農園でカクテルをいただく大人のアクティビティ!
カウアイ島でファーム・トゥ・カクテル、〈ラム・サファリ〉ツアー
前編のマウンテン・チュービングに続いて、カウアイ島でもうひとつおすすめしたいアクティビティが〈ラム・サファリ〉だ。緑に囲まれた農場で、カウアイ島産のラム酒をストレート&カクテルでいただく。実はこのツアー、お酒を楽しむだけでなく、カウアイ島の自然や歴史にも触れられる大人のアクティビティなのだ。
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カウアイ島の自然に囲まれながら、メイドインハワイのラムをいただくファームツアー
前編でも紹介したが、カウアイ島はかつてサトウキビ栽培で一世を風靡した島。現在、製糖所はすべて閉鎖されてしまったが、リフエの町からすぐの場所にある『キロハナ・プランテーション』に足を運べば、当時の栄華を感じることができる。
ここは砂糖産業で財を成したウィルコックス氏の邸宅跡で、かつて周辺には109平方キロメートルものサトウキビ・プランテーションが広がっていたという。東京ドームに換算すると約2,330個分。その規模がいかに凄まじいかがわかるだろう。現在、こちらのキロハナ・プランテーションでは、ガーデンレストランやラウンジバー、みやげ物屋が営業するほか、フルーツ農園や農場を巡るアクティビティが催行されている。
かつてカウアイ島の産業や経済の中心だったキロハナ・プランテーション
ラム・サファリのアクティビティはオープンエアの専用車で出発する
そのうちのひとつが『ラム・サファリ』。現在は農園として運営されている広大な敷地を、4席×5列シートの専用車で回るファームツアー。サステナブルや地産地消が注目を集める昨今、こうしたファームツアーはオアフ島やハワイ島でも人気のアクティビティだが、このツアーの特徴はずばり“ファーム・トゥ・カクテル”。『コロア・ラム社』が生産するラム酒と、農園で栽培されているフルーツやハーブをミックスして、その場でフレッシュなカクテルを堪能できる点にある。アルコールを楽しむのが主目的のため、参加できるのは21歳以上からとなっている。
この日、ツアーガイド兼バーテンダーを務めてくれたフレッチャーさん
ブラジリアン・グレープの愛称で知られる果物、ジャボチカバを試食。ライチのような味覚
途中、柵の中で飼育されているヤギやイノシシ、アルパカの子供らにも遭遇
ラム・サファリのツアー所要時間は約2時間。オープンエアの専用車に乗った参加者は、まず果樹園へと向かう。ここではライチやリュウガン、カシューナッツ、マンゴーなどのフルーツが栽培されており、旬のフルーツをその場で収穫し、試食もさせてくれる。野菜も生産されており、それらは地元のファーマーズ・マーケットで販売しているそうだ。
基本は平坦な農道を進んでいく専用車だが、急坂をジェットコースターのように下る箇所もあり、なかなかスリリング。途中、クルマを降りて熱帯雨林の遊歩道を奥へと進んでいくと、オープンエアのガゼボ(東屋)が姿を現す。中にはカウンターもあり、ジャングルに囲まれた特設バーで、カクテルタイムが始まる。参加者はまず、コロア・ラム社のラムを計4種類、ストレートでいただく。その後、車内ではツアーガイドをしてくれていたフレッチャーさんがバーテンダーとなり、ハワイの人気カクテル〈マイタイ〉を提供。これまでオンザビーチでは何度も飲んできたマイタイだが、野鳥の鳴き声や川のせせらぎが聴こえる中でいただくのも非常においしく感じられる。
カフナ・ヌイ渓谷と呼ばれる森の中へ。バンヤンツリーやマンゴーの木が生い茂る
キャラメルのような濃厚な香りが特徴の〈カウアイ ゴールド ラム〉をストレートで試飲
ホワイトラムをベースに、パイナップルなどのジュースを加え、最後にダークラムで仕上げた〈マイタイ〉
ラム・サファリのツアーはまだまだ続く。すっかりほろ酔いになったところで専用車に戻ると、今度は車ごと大型の動物たちが放牧された農場へと入っていく。そこでは豚やヤギ、ロバなどが飼育されており、簡単な餌やりも体験できる。オープンエアなので、かわいらしい動物たちが間近に感じられた。ちなみにこの日は生まれたばかりの愛らしい豚の赤ちゃんも姿を見せ、参加者の視線を独占していた。
ツアーガイドの「ウェルカム・トゥ・ジュラシック・ポーク(豚)!」の呼び声でいざ檻の中へ
専用車に近づいてきた馬。トウモロコシのトルティーヤをあげると嬉しそうに頬張っていた
餌を求める動物たちとお別れしたら、タロイモ畑の池の上に建てられた『ロイ・ラナイ』で、2回目のカクテルタイムを楽しもう。先ほどはマイタイだったが、こちらはいよいよ“ファーム・トゥ・カクテル”がテーマ。この日は、ホワイトラムにライムジュース、ココナッツラム、タヒチアンライムティーなどをミックスし、バレンシアオレンジジュースから作られたフォームを乗せた爽やかなオリジナルカクテル『ランドマーク』を作ってくれた。副材料は季節により変わるので何が出てくるかは当日のお楽しみだが、インスタグラムアカウント『the_rum_guys』でカクテルレシピが公開されているので、そちらを参考にして帰国後に自宅で作ってみるのもよいだろう。
『ロイ・ラナイ』でいただく2杯目のカクテル。農園で作られたフルーツやハーブが使われる
オリジナルカクテル〈ランドマーク〉。おつまみにマウイオニオンのポテトチップスも配られる
そしてツアーが終わったら、ぜひキロハナ・プランテーション内にある『コロア・ラム社』のショップにも足を運んでみてほしい。ご存じの通りラムの原料はサトウキビだが、コロア・ラム社が最初のラムを醸造したのは2009年なので、すでにカウアイ島のサトウキビ畑はすべて閉鎖されていた。そのため、コロア・ラム社は現在カウアイ島の水と、マウイ島産のサトウキビを使ってラム酒を製造している。ただ、同社は将来的にはカウアイ島産のサトウキビを使ったラム酒製造を目指しており、再びこのカウアイの地でサトウキビが産業として復活する日もそう遠くないかもしれない。
サトウキビ・プランテーションで築かれたインフラを活用した『マウンテン・チュービング』、そしてサトウキビ栽培の復興を目指す『ラム・サファリ』。カウアイ島の自然と歴史に密接にした2つのアクティビティを、是非現地で体験してみてほしい。
コロア・ラム社のショップ。ラム・サファリで試飲したラムはすべてこちらで購入できる
ラム・サファリ(カウアイ・サファリ社)
https://www.kauaisafaris.com/kauai-rum-safari-tour/
※取材協力:ハワイ州観光局、デルタ航空
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トラベルエディター
旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集部にて国内外のガイドブックを多数手がけ、2017年に独立。現在は、〈パパ目線での旅育〉や〈ホテルステイ〉をテーマに連載を執筆。また雑誌の旅行特集からオウンドメディアの動画まで、幅広く旅行コンテンツの制作を行う。著書に『最高のハワイの過ごし方』。