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CULTURE カルチャー

2023.02.04

この1作がキッカケで見事復活!
ハリウッドスターがカムバックした映画5選!

今年のアカデミー賞では、『ハムナプトラ』シリーズなどでトップスターになりながら、その後、私生活の不幸などでキャリアが低迷したブレンダン・フレイザーが『ザ・ホエール』で主演男優賞にノミネート。俳優として復活をとげたことが話題になっている。ブレンダンと同じように鮮やかにカムバックしたスターといえば、この人たちだろう。

 

 
ハリウッドスターがカムバックした映画5選!

ロバート・ダウニー・Jr./『アイアンマン』
製作年/2008年 製作/ケヴィン・ファイギ 監督/ジョン・ファブロー 出演/テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ

薬物問題を乗り越えビッグスターに!
デビュー時は、若手人気スターたちの集団“ブラット・パック”の一員として人気を集め、チャーリー・チャップリンを演じた『チャーリー』でアカデミー賞主演男優賞にもノミネート。本格派俳優としてステップアップしていたロバート・ダウニー・Jr.。しかし1996年、麻薬不法所持によって逮捕され、刑務所に1年間、入所。その後も保護観察処分を受け、必死の思いでドラッグ克服を自らに課すも、当然ながら俳優としての仕事は激減してしまった。

そんなロバートに、俳優人生の代表作となるキャラクターが舞い込む。2008年の『アイアンマン』だ。薬物問題などでスタジオ側は彼の抜擢に難色を示すも、監督のジョン・ファヴローの強いバックアップと、オーディションでの熱演で、ロバートはトニー・スターク役を勝ち取った。巨大産業の社長で、ちょっぴり軽さも持ち合わせ、人間くさいスタークが、自ら開発したパワードスーツでヒーローに変身する。その姿に、ロバートの個性が見事に重なり、アイアンマンは、その後、世界中のファンが夢中になるマーベル・シネマティック・ユニバースの中心的存在となる。 

 
 

 
ハリウッドスターがカムバックした映画5選!

ホアキン・フェニックス/『ザ・マスター』
製作年/2012年 製作・監督・脚本/ポール・トーマス・アンダーソン 出演/フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン

奇抜な言動の問題児からカリスマ俳優へ!
リバー・フェニックスの弟として俳優デビューし、子役から活躍。2000年の『グラディエーター』の皇帝コモドゥス役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、俳優として順調にキャリアを積んだホアキン・フェニックスだったが、2008年、俳優業の引退を宣言。ミュージシャンとしての道を進もうとするも、その一連の言動がドキュメンタリーのための“演出”ではないかという疑惑が浮上。ホアキン自身も怪しいコメントを繰り返し、ラッパーとしてのステージでブチ切れ行動をとるなど、ハリウッドから“問題児”扱いされる。

しかしホアキンの俳優としての復活劇は、ほどなく訪れる。2012年、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』で、新興宗教のカリスマ教祖に傾倒する、アルコール依存の復員兵というハードルの高い役を名演。これまで培ってきた実力を発揮し、同作でアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たしてからは“カリスマ俳優”的な地位を築き、個性派監督の作品に次々と出演。ついに『ジョーカー』でオスカーを手にする。本物の才能があれば、ブランクも軽々と乗り越えられると証明したのが、『ザ・マスター』のホアキンだった。 

 
 

 
ハリウッドスターがカムバックした映画5選!

ミッキー・ローク/『レスラー』
製作年/2008年 監督/ダーレン・アロノフスキー 脚本/ロバート・D・シーゲル 出演/マリサ・トメイ、エバン・レイチェル・ウッド

ボクシングに整形失敗の迷走からスター俳優にカムバック!
センセーショナルなラヴストーリー『ナインハーフ』や、ハードなアクションでも魅せた『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』などで1980年代、トップスターの地位を極めていたミッキー・ロークだが、俳優デビュー前からボクシングに夢中で、1991年、プロのボクサーに転身して映画ファンを驚かせた。ところが日本で行なった試合で、その独特な動きが“猫パンチ”と表現されたり、八百長疑惑が起こったりと、ボクサーとしての評判はさんざん。俳優業に戻って地道にキャリアを重ねるも、2007年には飲酒運転で逮捕。さらに整形手術の失敗などで、スターのオーラは過去のものとなった。

