こんなキアヌはいかが!?
キアヌ・リーヴス偏愛映画5選!
トップスターともなれば、出演作は色々。特にキアヌは、ほかのスター俳優とは一線を画す、独自の作品選びをしていることで有名(?)。で、そんな裏キアヌの魅力があふれ出ている出演作を5本セレクト。このキアヌを愛してこそ、真のファン!?
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『ビルとテッドの大冒険』
製作年/1989年 監督/スティーヴン・ヘレク 脚本/エド・ソロモン 共演/アレックス・ウィンター、ジョージ・カーリン
キアヌのライフワーク的作品!?
およそ30年間にわたってトップスターの地位を保ち、いまだにファンが増え続けている、キアヌ・リーヴス。初期の代表作に『マイ・プライベート・アイダホ』や『スピード』を挙げる人も多いが、それらのクールなイメージとは裏腹に、彼の最初のブレイクは、この能天気な高校生役だと断言!
簡単に言えば、オバカなノリの青春映画。ロックスターになることを夢みるビルとテッドが、歴史の授業で落第の危機に陥り、謎の男の導きで過去にタイムトラベルする。電話ボックス型のタイムマシンを使い、ナポレオン、ベートーベンといった歴史上の人物を現代に連れてきてしまうのだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなタイムトラベルものなのだが、ストーリーのつじつま合わせは完全に無視の、純粋なコメディ。ひたすら能天気なテッド役で、ここまで楽しそうに演じているキアヌは、いま改めて観ると新鮮そのもの!
ビルとテッドが何度も見せるエアギターのポーズは、ちょっとした流行にもなり、2年後には続編『ビルとテッドの地獄旅行』も公開。それからさらに29年後の2020年、第3作『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(12月18日公開)も完成したので、これはある意味でキアヌの原点であり、ライフワークでは?
『リトル・ブッダ』
製作年/1993年 原案・監督/ベルナルド・ベルトルッチ 脚本/マーク・ペプロー、ルディ・ワーリッツァー 共演/アレックス・ウィーゼンダンガー
“いい人”キアヌにぴったりの役柄!
『ビルとテッド』の後、『ハートブルー』や『ドラキュラ』でキャリアを好調に積み上げてきたキアヌが、その唯一無二の魅力を発揮したのが、『リトル・ブッダ』。キアヌが演じるのは、シッダールタ王子=ブッダ(お釈迦様)。
作品全体の主人公は、ブッダの生まれ変わりと告げられ、アメリカからチベットへ向かう9歳の少年なのだが、その物語と並行して、シッダールタの半生が描かれていく。監督は『ラストエンペラー』などの巨匠、ベルナルド・ベルトリッチ。音楽は坂本龍一が手がけ、ドラマチックなスコアも印象に残る、荘厳な一作だ。
キアヌを偏愛するファンには、この作品を大切にしている人も多い。レバノンのベイルート生まれで、アジアの血も流れている彼に、この王子役がぴったりなのはもちろん、キアヌといえば、地下鉄で席を譲ったり、道で故障したクルマのドライバーを助けたりと、私生活での“いい人伝説”の宝庫。
自分のエゴを捨てて、悟りを開いた今作のシッダールタ役が、本人とシンクロしてしまう。王子としての凛々しさ、つらい苦行でボロボロになる姿、そしてひとつの境地にたどりつく運命……。そのすべてを体現できるキャストは、キアヌ以外に考えられない。
『コンスタンティン』
製作年/2005年 原案・脚本/ケヴィン・ブロドビン 共演/レイチェル・ワイズ、シャイア・ラブーフ、ティルダ・スウィントン
複雑で屈折したキャラこそ真骨頂!
どこか孤独で、陰のあるヒーローは、キアヌが最も得意とするパターン。『コンスタンティン』の主人公は、この系列の中でも恐ろしいくらいにハマっている。地球上には、天使と人間、そして悪魔と人間の中間である“ハーフブリード”が存在。
探偵のジョン・コンスタンティンは彼らを見分けることができる。しかしタバコの吸い過ぎで、肺がんとなって余命1年の宣告。死後に地獄行きが決まっているジョンは、その運命を変えるべく、悪魔祓いを行っている。かなり複雑で屈折したキャラなのだが、キアヌが演じると素直に感情移入できてしまうから不思議!
