年/2017年 監督/セス・ゴードン 出演/ドウェイン・ジョンソン、ザック・エフロン
陽気なムード満載のビーチに憧れる!
ビーチを守るライフガードたちの活躍を描き、世界中で大ヒットした名作ドラマのリメイク。海難救助隊ベイウォッチのリーダーとして海の安全に目を光らせる男ミッチが、海上で起きた不審死事件の真相に迫る。
物語の舞台であり、主なロケ地でもあるフロリダ州のビーチを陽気なムード満載で楽しげに映し出したショットはもちろん、この作品で描かれる海に欠かせないのは、ナイスバディの水着美女や肉体自慢のマッチョガイたち。彼らがエネルギッシュに浜辺を駆ける姿が、青い海とセットになっている。
実際、ミッチ役のドウェイン・ジョンソンをはじめ、ミッチとともに事件を追う新人ライフガード役のザック・エフロンらキャストたちは、(もともと肉体美に定評はあるものの)劇中での肉体披露のための筋トレに余念がなかったそう。そんなロック様が守る海なら、安心感も倍増!
text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Mayuko Kumagai、Manabu Souma、Toru Yonehara