そんなミッキー・ロークの起死回生となった主演作が、2008年の『レスラー』だ。かつて人気プロレスラーだったが今はスーパーでアルバイト生活を送る主人公が、仕事を失い、家族とも疎遠になったことで、プロレスの世界に復帰する。年齢によるハンデを執念で乗り越え、リングに立つ勇姿は、かつてボクサーだったミッキー・ロークにも重なり、胸を揺さぶられずにはいられない。『レスラー』はヴェネチア国際映画祭のグランプリ、金獅子賞に輝き、ミッキー・ロークもゴールデン・グローブなどで多くの主演男優賞を受賞。その後の俳優としてのキャリアが華やかとはいえないが、この一作だけでも強烈なカムバックとして語り継がれている。 

 
 

 
ハリウッドスターがカムバックした映画5選!

ジョン・トラボルタ/『パルプ・フィクション』
製作年/1994年 原案・監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ブルース・ウィリス

低迷期を吹き飛ばし、新たな俳優人生の門出に!
『サタデー・ナイト・フィーバー』や『グリース』で、1970年代カルチャーのアイコンになったジョン・トラボルタだが、『サタデー〜』の続編にあたる主演作『ステイン・アライブ』の失敗などで、30代にしてすでに“過去の栄光にすがる人”というイメージがついてしまった。『ベイビー・トーク』などヒット作も生まれたが、残念ながらトラボルタの俳優としての実力は発揮されないまま時は過ぎてゆく……。

そうした時期にトラボルタに声をかけたのが、初監督作『レザボア・ドッグス』で一気に注目が集まっていたクエンティン・タランティーノ。映画マニアの彼はトラボルタの大ファンで、2作目の『パルプ・フィクション』の主人公ヴィンセント役をオファーした。ボスの妻の世話を頼まれるギャングで、トラボルタはクールを装いながら、自虐的でさえない面も好演。『サタデー』や『グリース』を彷彿とさせる、ユマ・サーマンとの独特なツイストダンスは、『パルプ・フィクション』で最も記憶に残るシーンとなった。同作はカンヌ国際映画祭の最高賞、パルム・ドールに輝き、タランティーノを世界的巨匠に押し上げ、トラボルタにとって新たな俳優人生のスタートに! 

 
 

 


コリン・ファレル/『ヒットマンズ・レクイエム』
製作年/2008年 監督・脚本/マーティン・マクドナー 出演/ブレンダン・グリーソン、レイフ・ファインズ、クレマンス・ポエジー

夜遊びにドラッグ三昧の日々から復活!
アイルランド出身のコリン・ファレルは、24歳で『タイガーランド』の主演でハリウッドデビュー。そこから若きセクシースターとして人気が爆発し、私生活でもミシェル・ロドリゲス、アンジェリーナ・ジョリー、ブリトリニー・スピアーズ、リンジー・ローハン……と恋人を取っ替え引っ替え。調子に乗ったのか夜遊びやドラッグにも溺れ、撮影現場にも現れなかったりと、ハリウッドから一時、干された状態に。

そんなコリンに手を差し伸べたのが、同じくアイルランド国籍を持つマーティン・マクドナー監督。彼の初長編映画『ヒットマンズ・レクイエム』の主人公にコリンを起用した。若き殺し屋で、過去にトラウマを抱えながらも、タイプの女性に出会うと積極アプローチ。予測不能のキャラクターをコリンはシリアスさとユーモアを自在に使い分けて名演し、ゴールデン・グローブの主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)受賞など絶賛を浴びる。マクドナー監督はその次の『セブン・サイコサス』でもコリンを主演に迎え、2人は最新作『イニシェリン島の精霊』でもタッグを組んだ。同作でコリンはアカデミー賞主演男優賞に初ノミネート。名監督が俳優の再生を導く、最高のサンプルとなった。

そして今後、カムバックが待たれるスターたちといえば、暴行事件を起こしたエズラ・ミラー、俳優の休業を宣言したサンドラ・ブロックやキャメロン・ディアス、クリス・ヘムズワース、そしてアカデミー会員を退いたウィル・スミスなど数多い。どんな作品で彼らが映画ファンを再び歓喜させるのか想像が広がる。 

 
 

 

 
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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