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CULTURE カルチャー

2023.05.20


『ワイルド・スピード』シリーズが熱狂を生み続ける理由とは?【後編】

 

 
ワイルド・スピード/ファイヤーブースト
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023年)

21世紀のアクション映画のシーンをリードしてきた『ワイルド・スピード』シリーズ。10作目となる『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』も好評を博している。その人気の秘密を探る後編記事。前回はキャラクターに対する愛情ついて解説したが、ここではその他の要素について触れていこう。 

 
 

 
ワイルド・スピード MEGA MAX
『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)
 

 
ワイルド・スピード SKY MISSION
『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)
 

 
ワイルド・スピード/スーパーコンボ
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)

“ワイスピ”シリーズが巨大化した背景として、見逃せないのは要所で有名俳優を参加させていること。たとえば5作目では米外交保安部のエージェント、ホブス役としてドウェイン・ジョンソンを起用。さらに7作目のヴィランであるデッカード・ショウ役には、ジェイソン・ステイサムを登板させる。ホブスもショウも以後のシリーズに顔を見せ、人気キャラクターとなるが、彼らを組ませたスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』が作られたのは、ご存知のとおり。
 

 
ワイルド・スピード SKY MISSION
『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)
 

 
ワイルド・スピード ICE BREAK
『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)
 

 
ワイルド・スピード/ジェットブレイク
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021年)

また、7作目以降レギュラーとなった米国政府極秘機関の長ミスター・ノーバディ役にはベテラン、カート・ラッセル。さらに8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』では、悪役サイファーにシャーリーズ・セロン、ショウの母親マグダレーン役にヘレン・ミレンというオスカー女優を起用。彼女たちも、今やレギュラーというべき存在で、新作『~ファイヤーブースト』にも、しっかり顔を見せている。
 

 
ワイルド・スピード/ファイヤーブースト
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023年)

その『~ファイヤーブースト』には、同じくアカデミー賞アクトレス、ブリー・ラーソンが、ミスター・ノーバディの娘であるエージェント、テス役で出演。さらに、悪役を『アクアマン』で人気者となったジェイソン・モモアが務め、シリーズ史上もっともクレイジーで、頭の切れるダンテというキャラクターを怪演している。なお、シリーズ完結編となる次作で、ヴィン・ディーゼルはロバート・ダウニーJr.に出演のラヴコールを送ったことがニュースになっていたが、これが実現すればシリーズはさらに盛り上がるだろう。
 

 
ワイルド・スピード
『ワイルド・スピード』(2001年)

そして、やはりカーアクションについて語らないわけにはいかない。ドミニク・ファミリーのクルマ同士の連携は1作目から、すでに目を見張るものがあった。走るクルマからトラックに移動したり、クルマからクルマへ飛び移ったり、落ちかけた者をボンネットで受け止めたり。スピードという要素にアクロバティックな肉弾技が絡み合う。まさに手に汗握る見せ場だ。
 

 
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)

違法ストリートカーレースも1作目以来、度々挟み込まれる名物的なアクションだ。カスタムカーを駆り、NOSと呼ばれる急加速装置を駆使して繰り広げられるデッドヒートは、レースの場に集まるセクシーな美女たちのパーティのような賑わいとともにドラマを盛り上げる。日本を舞台にした3作目では、しげの秀一のコミック『頭文字D』でもおなじみのドリフト走行が大々的にフィーチャーされ、立体駐車場や峠のレース場面を彩る。
 

 
ワイルド・スピード EURO MISSION
『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)
 

 
ワイルド・スピード SKY MISSION
『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)
 

 
ワイルド・スピード/ジェットブレイク
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021年)

5作目以降、カーアクションはどんどん大がかりになる。同作での巨大金庫を引きずっての市街地チェイスは、スピードのみならず重量感にあふれていた。7作目では高層ビルのフロアから別ビルへと飛び移る離れ業をやってのけるばかりか、輸送機からダイヴして、そのまま走行するという恐れ知らずのミッションも敢行。ロケットのごとく成層圏を突き抜けて、宇宙空間へ飛び立つという、9作目の奇想天外なアクションも忘れ難い。
 

 

ジョーダナ・ブリュースター

そして、“ワイスピ”が世界中で支持された最大の理由として、これが実はいちばん大事なではないか……と思うのだが、多人種の物語であることは決して見過ごせない。ヒスパニック系とアジア系のギャングの対立を背景にしていた1作目からして、そうだった。これは白人社会を、まず重視するハリウッド大作には異例。多様性という言葉はここ数年でハリウッドでも一般化してきたが、“ワイスピ”では、それ以前から実践されてきたことなのだ。
 

  

写真左/ガル・ガドット

ドミニクを演じるヴィン・ディーゼルは黒人とイタリア系白人の間に生まれている。その妹ミアを演じたジョーダナ・ブリュースターはパナマ出身。4~6作目に出演したガル・ガドットはイスラエル生まれのユダヤ人だ。3作目では北川景子ら日本の俳優も出演している。そんな出演者の出自からも明らかだが、ドミニクのファミリーには白人、黒人、ヒスパニック、アジア系など、人種が混在している。彼らが信じているのは肌の色ではなく、あくまで仲間だ。ダイバーシティの時代に応えたエンタテインメントであることこそ、“ワイスピ”が世界的な人気を博した理由ではないだろうか。

“ワイスピ”は先にも述べたとおり、『~ファイヤーブースト』を経て、2025年公開予定の次作で完結を迎える。アクション映画の型を打ち破って来た本作が、どんなフィナーレを迎えるのか? まずは『~ファイヤーブースト』を堪能して、先を占ってみてほしい。※前編
 

 
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』公開中
監督/ルイ・ルテリエ 脚本/ジャスティン・リン、ダン・マゾー 出演/ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ジェイソン・モモア、ナタリー・エマニュエル、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・シナ、ジェイソン・ステイサム、サン・カン、ヘレン・ミレン、シャーリーズ・セロン、ブリー・ラーソン 配給/東宝東和
 

 

 
文=相馬学 text:Manabu Souma
Photo by AFLO
© Universal Studios. All Rights Reserved.
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