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『ユーフォリア/EUPHORIA』
製作年/2019年〜 原案・脚本/サム・レヴィンソン 監督/サム・レヴィンソン、オーガスティン・フリッツエェル、ジェニファー・モリソンほか 出演/ゼンデイヤ、ハンター・シェイファー、ジェイコブ・エローディ
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A24製作、現代の若者の葛藤を過激に映し出す大ヒットドラマ
『スパイダーマン:ホームカミング』のゼンデイヤがティーンながらドラッグ依存症に陥るルーを熱演し、エミー賞主演女優賞を2回受賞。現実離れした、しかしリアルにも思わせる高校生たちの姿が話題を呼び、社会現象になったといっても過言でないHBOシリーズ。
扱うトピックは、ドラッグ、セックス、アイデンティティ、メンタルヘルス、共依存、デートDV、ボディポジティブ、ソーシャルメディアなど多岐にわたる。現代の若者の闇の深さに震撼しながらも、ラビリンスが手がける音楽にのせた詩的な映像表現や旬の若手俳優たちの繊細な演技から目が離せない。どんどん過激になっていく本シリーズとは裏腹に、シーズン1と2の間のコロナ禍に配信された、静かな対話を奇跡のような誠実さで映像化した2本のスペシャルエピソードも必見。
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『I MAY DESTROY YOU / アイ・メイ・デストロイ・ユー』
製作年/2020年 原案・脚本/ミケイラ・コール 監督/サム・ミラー、ミケイラ・コール 出演/ミケイラ・コール、ウェルチェ・オピア、パーパ・エシエドゥ
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気鋭のイギリス人クリエイターが自身の性被害体験をもとにドラマ化
第73回エミー賞で9部門ノミネート、2部門受賞を果たした2020年の話題作。同年の米タイム誌『最も影響力のある100人』に選ばれたミケイラ・コールが、自身の性被害体験をもとに脚本を手がけ、監督・主演も務めている。
作中では、デートレイプドラッグの被害や、性行為中に相手の合意をとらずにコンドームを密かに外す“ステルシング”、偶発的と思わせて実は共謀されていた3P、男性の性暴行被害など、さまざまな性被害の形を扱う。登場人物たちが自身の被害や加害を認知していくまでの過程を克明に描くことで、視聴者も性的同意について学ぶことができる。
この作品がすごいのは、そうしたあらゆる事柄をカバーしながらも、主人公の新人作家アラベラをはじめ登場人物たちがユーモアと人間味にあふれていることだ。締め切り前夜に徹夜で執筆しようとしたり、にもかかわらず夜遊びに出かけたり。若者たちのにぎやかなロンドンライフを夢中になって追っているうちに、事態はどんどん変化していく。数々の衝撃的な出来事を象徴するように、街や海の風景にカラフルなファッションを引き立たせる撮影も素晴らしい。
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『サムバディ・サムウェア』
製作年/2022年〜 原案・脚本/ハンナ・ボス、ポール・スリーン 監督/ジェイ・デュプラス、ロバート・コーエンほか 出演/ブリジット・エヴァレット、ジェフ・ヒラー、メアリー・キャサリン・ギャリソン
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喪失感と孤独に悩む中年女性の日常を描く秀作コメディ
主演のブリジット・エヴァレット本人の故郷であるカンザスの田舎町を舞台に、喪失感や孤独に悩むサムとその家族、個性豊かな友人たちとの一筋縄ではいかない関係と、悲喜こもごもの日常を描くコメディドラマ。過激さもひとつの売りとしてきたHBO作品の中では特に地味さが目立つが、一度離れた地元の町や実家、職場で感じる周囲との距離感やそこからくる無力感、“普通の人生”を送れていないことに対する焦燥感といった普遍的な感情を丁寧に拾っていく本作は、見逃してしまうにはあまりに惜しい。
特に親友となるジョエルと出会ってからのサムの生き生きとした姿には、多くの人が元気をもらえるだろう。毎日のように二人でつるんで冗談を言い合い、ジョエルの導きで歌という情熱も取り戻していくサム。大学でオペラを学び、キャバレーシンガーとしても活躍してきたというブリジットの歌唱力も大きな見どころだ。ドラァグ・クイーンや若い少年たちだけでない、ジョエルをはじめとする中年たちが集まる田舎のクィアコミュニティの存在も、この作品の大きな軸となっている。
Super Pumped: The Battle for Uber © 2022 Showtime Networks Inc. All Rights Reserved.
『スーパーパンプト/Uber -破壊的ビジネスを創った男-』
製作年/2022年 原案/ブライアン・コッペルマン、デヴィッド・レヴィーン 監督/アレン・コールター、ジョン・ダールほか 出演/ジョセフ・ゴードン=レヴィット、カイル・チャンドラー、ケリー・ビシェ
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配車サービス“Uber”の栄枯盛衰をキレキレの演出で描く!
日本国内ではフードデリバリーサービスの会社としてより知られる米Uber。もともとは配車サービスとして2009年に創業され、わずか数年で急激に拡大したIT企業だ。経済評論家、マイク・アイザックの著書『ウーバー戦記』を原作にヒットドラマ『ビリオンズ』のクリエイターらが手がけた本作は、Uberの創業者トラビス・カラニックがそのカリスマ性でビジネス界をのし上がっていき、次第に信用を失っていく様を追う。
スタートアップの創業物語は近年多数作られているが、本作の魅力はスリリングなビジネス展開だけでなく、主演ジョセフ・ゴードン=レヴィットのコロコロ表情が変わる軽快な演技と、そこにピッタリテンポを合わせた独特の演出だろう。成功を欲するあまり、時に妄想モードに入るカラニックの脳内を、撮影の裏側を見せるようなブルーバックの空間や3Dのバーチャル空間で見せるシーンが挿入される。あのクエンティン・タランティーノによるひょうきんなナレーションも、物語をテンポよく進めてくれる。
同じ原作者による近刊をもとに作られるという、フェイスブック社を舞台にした次シーズンにも注目したい。
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『ラブ&デス』
製作年/2023年 原案・脚本/デヴィッド・E・ケリー 監督/レスリー・リンカ・グラッター、クラーク・ジョンソン 出演/エリザベス・オルセン、ジェシー・プレモンス、リリー・レーブ
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いまだ見解の分かれる43年前の殺人事件を人気脚本家がドラマ化
『ビッグ・リトル・ライズ』『フレイザー家の秘密』のデヴィッド・E・ケリーが脚本を手がけ、ニコール・キッドマンも製作総指揮に名を連ねる実話をもとにしたサスペンス。『アベンジャーズ』シリーズのエリザベス・オルセンが、不倫と殺人に手を染める“完璧な主婦”キャンディ・モンゴメリーを演じる。不倫相手で被害者の夫アラン・ゴアを演じるのは、『もう終わりにしよう。』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』など近年話題作での活躍が目覚ましいジェシー・プレモンス。
キャンディをありふれた親近感のあるキャラクターとして描き、犯行の動機は1970年代のテキサスの保守的なコミュニティの中での女性同士の抑圧だという弁護側の主張に寄り添う同作。対して偶然同じ題材になったというディズニープラスで配信中のジェシカ・ビール主演『キャンディ:隠された狂気』では、事件をフェミニズム的な文脈では描かず、キャンディをあくまで得体の知れない人物にとどめる。両作品を比べてみるのも一興だ。
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