タバコはもちろん、酒や腕時計にもこだわりのブランドがある。人生を捨てたような無常観を漂わせつつ、私利私欲の行動もとる。そんなジョン・コンスタンティンの生き方には、本能的にあこがれてしまう人も多いはず。
その一方で、ハーフブリードを巡る戦いでは、ホラーのテイストに特大スケールのアクションが融合され、かなり異色のテイスト。十字架の形をしたショットガンなど使われる武器もユニークだ。世界観も映像も、そしてアクションも、どこかマニア心をくすぐる印象ながら、王道のアクション映画を観ている気になるのは、ひとえにキアヌが主演だからかもしれない。キアヌ自身も続編を待望するほど気に入っている。
『フェイクシティ ある男のルール』
製作年/2008年 監督/デヴィッド・エアー 脚本/ジェイムズ・エルロイ 共演/ヒュー・ローリー、クリス・エヴァンス、セドリック・ジ・エンターテイナー
ストイックなキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスのキャリアの中では、派手さが少ないものの、役にぴったりという点でハイレベルなのがこの作品。キアヌが演じるのはLAPD(ロサンゼルス市警)のトム・ラドロー。まわりに頼らない一匹狼で、捜査のためには手段を選ばない。性格は短気で、刑事なのにアウトロー。
善と悪の混沌とした世捨て人のようなキャラクターが、キアヌの魅力とマッチしている。かつてコンビを組んでいた同僚に内部告発されたトムだが、目の前でその同僚が覆面強盗に殺害され、トムの撃った銃弾も同僚に当たってしまい……。
脚本を手がけているのが、『L.A.コンフィデンシャル』などの原作者で犯罪小説の巨匠である、ジェームズ・エルロイ。そのせいか警察の裏事情や犯罪のシーンは徹底してリアルに描かれている。銃撃アクションなど、映画っぽい過激さより、現場の生々しさを重視した感覚で演出されているので、逆に新鮮かも。
この手の犯罪アクションは意外な展開がセールスポイントになることが多いが、今作は物語もアクションも、余計なヒネリを入れずに突き進んでいくところが魅力になっている。妻を亡くしたトムが、看護師の恋人と微妙な関係が続いていたりと、すべてにおいてストイックな雰囲気がキアヌに似合っているのだ。
『ノック・ノック』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/イーライ・ロス 共演/ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス
キアヌ史上、ダントツに心ざわめく1本!
ときどき想定外に振り切った役を演じ、ファンを驚かせるキアヌ・リーヴスだが、今作はその好例。建築家のエヴァンは、妻と子供たちが旅行に出かけ、ひとりで留守番をしていたところ、見知らぬ2人の若い美女が訪ねてくる。最初は警戒した彼も、雨で寒さに震える彼女たちを招き入れ、あろうことか欲望に逆らえず一夜の過ちを楽しんでしまう!
この時点でキアヌの意外な表情を楽しめるが、美女たちの態度が豹変。エヴァンを拷問しはじめてしまう。いたぶられるキアヌの姿には、ファンならずとも目を疑ってしまうだろう。近年の当たり役であるジョン・ウィックと同じく、ワンコが重要な役割なのもポイント。
仕事も一流で、理想的な家族をもつ主人公が、さんざんな目に遭う危険極まりないストーリーだが、元をたどれば自業自得。その哀れな状況は痛々しいばかりだが、観ているこちらも思わず共感してしまうのが、この作品のコワいところ。監督は『ホステル』など衝撃ホラー作品が得意のイーライ・ロス。セクシーで過激な描写もたっぷり用意されているし、エヴァンが迎える結末も含め、キアヌの主演映画の中でダントツに心ざわめく一本なのは間違いない!
photo by AFLO