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2024.03.09

ツメアト映画~エポックメイキングとなった名作たち~ Vol.25
『許されざる者』が映画界に残したものとは?(1)



「最後の西部劇を撮るとしたら多分これがそうだろう。私の気持ちの総まとめみたいなところがあるから」「自分の最後の西部劇として大事に暖めてきたのだろうと思う」――。

この発言は1992年の名作『許されざる者』の劇場パンフレット(日本公開:1993年4月24日)に掲載されている、監督・主演を務めたクリント・イーストウッドの公式インタビューからの引用だ。1930年5月31日、米カリフォルニア州サンフランシスコで生まれたイーストウッドは、当時62歳。『許されざる者』の脚本はもともと1970年代後半に書かれたもので、1960年に同タイトル(原題:The Unforgiven)のジョン・ヒューストン監督、オードリー・ヘプバーン主演の西部劇があるが内容は関係ない。これは『ブレードランナー』(1982年/監督:リドリー・スコット)の共同脚本家として知られるデヴィッド・ウェッブ・ピープルズのオリジナルだ。映画化権は当初、フランシス・フォード・コッポラ監督が所有していたが、それを放棄したタイミングでイーストウッドが即座にゲット。さらに10年ほど寝かしてから、満を持して映画化に至った。
 

 
時代設定は1880年代。イーストウッドが演じるのは、米中西部カンザスの田舎に住む貧しい農夫のウィリアム・マニーだ。数年前に妻を亡くし、二人の子供たちと一緒に暮らす年老いた彼だが、実はかつて泣く子も黙る非情な無法者として悪名を轟かせたガンマンだった。いまは穏やかな日々を送るが、しかし家業が不調でカネがない。仕方なく彼は久々に銃を取り、賞金の掛かったお尋ね者を撃つためにワイオミングへの旅に出る……。

「私の気持ちの総まとめ」とイーストウッドも語るように、これまでの生涯で数々の列車強盗や殺人を繰り返してきたウィリアム・マニーは、イーストウッドの“俳優としての自画像”と重なるところがある。もっとも『続・夕陽のガンマン』(1966年/監督:セルジオ・レオーネ)では”善玉“(The Good)という役回りだったし、基本的には西部劇のヒーローを演じてきたわけだが、それでも暴力の行使を重ねてきたことには変わりないのだ。暴力とは英雄的なものではなく、矛盾と苦渋に満ちた重苦しい行為だと伝えるために、マニー/イーウトウッドは最後の銃を取る。言わば血塗られた者による”贖罪“の旅を、至高の映像美と共に描く内容だとも整理できるだろう(撮影は1986年の『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』からイーストウッド組の常連であるジャック・N・グリーン)。セルジオ・レオーネ(1929年生~1989年没)、ドン・シーゲル(1912年生~1991年没)というイーストウッドにとっての師匠である二人の監督に捧げられた本作は、第65回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む4冠に輝いた。
 
  

 


あの主演作『ダーティハリー』(1971年/監督:ドン・シーゲル)が大ヒットする直前、イーストウッドがミステリー映画『恐怖のメロディ』(1971年11月全米公開)で初めて監督と主演を兼ねて以来、『許されざる者』は第16作目の監督作になる。しかし監督としてのイーストウッドは、アメリカでは長らく“スター俳優の余技”という捉え方が多く、不当な評価に甘んじてきた。“映画作家イーストウッド”を高く評価したのはまず日本、次いでヨーロッパというのが定説である。ジャズサックス奏者のチャーリー・パーカーを描いた監督作『バード』(1988年)が第41回カンヌ国際映画祭で主演男優賞(フォレスト・ウィテカー)、そして第46回ゴールデングローブ賞の監督賞を獲得したのが、『許されざる者』以前の目立った受賞歴となる。
 

 
翻れば俳優としてもイーストウッドは母国アメリカ合衆国とは微妙に相性が悪く、デビューからしばらくは端役ばかりで、最初にブレイクしたのは1959年から出演したテレビシリーズの『ローハイド』であった。映画俳優としてはイタリアに渡り、マカロニ・ウェスタン(イタリア製西部劇)の嚆矢のひとつと言われる『荒野の用心棒』(1964年/監督:セルジオ・レオーネ)に主演してからようやくスターダムにのし上がった。ハリウッドからすると異国の辺境から届いたB級カテゴリーで名を馳せたイーストウッドは、西部劇というジャンルにおいても実は鬼っ子なのだ。だがそのおかげで、ハリウッドとマカロニの両方、王道と覇道の西部劇全域を馬に乗って駆け巡ったのはイーストウッドひとりだけ、という特殊な孤高性を得ることになった。
『許されざる者』が映画界に残したものとは?(2)に続く

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ツメアト映画~エポックメイキングとなった名作たち~ Vol.24『テルマ&ルイーズ』が映画界に残したものとは?
 
  

 

 
文=森直人 text:Naoto Mori
photo by AFLO
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