『サンセット大通り』
製作年/1950年 監督/ビリー・ワイルダー 出演/ナンシー・オルソン、ウィリアム・ホールデン、グロリア・スワンソン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム
かつての大女優の末路とは……
舞台は1950年代のハリウッド。借金取りに追われる売れない脚本家ジョーは、逃げ込んだ屋敷で、無声映画時代の人気女優ノーマと出会う。今や忘れ去られた存在である彼女だが、今も大衆に愛されていると信じ込んでおり、銀幕への復帰を模索していた。ジョーは彼女のヒモとして暮らすことになるが、スタジオの脚本室で若い女性脚本家と共同作業するうちに恋仲となったことから、事態は思わぬ方向へと向かい……。
華やかな映画界と、その陰で忘れ去れられる人々の人間模様を描き出した名匠ビリー・ワイルダーの傑作。落ちぶれた女優は一度浴びたスポットライトの快感を忘れられず、歳をとっても女優であろうとする。そんな寂しさと、切なさを緊張感とともに活写。ノーマを演じたグロリア・スワンソン自身、無声映画時代の人気女優で、ノーマ役はそんなキャリアを投影した役でもあった。後にデビッド・リンチ監督がオマージュを捧げた『マルホランド・ドライブ』ともども、必見。
『ザ・プレイヤー』
製作年/1992年 原作・脚本/マイケル・トルキン 監督/ロバート・アルトマン 出演/ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、ウーピー・ゴールドバーグ
冒頭8分の長回しシーンに注目!
何者かの脅迫に悩まされる映画スタジオの重役グリフィンは、かつて企画を断った脚本家を犯人とみて接触。ところが、誤ってこの脚本家を殺害してしまう。それでも脅迫は止まず、警察の追及の手も伸びていた。唯一の心の慰めは、亡き脚本家の恋人だった画家の女性とのロマンス。出世を争うライバルとの闘いにも神経をすり減らし、グリフィンは次第に追い詰められていくのだが……。
今回ピックアップした中で、もっとも風刺のキツい業界ドラマ。金になる企画だけを追求し、芸術性は二の次、三の次にするスタジオの姿勢を、ハリウッドで不遇に見舞われていた鬼才ロバート・アルトマンが毒気たっぷりに浮き彫りにしていく。彼を敬愛するジュリア・ロバーツ、ジョン・キューザックら豪華キャストのカメオ出演も見どころ。映画製作の現場をとらえた、冒頭8分の長回しシーンも語り草に。
『バビロン』
製作年/2022年 監督・脚本/デイミアン・チャゼル 出演/ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、トビー・マグワイア
ブラピが失墜するスターを演じる!
舞台は無声映画からトーキーに移行する1920年代のハリウッド。映画界に憧れるメキシコ移民の青年マニーはパーティの手伝いとして雇われた際、華やかな世界を夢見る奔放な女性ネリーと出会う。ほどなくして彼女は思い切りの良さと美ぼうを買われて女優となり一躍、人気者に。一方、トーキーの波の中で無声映画のスター、コンラッドは新たなキャリアの確立に四苦八苦。映画界で職を得たマニーは、そんなハリウッドの激動を魔の当たりにしていく。
『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が黄金期のハリウッドにオマージュを捧げた群像劇。夜ごと続く退廃的なパーティと、死者が出るのも当たり前の撮影現場、麻薬やアルコール、賭博がらみのトラブル、無名の者が一夜にしてスターとなり、それまでのスターが失墜する弱肉強食の人気商売。まさに狂騒というべき“何でもあり”の時代が、きらびやかな映像で甦る。
『トラブル・イン・ハリウッド』
製作年/2008年 製作・出演/ロバート・デ・ニーロ 製作・原作・脚本/アート・リンソン 製作・監督/バリー・レビンソン 出演/ショーン・ペン、ブルース・ウィリス、ジョン・タトゥーロ
映画プロデューサーの苛烈な1週間を描く!
主人公は離婚歴のある映画プロデューサー、ベン。カンヌ映画祭に出品するための作品が試写で不興を買い、怒るスタジオの社長をなだめつつ、彼は気まぐれな監督に再編集をするよう頼みこむ。一方では新作の撮影を控えていたが、主演のブルース・ウィリスは製作陣の意向に反し、ヒゲ面で出演すると言って譲らない。おまけに、未練を残している元妻に新たな恋人の影がちらつき、ベンはどんどんストレスをため込んでいく……。
『ヒート』『ファイト・クラブ』などを製作したアート・リンソンの回顧録に基づくシニカルコメディ。映画プロデューサーの胃が痛むような一週間の奔走を、ユーモラスに描く。ロバート・デ・ニーロが主演を務め、周囲の人々の主張やわがままに振り回されっぱなしの苦労を体現。映画を一本作り上げるために、どれだけの人間がかかわり、どれほどの苦労がついてまわるのかが、よくわかる。
『フォール・ガイ』
製作年/2024年 原案/グレン・アルバート・ラーソン 監督/デヴィッド・リーチ 脚本/ドリュー・ピアース 出演/ライアン・ゴズリング、エミリー・ブラント、アーロン・テイラー=ジョンソン
スタントマンの世界を描く!
怪我でリタイアしていたスタントマンのコルトは、念願だった初監督に挑む元恋人ジョディの映画のために撮影現場に復帰。ところが主演スターのトム・ライダーがロケ地で失踪し、プロデューサーはコルトに、トムの捜索を依頼してくる。トムは現地で“よからぬ連中”とつるんでいたとのこと。現場ではジョディのために体を張る一方、夜はトムの足取りを追うコルトだったが、気が付けば殺人の濡れ衣を着せられて窮地に立たされ……。
1980年代のTVドラマ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』をリメイク。スタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督が、自身のよく知る世界を題材にして痛快なエンタテインメントに仕上げた。大作映画の撮影現場が主な舞台であり、スタントはもちろんカメラマンや美術スタッフらの奮闘ぶりも愛情豊かにとらえられる。サスペンスやユーモア、ロマンスをまじえつつ、映画作りを裏で支える、多くの名もなきスタッフに敬意を表した映画ファン必見作!
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Photo by AFLO