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CARS クルマ

2019.10.23

南仏で試乗したわかった!
話題の〈マクラーレン〉GTが際立っている点とは?

〈マクラーレン〉といえば、誰もがサーキットから飛び出してきたようなスパルタンなスーパーカーを思い浮かべるに違いない。でも、スーパーカーをもう少しリラックスして味わいたいというクルマ好きも多いはずだ。実は、この春デビューした〈マクラーレン〉GTこそそんな魅力にあふれる待望の1台。テーマにしたのはGT(グランドツーリング)の楽しみ方。ブランドの新たな世界を開く、注目のグランドツアラーにいち早く南仏コートダジュールで試乗した。



 

旅にぴったりなグランドツアラー!


男は街を出て、走り続ける。
そんな非日常の体験をもたらす
新たなカテゴリー!

クルマには“GT”と呼ばれるカテゴリーがある。そもそもこのグランドツーリングとはどういうものか。それは、かつて英国で貴族の子弟が外国語や異文化に触れ、洗練したマナーを身につけるため、ヨーロッパ大陸を数カ月から数年かけて周遊旅行したことに由来する。遊学で見聞を広めるとともに、理想のジェントルマンになるための通過儀礼だったのだ。でもこれはけっして古めかしい慣習ではないだろう。いつの時代も旅は男を鍛え、成長させる。だからこそ男は旅に憧れる。そして〈マクラーレン〉GTの世界もまさにそこにある。街を出て、見知らぬ地へと走り続ける。それは高揚感と興奮に満ちた非日常の体験をもたらしてくれるだろう。究極の走りを追求してきた〈マクラーレン〉だからこそ実現できる、新たなドライビングプレジャーなのだ。






旅の舞台となったのは南仏コートダジュールだ。この春ワールドプレミアを果たした〈マクラーレン〉GTは、続く英国グッドウッドでその走りを披露。そしていよいよステアリングを握る機会が訪れたというわけだ。サントロペの紺碧の海を眼下に臨むホテルは、ベルエポック期に建てられ、フルリノベーションによってヘリテージとモダニティが混在する。まるでステージとしてしつらえられたかのように、そこに佇む〈マクラーレン〉GTは、スーパーカーと呼ばれる多くがどこか威圧的なのに対し、スタイリングは優雅にしてフレンドリー。それこそデニムでそのまま乗りこんでいけるような気軽な印象だ。これもGTならでは。ドライビングへの期待もますます高まる。



 

 

必要な荷物が十分収納可能!


美しさを損なうことなく、
旅へと誘ってくれる
ラグジュアリーな機能美

現行ラインナップのどれよりも長い約4.7mという車長にもかかわらず、〈マクラーレン〉GTはその大きさを感じさせない。それはハンマーヘッドラインと呼ばれる滑らかなフロントの曲線からリアへと流れるグラマラスなフォルムゆえ。このスタイリングについて担当デザイナーは「スリーク&シームレス」と説明し、しなやかなGTの走りをシンプルに表現したという。




ダイナミズムとラグジュアリーを併せ持つ〈マクラーレン〉GTだが、魅力はそれだけではない。美しいスタイリングを損なうことなく、ノーズに約150ℓ、リアのエンジンルーム上部には約420ℓのラゲッジスペースを備え、トラベルユースのトロリーやゴルフバッグも収納できる。これこそグランドツア
ラーの本分。たとえロングドライブのビジネストリップでも、帰路は少し寄り道してプライベートの休暇を楽しみたくなるだろう。そんな気持ちの余裕が走り心をよりかき立てるのだ。さらに車両リフトシステムにより、フロントのアプローチアングルは10°〜13°、ロードクリアランスは110mm〜130mmを確保する。これはセダン並みの数値であり、ガソリンスタンドやパーキングの入路も気を使わず、スマートに乗りつけられる。こうした日常使いにも応える機能も〈マクラーレン〉GTの魅力だ。


 

 

雨の日のドライブでも安心感がある!


雨のドライブも楽しくなる
ハイパフォーマンスに支えられた
快適のドライビング!

