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2024.12.23

クワイエット・ラグジュアリーなスーパーカー
〈マクラーレン〉GTSで京都を走る!

スーパーカー界に乗り心地革命を起こした英国のラグジュアリー・スーパーカーメーカー、〈マクラーレン〉。そのGTSは、日常的な扱いやすさとサーキット性能を高レベルで両立。これまで“ありそうでなかった”新しいスーパーカーのカタチを実現した最新モデルだ。そんなクルマだから、たとえば2人分の荷物もしっかり積み込んで、操る喜びを堪能するなんてことは余裕。そこで今回は、GTSが持つキャラクターをあらためて確かめるべく、京都・奈良までのロングドライブをじっくり味わってみた。

京都・東寺にて。美しい塔と美しいクルマが響き合う



街乗りからサーキットまで、
スーパーカー界のマルチプレイヤー!


スーパーカーで京都の街をドライブする。そう聞くと、みなさんはどんなふうに思われるだろう。楽しそうだけど、実際は「運転しづらい」、「操作が難しい」、「快適じゃない」などといった、なんとなくの印象が頭をよぎる人も多いかもしれない。

確かにその昔のスーパーカーはそうだった。クラッチやハンドルは重く、エアコンは効かないし音もうるさく、フロント部分は擦りがち……。ドライブに出かける際には、「ルートを予めフツウのクルマで走ってみた」なんて冗談のような笑い話もあったほどだ。

しかし、最新のスーパーカーは違う。性能もずいぶん上がった一方で、相当に乗りやすくなった。なかでも〈マクラーレン〉はサーキット性能と一般道での扱いやすさを高次元で両立するブランド。最新作GTSに至っては、2人乗りとして十分な実用性を備え、まさにグランドツアラーらしい野心作になっている。さらに「ちょっと遠出してみようか」なんて気軽に思えるのだから、このGTSはスーパーカーの中でもまさに稀有な存在といっていい。

GTSも跳ね上げ式となる“ディヘドラルドア”を採用。ボディサイズは全長4683、全幅2095、全高1213mm



どんな速度域でも快適!
疲れ知らずのグランドツーリングカー


〈マクラーレン〉GTSは、グランドツアラー的なキャラクターを特徴とするスーパーカーとして2019年に登場した〈マクラーレン〉GTの後継モデル。GTと比較し、当然ながらさらなるパワーアップが図られている。普通なら“ドライバーの背後に635PSを発揮する4ℓV8ツインターボエンジンが収まっている”と聞くとおじけづくのだが、実際にはそんなすごい馬力の持ち主とは思えないくらいイージーにスタート可能。エンジン反応は右足の操作に従順で極めてなめらかに加速するので、恐怖感などまるでない。むしろ自分の思いどおりに動くという感覚がドライバーへと伝わってきて心が浮き立つ。

空力がよく練られているから、派手なスポイラーなどがないにも関わらず、高速クルーズ時の安定感はすこぶるいい。カラダと車体、そして路面までもが一体となるかのようなドライブフィールがGTS(というか〈マクラーレン〉製スーパーカー)の特長でもあった。

車線変更もぴたりと決まり、追い越し加速は意のままで思い切りよく、ブレーキ性能が秀逸。となれば、まるで不安なく高速走行を続けることができるというものだ。それに肉体的にはもちろん、精神的にも疲れない。そんなことを思いながら走り続けていると、あっという間に京都インターへと到着した。

自由自在のコーナリングが楽しめるから、レーシングドライバーになった気分が味わえる。ゆっくり流していても楽しいのはよくできたスポーツカーの証。サスペンションにはプロアクティブ・ダンピング・コントロール搭載のアダプティブ・ダンピングを標準装備


嵐山高雄パークウェイ、今年最後の紅葉に間に合った。片道10kmほど、四季を通じて景色を楽しむことができる



“峠みち”への誘い……、
嵐山高雄パークウェイを目指す!


