『おとなの恋は、まわり道』『暁に祈れ』
1990年代のハリウッドを牽引したスター、キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーが共演する、素直になれない大人の恋を描く『おとなの恋は、まわり道』と、地獄のような劣悪刑務所でムエタイを武器にサバイブする異色作『暁に祈れ』をピックアップ!
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物語で選ぶ編①
『おとなの恋は、まわり道』
ムネアツなポイントは?
・今だから面白い! キアヌとウィノナの共演
・最悪な初対面! しかし次第に変わっていき……
・セリフがあるのは2人だけという巧みな演出!
・本音をぶつけ合う、そんな関係こそ理想!
・リゾート・ウェディングの舞台裏も楽しめる!
キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーによる大人のラブストーリー。そう聞くと、ちょっと心がときめく人は多いかもしれない。現在52歳のキアヌも、47歳のウィノナも、それぞれ山あり谷ありの俳優人生を送りながら、どこかマイペースなところが好感度大。そんな彼らが4度めにして、初めてガッツリと共演したのが、この『おとなの恋は、まわり道』だ。
リゾートでのウエディングに招待されたフランクとリンジー。ともに独身の彼らは、空港で初めて対面。すでに、ここから言い合いになって険悪ムードがプンプン。しかも小さな飛行機で隣同士の席。フランクは花婿の異父兄妹で、リンジーはその花婿の元婚約者だと発覚する。噛み合わない会話でさらに険悪なムードになるが、まさかの宿泊ホテルでの部屋や、パーティでの席も常に隣同士。ウエディングの週末、ふたりの関係はどうなるのか……。
この映画、空港や飛行機、ホテルで周囲に人物はいるのだが、セリフがあるのが、なんと主人公2人だけ! 結婚するカップルはもちろん、まわりの人々はすべて“背景”になっている。あまり気乗りしないウエディングに出席することになった、独身の、しかもいい歳をした男と女が本音をぶつけ合い、そして一緒にいるうちに相手に惹かれてしまう感覚が、超リアルな会話で展開。どちらかの気持ちにどっぷりと感情移入してしまう、というわけだ。
とにかくこの2人、性格に問題あり。思いこみが強く、恋愛に興味なし(と勝手に宣言)、しかも無駄な物に絶対にお金を使いたくないドケチなフランク。そして元婚約者の花婿に対してはもちろん、他人の悪口を言い出したら止まらないリンジー。こんな風に説明すると、最高にイヤミなキャラに思えるが、キアヌとウィノナが演じるとなぜか観ていて親近感が湧いてくるから不思議! お互いを毛嫌いしながらも、ふとした瞬間に相手にときめく感じを、彼らが実に繊細に表現しているのだ。
そしてこの映画は、リゾート・ウエディングの雰囲気を楽しむ、というポイントもある。飛行機も超小型のプロペラ機で、ホテルもめちゃくちゃ豪華というわけではない。結婚式はワイン用のブドウ畑の丘だったりする。しかし、そんなやけに癒される空間が、観ているこちらもロマンチックな気分へと誘われてしまう。というわけで、慌ただしい年末年始に、一息ついてホッコリしたい人にはおすすめ。もちろん、デートムービーとしても最適だ。
『おとなの恋は、まわり道』
監督・脚本/ヴィクター・レヴィン 出演/ウィノナ・ライダー、キアヌ・リーヴス 配給/ショウゲート
2018年/アメリカ/上映時間87分
12月7日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
物語で選ぶ編②
『暁に祈れ』
ムネアツなポイントは?
・刑務所を舞台にしたバイオレンスな格闘作品
・収監された先は殺人が横行する地獄の一丁目!
・本物の監獄と全身タトゥーだらけの元囚人たち!
・地獄に放りこまれたかのような演出が凄まじい!
“生き地獄”と呼ばれるタイの刑務所に収監された英国人ボクサーが、ムエタイでのし上がっていく様を描く本作。単なるアクション映画かと思ったら大間違い。凄まじくバイオレンスで、あまりにも獰猛な内容に、観る者は終始、圧倒されるに違いない。そして驚きなのが、この作品が自伝小説を基にした実録映画だということ! 観た後は、海外の刑務所には絶対に入るまいと強く願うはずだ!
タイで麻薬に溺れた生活を送る英国人のボクサー、ビリー・ムーア。自堕落な生活は長くは続かず、警察に目をつけられ刑務所に収監されてしまう。そこは監房で平然とレイプや殺人が横行する生き地獄のような場所。言葉もわからないビリーは、囚人たちの格好のターゲットとなってしまう。日々を生き抜くことに精一杯だったある日、所内で編成されたムエタイチームの存在を知る。地獄から抜けるには自分の拳しかないと決意した彼は、チームへの参加を願い出る。
撮影に使用した刑務所はバンコク近くにある実際の監獄。そして、全身タトゥーだらけの凶悪な囚人役には、元囚人たちを起用しているのだとか。しかも、驚きなのが全身にあるタトゥーは本物なんだとか! これは、「壁にある傷や、元囚人たちの目つき、肉体がリアルな物語を語ってくれる」という監督のこだわりによるもの。確かにこれが演出なら過剰な気もするけど、本物と聞くと鳥肌ものの怖さだ!
演出も独特で、囚人たちが話すセリフには字幕がほとんど出てこない。つまり、ビリー同様、観客も彼らが何を言っているのかわからないわけ。その中で、殺人やリンチが次々と起こるので、観ているこちらも恐怖でパニックに陥ってしまうほど。主演のジョー・コールが肉体改造をして挑んだムエタイシーンも本格的で見応え十分。しかしながら、そこが霞むほど囚人たちのキャラが強烈! トラウマ級のインパクトに襲われるので、彼女との鑑賞には注意して!?
『暁に祈れ』
原作/ビリー・ムーア 監督・脚本/ジャン=ステファーヌ・ソヴェール 出演/ジョー・コール 配給/トランスフォーマー
2017年/フランス・イギリス/上映時間117分
12月8日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー。
©2017-Meridian Entertainment-Senorita Films SAS
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