あいにくと試乗当日は朝からの雨だった。だが旅には悪天候もつきもの、これでひるむようではGTとはいえない。まるでステージの幕が開くように、ディヘラドル・ドアを開けて乗りこんだ。だがシートに収まってみると、開放感のある空間や上質なインテリアにリラックスする。そしてそれは広い視界にもよるのだろう。一般的なスーパーカーとは大いに異なり、これならばドライバーだけが走りを楽しむのでなく、助手席のパートナーも快適に過ごせるに違いない。いよいよエンジンをかける。驚いたのは静粛性だ。心地良い低音と鼓動を伝えつつ、路面やエンジンから車内に入るノイズ経路を解析し、構造や素材によってこれを最小化したという。ロングドライブになるほどその効果は絶大だ。さあ走り出すとしよう。




ホテルから海岸線を走り、山へとハンドルを切る。見切りもよく、車幅も掴みやすい。感覚は一般的なクーペと変わらないほどイージーだが、それでもサイドミラーに映る巨大なインテークの存在が〈マクラーレン〉であることを実感させる。フロントやここから取りこまれた風がミドシップのエンジンルームへと流れる。まさに風を味方にし、その一体感を与えてくれるのだ。そしてサーキットでは最高速度326㎞/hをマークする620PSのエンジンも、コンフォートモードならば激しい雨でも不安なく走ることができる。水たまりでも即座にグリップを取り戻し、ジワーッと効くブレーキの安定感も絶妙だ。やがてつづら折りの峠道を抜けると、湖畔のルートに入った。晴れていれば青空の下、絶景が広がったに違いない。それでもドライブの醍醐味が味わえるのがGTたるゆえんだろう。気づいたときにはすでに4時間近く走っていたのだった。


 

 

〈マクラーレン〉GTは高級ホテルもよく似合う!


羨望を集める走りは、
スポーティでリラックスした
ライフスタイルを物語る

山を下り、目指すはカンヌ。市街地に入った頃には雨も止んだ。海岸線へと向かうルートは、急な斜面と細い路地が続く。慣れない道に行き止まりにも入りこんだが、苦もなく対処できたのは優れた視界と取り回しのおかげだ。




それにしても多くのセレブリティが訪れ、スーパーカーにも見慣れた地元でも〈マクラーレン〉GTはひときわ目を引くようだ。誰もが足を止めてこちらを眺めている。やがて到着したのは〈リッツカールトン〉。映画祭には多くのトップスターが宿泊し、部屋には定宿としたスターの名が掲げられる名ホテルだ。エントランスに乗りつけるのはいささか気恥ずかしいが、少しばかりレッドカーペットを歩くような晴れがましい気分も楽しませてもらうとしよう。〈マクラーレン〉の理念のひとつに“グランドツアラーは引退後に楽しむクルマではない”というものがある。まさにそれを実感できたのだ。
 

 

〈マクラーレン〉GTにぴったりな旅のグッズもある!


〈マクラーレン〉GTは、これまでのスポーツ、スーパー、アルティメットといったシリーズに加え、グランドツーリングという新たなステージを開拓する。その誕生に合わせて、〈マクラーレン〉GTの車載に最適なゴルフクラブ・バッグ77万円、キャビン・バッグ43万円、ウィークエンド・バッグ28万5000円、ガーメントケース26万円というオリジナルラゲッジを発表した。ディーラーネットワークで4点セット、あるいは個別でも購入可能だ。




同時に発表したアイウエアコレクションは、〈ライカアイケア〉のレンズを採用。こちらは国内〈マクラーレン〉ディーラーで取り扱い予定。こうしたアクセサリーの登場で、〈マクラーレン〉GTのライフスタイルは、アスレジャーのファッションのようにスポーティでエフォートレス、そしてよりラグジュアリーに充実するのだ。

★DATA〈マクラーレン〉GT
●全長×全幅×全高:4683×2045×1213mm
●車両重量:1530kg(DIN)
●ホイールベース:2675mm
●エンジン:4ℓV8ツインターボ
●最高出力:456kW(620PS)/7500rpm
●最大トルク:630Nm/5500-6500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:2645万円〜

 
Information

●マクラーレン・オートモーティブ
URL:https://cars.mclaren.com/

取材・文=柴田 充 text:Mitsuru Shibata
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