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CULTURE カルチャー

2023.06.25

マルチバースで復活した“スパイダーマン” 
その波乱に満ちた映画史を考察! 【中編】

 

 

『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)

シリーズ頓挫からリブート、そして再びの頓挫…
…。
サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演でシリーズ3本が作られ、そのイメージがすっかり定着したスパイダーマンは、2007年公開の『スパイダーマン3』の直後から、4作目の企画がスタートしていた。しかし何度にもわたる脚本の書き直しを経て、ライミとソニー・ピクチャーズの意見は平行線をたどり、2010年の初めにライミは監督を降板。『スパイダーマン4』は作られずに終わった。

しかしその直後、早くも新作のプロジェクトがスタートする。2010年夏に行われたソニーのプレスイベントで、新たなピーター・パーカー/スパイダーマン役にアンドリュー・ガーフィールドが決まったことが発表された。アンドリューは『ソーシャル・ネットワーク』でそのイベントに参加しており、この発表はサプライズとして大きな話題となった。
 

 
監督を任されたのは、マーク・ウェブ。2009年の初監督作『(500)日のサマー』が絶賛されての大抜擢だが、同作はラブストーリー。ヒーローアクション大作をどう演出するのかに注目が集まった。新たなスパイダーマン映画はシリーズ新作という位置付けではなく、リブート(再始動)。『アメイジング・スパイダーマン』というタイトル(原作コミックでも、このタイトルはおなじみ)で、2012年に公開されることになった。

2007年の『スパイダーマン3』の後、わずか5年でスタッフ&キャストを総入れ替えして新作が完成するのは、ちょっと異例のスピードだが、これはソニー・ピクチャーズと原作のマーベルとの間の契約が関係している。それは「前作の公開から5年9カ月以内に新作を公開する」という条件。クリアしないと、ソニーは自社にとってドル箱となった作品の権利を手放すことになる。だから急いで新シリーズを始動する必要があったのだ。
 

 

『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)

『アメイジング・スパイダーマン』はリブートということで、2002年の『スパイダーマン』と同じく、高校生のピーターが特殊能力を身につける“原点”のストーリーからはじまる。父親の死の真相を確かめたいピーターが、父の研究者仲間であるコナーズ博士が働くオズコープ社の実習に参加。そこで遺伝子組み換えのクモに噛まれてしまう。前シリーズではピーターの恋の相手がMJ(メリー・ジェーン)だったが、今回はクラスメイトのグウェン・ステイシーになった。グウェンは『スパイダーマン3』にもピーターの大学の研究室仲間として登場し、MJから嫉妬される役どころだった。その研究室の担当教授もコナーズ博士であり、似ているようで微妙に違う設定になっている。
 

 
グウェンを演じたのが、後に『ラ・ラ・ランド』でオスカー女優となるエマ・ストーン。スパイダーマンの敵となるのは、コナーズ博士が変身したトカゲの怪人リザードだ。アンドリュー版のスパイダーマンは、トビー・マグワイアよりもスリムで、しなやかな印象。撮影時は28歳だったが、高校生役にも無理がない初々しさが漂っていた。そして大きな進化として、3Dでの撮影が挙げられる。2009年の『アバター』によって、ハリウッドのアクション大作の3Dブームは本格化。この『アメイジング・スパイダーマン』もビルの間をスイングするアクションなどで3Dの効果が最大限に発揮された。マーク・ウェブ監督は『アバター』のジェームズ・キャメロン監督から直に3Dのノウハウを学んだ。
 

 

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)

2年後の2014年、続編となる『アメイジング・スパイダーマン2』が完成。スパイダーマンはすっかりNY市民のヒーローとなり、ピーターとグウェンの恋も育まれるなか、またもオズコープ社を起点に恐ろしい敵が出現する。まず、同社の御曹司であるハリー・オズボーンがクモの毒素によってグリーン・ゴブリンに変貌。そしてオズコープ社の電気技師マックスが、エレクトロと化し、2人は共闘してスパイダーマンを陥れる。さらに脱獄囚のアレクセイが、ハリーの父ノーマンが作った兵器を身に着け、サイのようなライノとして大暴れ。前シリーズにおける3作目で3人の敵キャラというバージョンアップが、この『アメイジング』版は2本目で達成された。
 

 

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)

この2作目で衝撃だったのは、ピーターの愛するグウェンが亡くなってしまうという、まさかの終盤の悲劇。当然のごとく、続く3作目でのドラマチックな展開に期待が高まり、実際に2016年に公開されることも決まっていた。アンドリュー・ガーフィールドも1作目の時点で3本の出演契約をしていた。
 

 

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)

しかし『アメイジング・スパイダーマン3』が製作されることはなかった。前シリーズほど興行収入を上げられなかったという理由もあるが、マーベルの他のヒーローがひとつの世界を共有するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)がすっかり定着。2015年、ソニーはスパイダーマンをMCU作品として製作すると発表。『アメイジング・スパイダーマン』は終了となり、再びキャストを一新してシリーズが始まることになる。(後編に続く。前編はこちら) 

 
 

 

 
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
Photo by AFLO
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