ネットフリックス『ハウス・オブ・ダイナマイト』 恐るべき真実から一瞬も目が離せないエンタメサスペンス!
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世界の重大事に、裏では何が起こっているのか……。ニュースでは伝えきれない“衝撃の舞台裏”を教えてくれるのも映画の役割。その意味で本作は最高の一本かもしれない。フィクションとして作られているとはいえ、これを観たら、今の世界の“ヤバさ”に誰もが戦慄をおぼえるはず!
物語は、とある場所の米軍基地の穏やかな風景ではじまる。同じ頃、ホワイトハウスの危機管理室ではシフトの交代が行われていた。その時、太平洋の北部で出所不明の1発のミサイルが探知される。向かう先はアメリカ本土。いったいどの国が発射したのか? 着弾までカウントダウンが進むなか、ミサイル迎撃の作戦がとられるも、事態は思わぬ方向へ進んでいく。緊急事態の際に、アメリカの政府がどう対応し、軍の基地が何を指示されるのかを、この映画は信じられないほどリアルに、わかりやすく伝える。しかも“もしアメリカにミサイルが着弾したら”というシミュレーションが同時進行し、その緊張感、臨場感、判断する人の焦りと恐怖、すべてが頂点で合体し、観ているこちらも登場人物の一人になった気分で、何度も息が止まってしまうほど!
監督は『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞に輝いたキャスリン・ビグロー。骨太なテーマを、エンタテインメントとして送り出すという才能が、今回も全面で発揮された。何より全体の構成が見事で、ミサイル発見からの時間の流れを3つのパートに分けて展開させたことで、視点が変わるたびにどんどん事態の深刻さが増していく。当然ながら、アメリカ大統領も関わってくるのだが、その描き方もじつに巧妙。もちろんこれは映画なので、危機管理室や軍の“極秘”事項が、どこまで正確に再現されているかは不明だ。それでも、ほぼリアルなのだと納得させる作りになっているのが、本作のスゴさ。“核兵器による抑止力”が現代の世界をギリギリ安定させているとはいえ、わずかな食い違いで破滅は不可避になる……。そんな恐るべき真実を、一瞬も目が離せないエンタメサスペンスに仕立てた傑作だ。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』10月10日公開
監督/キャスリン・ビグロー 脚本/ノア・オッペンハイム 出演/イドリス・エルバ、レベッカ・ファーガソン、ガブリエル・バッソ、ジェイソン・クラーク、アンソニー・ラモス 配給/ネットフリックス
2025年/アメリカ/上映時間112分
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