●今月のビジネスセレブ
ネスレネスプレッソ(日本) 代表取締役社長
ピエール・デュバイル[Pierre Debayle]Profile
フランス生まれ。2002年、ネスレネスプレッソ フランスにダイレクトマーケティングマネージャーとして入社。フランスでキャリアを重ねた後、ネスレミドルイースト(中東)、ネスレネスプレッソS.A.にてZONE APACリージョナルビジネスマネジャーを務めた後、来日。以来現職を務める。
オメガ
シーマスター アクアテラ
●愛用歴/約5年
●使用頻度/週に1 ~ 2回
●購入場所/ドバイの空港の時計店
深いブルーのダイヤルに施されたタペストリー模様は、現行モデルにはない意匠。150m防水というタフな機能性も魅力だ。
「ダイヤルのブルーといった外見だけではなく、搭載されている自動巻きムーブメントにも強く惹かれています。ケースバックのサファイアクリスタル越しに、美しい仕上げが施された精緻なムーブメントを目で楽しむことができるのも嬉しいですね」
OMEGA[オメガ]
シーマスター アクアテラ
1948年に誕生以来、スピードマスターとともに〈オメガ〉のメンズスポーツウォッチの二枚看板として愛され続けているシーマスター。現在展開されている5つのシリーズのなかで、最もエレガンスが際立つのが、2002年に発表されたこのアクアテラだ。ピエールが愛用するモデルはディスコンになり、今はダイヤルに“チークパターン”と呼ばれる横線が施された後継機が展開されている。いずれも無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインによって、スーツにもマッチする気品が漂う。
腕時計は、正確に時間を刻み、持ち主に時刻を告げることが使命だ。そしてともに人生を歩んでいくにつれ、持ち主とともに物語を紡ぎ、よりパーソナルなものになっていく。ピエールが5年来愛用している〈オメガ〉のシーマスター アクアテラは、彼の前任地であるドバイから旅立つそのときに、妻からプレゼントされたスペシャルなスーベニアだ。
「ドバイは家族とともにはじめてヨーロッパを離れて暮らした土地でした。家族でいろいろな場所に出かけ、美しい思い出がたくさんできました」
任期を終え、次の赴任地へと向かう空港。飛行機の出発を待つ時間にたまたま入った時計店で出合ったのがこの〈オメガ〉の時計だった。
「ドバイはおそらく、世界最大規模の空港で、たくさんのラグジュアリーブランドのブティックが軒を連ねています。だけど、ここを離れる記念に時計を買おうとか、そういう気持ちは全然なかったので、いわば衝動買いですね。買ってくれたのは妻ですが(笑)」
ピエールの妻は、ドバイで暮らした決して長くない歳月が、やがて家族にとってかけがえのない宝物のような思い出になると確信したのだろう。「いい妻を持って幸せです」と幸福そうに微笑む。
「〈オメガ〉というブランドに対しては、世界有数のウォッチメーカーとしての信用もありましたし、たとえば、人類初の有人月面着陸を果たした際に宇宙飛行士がつけていたスピードマスターに代表されるように、どこか、旅を連想させ、浪漫を感じていたのだと思います」
しかし、ピエールが選んだのは、クロノグラフのスピードマスターではなく、防水機能を備えたシーマスターだった。
「ドバイに駐在していたときは、中東のほか、アフリカやカリブの地域も担当していたので、公私ともに海辺の街を訪れる機会が多かったんです。なので、やはり〈オメガ〉のシーマスター。美しい海の色を思わせるブルーの文字盤のモデルに迷わず決めました」
聞けばピエールが生まれ育ったのも、フランス南西部の海沿いの街。青春時代はサーフィンを楽しんだ。シーマスターは、“海好き”のDNAを宿す彼にとって、ごく自然な選択だと納得する。
「そして、この愛用している腕時計には、人生の旅は続いていくという意味も込められています」
数年を経て、ピエールは2020年に来日。日本を含め、世界中が、パンデミックによって様々な変化を受け入れざるを得なくなったタイミングだった。
「購入以来、この時計は毎日のようにつけてきました。なぜなら、今日のような少しカジュアルなシャツスタイルはもちろん、スポーティでいながらエレガントな雰囲気も持ち合わせるデザインなので、スーツにも非常にマッチします。でも、いわゆるコロナ禍においてリモートワークが増え、ミーティングやカンファレンスもオンラインで行われるようになって、この時計の出番は少し減りました。でも、かけがえのない大切なものであるというのは変わらず、自分の気持ちを高めたい日には必ずつけています」
シーマスターの登板回数が減った一方で、スマートウォッチの〈ポラール〉の使用頻度は増えた。主にエクササイズするときにはこちらを愛用している。
「〈ポラール〉はとても便利で機能的。でも、時計、というよりは道具という感覚でしょうか」
シーマスターが搭載する、機械式の自動巻きムーブメント。スマートウォッチやクォーツ式時計では感じられないハートビートにも心惹かれると語る。
「時計は私にとって、Companion――常に一緒に、人生をともにする存在。そしてそれは私に、時間とは常に進んでいくということを教えてくれます。特にこの、機械式の自動巻きムーブメントは、置いたままにしていたら、やがてパワーリザーブがなくなり止まってしまいます。時計を動かし続けたいならば、私もともに動いていなければならない。そう、私自身が立ち止まってはいけないということも教えてくれます」
この撮影、インタビュー中も自ら率先して動き、温かいホスピタリティを発揮してくれたピエール。アイスコーヒー専用に開発された夏の数量限定コーヒーをベースに、シロップとソーダで清涼感を演出したスペシャルなドリンクをすすめてくれた。それは、そこがオフィスだと忘れさせてくれるような、リゾートのテラスにいるような心地へと誘ってくれる一杯だった。
「美味しいコーヒーはいつだって、豊かな時間を連れてきてくれるのです」
時計のインタビューより若干熱を帯び、身振り手振りを交えて、コーヒー愛を語るピエール。その手の動きに合わせて、彼のシーマスターの内側では、ローターがエモーショナルに回り、全力でゼンマイを巻き上げていることだろう。
“至福の一杯”を届けるカプセルコーヒーの雄1986年に発売して以降、カプセル式コーヒー市場のパイオニアとして、常に革命を起こし“至福のコーヒー体験”へのトータルサポートを提供するネスプレッソ。「コーヒーチェリーから至福の一杯まで、情熱を込めて」と謳う通り、栽培から一杯のコーヒーまで全工程でこだわりと想いを注いだ高品質なコーヒーを提供し続ける。今夏も世界のバリスタからインスパイアされたシリーズ“バリスタ・クリエイションズ”から、アイスコーヒー専用に開発された夏の数量限定コーヒーを発売。好評を博している。
雑誌『Safari』9月号 P180~181掲載
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photo : Tomoo Syoju text : Kayo Okamura