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CULTURE カルチャー

2022.05.28

あの映画監督の得意ワザ! Vol.1
ウォルター・ヒルの“硬派すぎる演出”にアツくなる!


『48時間』(1982年)

実に6年ぶりの新作“Dead for a Dollar”を、じきに完成させようとしている御年82歳のベテラン、ウォルター・ヒル監督。『48時間』『ストリート・オブ・ファイヤー』などの骨っぽいアクションで鳴らしたのは1980年代のこと。老境に足を踏み入れてからはインディーズの製作スタイルでコツコツと作品を放ち続けているが、年輪を重ねても、硬派な作風に揺るぎはない。
 

 

『ラストマン・スタンディング』(1996年)

この新作は西部劇だが、ヒルの作品を読み解くうえでウエスタンは重要なエッセンスとなる。彼はこれまで『ロング・ライダーズ』『ジェロニモ』『ラストマン・スタンディング』などの西部劇を生み出してきた。が、本人に言わせれば“私が撮ってきた映画は、すべてウエスタンだ”とのこと。“西部劇とは、制御の手段が及ばない、むき出しの道徳的宇宙だ。現代劇にこれを持ちこむことを、私は好む”と彼は言う。
 
 

『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)

代表作『ストリート・オブ・ファイヤー』を見ても、それは明らかだ。流れ者が街に戻って来る。目的は、凶悪なバイカー集団にさらわれた昔の恋人を救出すること。このバイカー集団は街の人々を苦しめ、警察さえも手を出すことができない。それでも流れ者は敵地に乗り込んで、かつて愛した女性を救い出し、やがて敵のリーダーと対決する……。劇中ではロックが流れ、バイクが轟音を上げる。そんな現代劇ではあるが、このざっくりとしたストーリーラインを追っただけでも、本作の西部劇の要素がつかめるのではないだろうか。面白いのは対決時の武器が銃ではなく、ハンマーであること。飛び道具のスピード感ではなく、殴りつける重量感を選んだところに、ヒルの硬派なセンスを感じる。
 
 

『ジェロニモ』(1993年)

この要素とも重なってくるが、ヒルの映画は総じて男っぽいアウトローの物語が多い。『ストリート・オブ・ファイヤー』はもちろん、賭け拳闘のタフガイを主人公にした監督デビュー作『ストリートファイター』、エドガー・ライトが『ベイビー・ドライバー』のヒントにした、逃亡専門の天才運転手の物語『ザ・ドライバー』、誇り高きネイティブアメリカンにスポットを当てた『ジェロニモ』が、その代表例か。監獄を舞台にした『デッドロック』に至っては、登場人物はほぼすべて男。所内の更生プログラムの一環で行なわれているボクシングの試合に、受刑者であり敵対しているボクサー同士がプライドを懸けて激突する物語は、生き方と生き方がぶつかり合うかのようで、見ていて熱くならざるを得ない。
 
 
ヒル作品に関して、もうひとつ付け加えておきたいのは音楽の魅力。『ストリート・オブ・ファイヤー』は冒頭のテロップどおり、“ロックンロールの寓話”であった。『クロスロード』では若きブルースギタリストの成長の旅を描きながら、ブルースの多面性を浮き彫りにしてみせた。音楽を題材にした作品以外でも、ヒル作品のスコアはルーツミュージックに根差したものが多く、簡素だがシミるような味わいがある。
 
 
ここでふれておきたいのが、アメリカンロック界のカリスマ、ライ・クーダーの存在だ。『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』で映画ファンにもおなじみの彼は、映画音楽の分野でも『パリ、テキサス』をはじめ多くの秀作に音楽を付けてきたが、なかでもヒルとのコラボレートは『ロング・ライダーズ』以降、20年近くに渡り続いてきた。音数は少ないながらもバター主体の雰囲気のあるスコアはヒルの描くザラついた世界によく似合う。機会があればサントラ盤もぜひチェックしてほしい。
 
 
長きにわたるキャリアの中で監督を断念した作品もある。あの『エイリアン』も降板を余儀なくされた作品だ。ヒルが撮っていたら、いったいどうなっていただろう? 映画ファンとしては興味が湧くところだが、たら・ればは空想の中に留めておこう。新作を心待ちにしつつ、ヒルの熱血作品にぜひ触れてみてほしい。

Walter Hill[ウォルター・ヒル]
1942年アメリカ生まれ。1975年にチャールズ・ブロンソン主演『ストリートファイター』で監督デビュー。
 

 

 
文=相馬学 text:Manabu Souma
photo by AFLO
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