映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』 女性従軍カメラマンの命懸けの撮影に心動かされる!
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若い時代にトップスターになった俳優が、年齢を重ねて実力が試される役をこなし続け、進化を止めない……。そんな理想的キャリアをたどるのは、じつは難しかったりもする。22歳で『タイタニック』の主演女優として世界的人気を得て、後にオスカーも獲得したケイト・ウィンスレットは、守りに入ることなく、果敢なチャレンジを繰り返してきた。その集大成と言ってもいいのが本作だ。
ケイト・ウィンスレットが演じる主人公のリー・ミラーは、第二次世界大戦で戦地に向かった従軍カメラマン。アメリカが内戦に陥った世界を描いた、2024年の話題作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』に登場した女性カメラマンも、リー・ミラーがモデルで、それほど歴史的にリスペクトされている人物ということだ。1920年代にファッション誌“VOGUE”のモデルで有名になったミラーは、1930年代に写真家に転身。世界が戦争へ突入すると、その使命感が燃えたぎり、男性のみの戦場へ足を踏み入れる。そんなリー・ミラーの波乱に満ちた半生で、ケイト・ウィンスレットは文字どおり“体を張った”熱演を披露。誰もがその覚悟と熱量に圧倒されることだろう。
今から80年も前の戦地では、女性というだけで大きなハンデを負っていたわけで、そこに立ち向かう主人公の勇気がドラマチックに展開。恋人、および仕事仲間の男性との“関係”も繊細に描かれる。そしてリー・ミラーの代表作として語り継がれているのが、彼女が裸になって撮影した“ある場所”。そこがどこなのか。知らない人にとっては大きな驚きとなるはず。その他にも戦争の生々しい実態を、撮影者の目線で臨場体験させるのが本作の持ち味で、現代のデジタルと違って、シャッターを押す一瞬が試される時代における写真家の意地とプライド、苦しみには感動するしかない。ミラーの仕事の取り組み方は、“俳優”ケイト・ウィンスレットの人生にも重なるし、映画を観るわれわれも職業の垣根を越えて、背中を押されるに違いない。
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』5月9日公開
製作・出演/ケイト・ウィンスレット 監督/エレン・クラス 出演/アンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルド、マリオン・コティヤール、ジョシュ・オコナー、アンドレア・ライズボロー、ノエミ・メルラン 配給/カルチュア・パブリッシャーズ
2023年/イギリス/上映時間116分
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