HOTEL WITH WILD GAME MEAT
ここでしか食べられないという贅沢に満たされる“ジビエ”!
“ジビエ”とは狩猟で得た野生の鳥獣をいただく、ヨーロッパでは貴族が育んだ伝統的な食文化。独特な香りや味が苦手に感じた人も、丁寧な下準備や調理法によってそれが美味しさに変わる。この秋、野性味あふれる味に挑戦してみては?
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[レヴォ]
地元食材がシェフの手で驚きのひと皿に。
契約猟師から仕入れ、衛生管理されたジビエ熟成棟で寝かせ、最高の状態で提供。こちらは薪で火を入れたニホンジカ。野菜も濃厚
オーナーシェフの谷口英司氏が、新たなオーベルジュの移転先として選んだのは、富山県の中でも秘境とされる、利賀村。富山駅からクルマで約1時間半、アクセス至難にもかかわらず客が引きも切らない。その深い山懐に抱かれたこの地から、“前衛的地方料理”を発信している。ここは、レストランを中心に3つの宿泊棟や菜園が広がり、日本の原風景が味わえる。そして、“究極の地産地消”を目指し、富山の山の幸、海の幸をシェフのアイデアで唯一無二の料理に昇華。地元産のジビエも、ツキノワグマやニホンジカなど、バラエティ豊かなのも特徴。レストランにはジビエの熟成室も備えている。〈レヴォ〉のために造られたワインや地ビール、日本酒などとのマリアージュも芸術的。宿泊は1日3組。日帰りのレストラン利用のみも受け付けている。『ミシュランガイド北陸2021特別版』で、2ツ星を獲得。
富山の大自然が仕入れ元。清らかな山水で育った川魚をはじめ、食材が持つ本来の滋味とシェフの感性がスパークする
オーベルジュの中心的存在のレストラン。オープンキッチンの活気が伝わる一方、窓の向こうには四季折々の利賀村の風景が広がる
かつての集落のように、3棟のコテージが点在。当時の家具や建具を再利用しつつ、現代の居住性とデザイン性の高さを実現
DATA
住所:富山県南砺市利賀村大勘場田島100
TEL:0763-68-2115
URL:https://levo.toyama.jp/
[ゼナギ]
天然食材を生かした優しいフレンチ。
“坪井さんの日本鹿”。生き物の行動や習性によって調理法や食べ方を変えた料理はジビエのイメージを一新させる
木曽の山中に佇む、1日1組限定の古民家ラグジュアリーホテル。“人生最高の休日”に仕上げるべく、プライベートバトラーがオリジナルの旅をテーラーメイドしてくれる。ホテル内のレストラン“□△〇(まる さんかく しかく)”では、ジビエや天然キノコなど、アルプスの天然食材を生かした“究極のスローフード”を提供する。地元の名ハンターが仕留めた鹿などを、岐阜・郡上では知らない者はいないというジビエ職人・坪井氏が加工。個体や部位により4日〜2週間熟成させた後、炭と藁でゆっくりと焼き上げる。どんぐりや木の実を食べて育ったジビエの、甘い香りがたまらない。
山・森・川に抱かれ、棚田を望むロケーション。212㎡ものリビング、3部屋のプライベートルーム、レストラン棟からなるスペースを1組だけで貸し切りに
江戸時代の古民家を、木曽のアートやクラフトの粋を集めてリノベート。ふるさとに帰ったような懐かしさがある
DATA
住所:長野県木曽郡南木曽町田立222
TEL:090-6072-8392
URL:https://zen-resorts.com/
[おちあいろう]
風情あふれる景観で伊豆鹿を堪能。
昨年、焼き物・魚で供された、かますとシャンピ富士の炭火焼きと、からすみの磯辺餅
伊豆・湯ケ島の山に囲まれ、2本の川が合流する(川が“落ち合う”ことが宿名に)畔に建つ登録文化財の温泉宿。明治7年に建造された宿は、川端康成や島崎藤村など文豪も足しげく通ったとか。4000坪の敷地に客室はわずか14。歴史ある佇まいを保ちながら、水まわりはリニューアルされ、快適性はきっちり確保。自慢の食事は、四季折々の伊豆の味わいでもてなすコース料理。天城で獲れたジビエ目当てで訪れるゲストも多い。秋の料理には、“伊豆鹿ロース藁焼き”や、“天城紅姫あまごと原木椎茸巻き”などが並ぶ。温泉に浸かり庭園を散歩し、ゆったりした時間を。
昨年は、前菜では伊豆鹿のローストや天城軍鶏肝の旨煮、揚げ物に原木椎茸と猪のつくね揚げや猪ロースニラ巻きなど、伊豆のジビエを提供。今年の料理も楽しみ
14の客室はすべてしつらえが異なる。こちらの“浮舟”は露天風呂付き。春には桜の巨木から花びらが舞い散る、風雅な眺めが楽しめる
DATA
住所:静岡県伊豆市湯ケ島1887-1
TEL:0558-85-0014
URL:https://www.ochiairo.co.jp/
『Urban Safari』Vol.29 P33掲載