【映画『BETTER MAN/ベター・マン』 】容姿はサルだがミュージシャン伝記映画としては最高峰の出来栄え!
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2025年は人気ミュージシャンを主人公にした映画がブーム。3月は、あのカルチャーアイコンをレゴブロックで描いた斬新なアニメ・ドキュメンタリー『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』も公開されるが、こちらの作品もインパクト絶大。元テイク・ザットのロビー・ウィリアムスが“まさか”の容貌で映像化され、カリスマの素顔が伝わってくる!
イギリスのソロ・アーティストとして、同国で最多セールスの記録を誇るロビー・ウィリアムス。一方でその言動は、つねに奔放。メンバーとして加入したポップグループ、テイク・ザットが世界的な人気を得るも、数々のトラブルで脱退し、ソロになって成功を目指す物語が展開していく。そのロビーが、なんとサル(チンパンジー)の姿で描かれるのだ。もちろん周囲は、普通に人間の外見。一人だけ“特殊な存在”という意図はわかるが、映画のチャレンジとして奇抜すぎないか……と心配しながら観ると、冒頭の子供時代からロビー=猿の姿に違和感がなく、逆に驚く。今年のアカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされたように、最先端技術が使われたとはいえ、これはまさに映画が起こすマジックだ。年齢に合わせた俳優の演技がCGIでサルに変換されたのだが、モーションキャプチャーで取り込まれたロビー・ウィリアムス本人の曲のパフォーマンス、表情も土台になっているので、サルなのに“再現度”が超絶レベル!
この手のミュージシャン映画は、テンポとノリが重要。本作はそこも軽々とクリアする。監督は『グレイテスト・ショーマン』のマイケル・グレイシーなので、テイク・ザットのライブステージなど臨場感満点で、観ているこちらもファンの気分でテンションが上がりまくる。テイク・ザットの5人がロンドンの中心部で歌い、踊るシーンは、約4分がワンカットで撮ったかのように繋がれ、最高の盛り上がりとなるので、ここだけ何度も観直したくなるはず。そして映画をドラマチックに仕上げるうえで、ロビー・ウィリアムスの辛くハードな側面にも迫り、そこがクライマックスの怒涛の感動に結びつく。そのアーティストに興味がなかった人にも、力強くアピールするという意味で、本作はミュージシャン伝記映画の最高の見本となるだろう。
『BETTER MAN ベター・マン』3月28日公開
製作・監督・脚本/マイケル・グレイシー 出演/ロビー・ウィリアムズ、ジョノ・デイヴィス、スティーヴ・ペンバートン、アリソン・ステッドマン 配給/東和ピクチャーズ
2024年/アメリカ/上映時間137分
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