京都市内のホテルに到着。2人2泊分の荷物を前と後ろのラゲッジルームから出してチェックインする。予約しておいた高台寺エリアでのディナータイムまでまだ2時間ほどあった。観光名所をめぐるというのもいいが、最近の市内はご存知のとおりオーバーツーリズム気味で歩くこともままならないと聞く。「走ってくれば?」というパートナーのその言葉を待っていたのかも知れない。

スキップしたい気分を抑えてガレージへと降りた。ディヘドラルドアを上げ、滑り込むようにしてコクピットへ。シートはレーシングカーのようなバケットタイプだが、仕立てのよいレザー張りで、クッションも適度にある。


高級レザーとほどよいクッション性が快適な乗り心地を約束。シートは中央に寄せられており、人が車体のできるだけ中心に座る設計

しっとりとした肌触りのステアリング・ホイールをグルリとひと回り撫でた。走り出す前の、それはルーティン。ほかの高級車とは違って〈マクラーレン〉はハンドルのスポークにスイッチの類を決して置かない。それはただ前輪を動かすためだけに存在する。彼らの設計思想、哲学の現れだ。

スタートボタンを押す。V8エンジンもまた再スタートを喜んでいるかのように目をさました。目指すは京都屈指のワインディングロードとして名高い嵐山高雄パークウェイだ。


〈マクラーレン〉におけるクルマ造りの哲学を最もよく物語っているステアリング・ホイール。小ぶりでしっとりとした触り心地は、グラブをつけていなくても手によく馴染む。ハンドル上にはほかの車と違って、スイッチやボタンなどが全くないのも特徴


前後にあるラゲッジスペースが実用スーパーカーたるGTSの魅力。左はフロント、右はリアのラゲッジスペース



パークウェイの道と景色を堪能し、
翌日はもうひとつの“峠みち”へ!


どんな速度域でも“楽しい”と思える、それが本当に気持ちのよいスポーツカーの証だろう。〈マクラーレン〉GTSは、京都までの快適なプライベート・エクスプレスから一転、まさに水を得た魚となって嵐山高雄パークウェイを駆け巡る。

ハンドルを握る両手はまるで前輪を抱え込んでいるようだし、お尻とリアシートはカーボン・ファイバー製モノコック・シャシーと一体となってエンジンを背負っているような感覚で走っていく。がむしゃらに走らせる必要などない。自分のペースでドライブしていても自然と笑顔になっていく。機械を操作するということが人にとって根源的な楽しみのひとつであるということを改めて教えられた。


嵐山高雄パークウェイは、嵐山と高雄を繋ぐ10.7kmの有料道路。京都市街から約40分。高雄・槙尾・栂尾の三尾の景観が美しく、特に紅葉の季節がおすすめ

翌日、実は昨日のパークウェイでの紅葉が素晴らしかったので、朝からもうひとつの有名なワインディングロード“比叡山ドライブウェイ”へ。いや、正直に言おう、まだ走り足らなかったのだ。

奈良は京都から小1時間、といっても、スーパーカーのドライブでは予定変更が億劫になりがちだ。けれども〈マクラーレン〉GTSなら大丈夫。いつでもどこでも思いどおりに走ることができるというイメージがもうすでにある。そこへ、行ってみよう!


比叡山ドライブウェイは、滋賀県大津市の田の谷峠から比叡山頂を結ぶ約8.1kmの有料自動車道。こちらも大自然の中を、素晴らしい景色を眺めながらドライブを楽しめる

琵琶湖が見える比叡山ドライブウェイのパーキングにて休憩

重要文化財に指定されている比叡山延暦寺東棟大講堂前[nextpage lead=""]

〈マクラーレン〉GTSは
毎日乗りたいと思う唯一のスーパーカー!


デイリー・スーパーカー。スーパーカー好きの筆者にとって、それは理想のひとつ。乗り心地がよくて快適で、2人分の荷物を適度に飲み込み、気難しさはまるでなく、段差などを過度に気にすることもない。それでいてひとたび舞台を整えてやれば、当代一級のスーパーカーとしても振る舞ってくれる。冷静に走らせようと思えば従順に応えてくれるし、情熱をもって接すれば期待以上のパフォーマンスを見せもする。最新のスーパーカーのなかでそんなクルマといえば〈マクラーレン〉GTSしかないと思う。

全く違う2つの個性、実用とスポーツ、が同居するスーパーカー。これには毎日乗りたいと思う。だから撮影車両のように地味めでクールなボディカラーを選ぶ人も多いことだろう。けれども実用的なスーパーカーだからこそ、もっとビビッドなカラーで乗りたいとも思った。個人的には赤のGTSあたりがいい。

結局のところ、毎日乗りたいと思わせるだけの素質のあるクルマだから、今度はどこまでこだわってこっちが付き合ってやれるのか、が問われるのかも知れない。〈マクラーレン〉GTSはツウ好みなスーパーカーでもあった。

 
Information

●マクラーレン オートモーティブ
URL:https://cars.mclaren.com/jp-ja/gts

文=西川淳  構成=大嶋慧子
text:Jun Nishikawa  composition:Keiko Ohshima
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