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2026.11.07 NEW


まだ知らない岡山へ。真庭・津山・吉備津を巡る、大人の旅【Safari Travel】


昔ながらの風景が楽しめる勝山町並み保存地区 ©岡山県観光連盟

岡山県と聞いて、思い浮かべる風景といえば、倉敷の白壁の町並み、岡山後楽園、瀬戸内の穏やかな海。もちろん、それらは岡山県を代表する魅力だが、もう少し足を延ばしてみると、まだ知らない土地の表情に出会うことができる。

今回訪れたのは、岡山県北部の真庭から津山、そして岡山市北区に位置する吉備津だ。

古い町並みを歩き、土地に根付く酒や食に触れ、城下町の宿で一夜を過ごす。そして旅の最後に待っていたのが、長い歴史と独特の存在感を放つ〈吉備津神社〉。観光名所だけを効率よく巡るのではなく、その土地に足を止め、そこでしか出会えないものをゆっくりと訪ねていく。

そんな大人の旅なら、知っているつもりだった岡山県も、少し違って見えてくるだろう。

日本らしい風情が残る勝山の町並みを歩く

約700mにわたって白壁の町並みが続き、個性豊かなのれんが彩る勝山。戦国時代に三浦氏が築いた高田城を前身とする勝山城があり、城下町として栄えた。現在、城は残っておらず、城跡が歴史を伝えている

岡山駅からクルマで北へ向かい、最初に訪れたのは真庭市の勝山。城下町として賑わったこの町には、古い町家や白壁の建物が残り、落ち着いた町並みが続いている。

実際に歩いてみると、どこか懐かしいノスタルジックな気持ちに。観光地化された場所とはひと味違う、まだ広く知られていない町ならではの静けさがあり、ゆっくりと町並みを巡ることができる。


©岡山県観光連盟

この地区は“のれんの町”としても知られていて、家や店先に個性豊かなのれんが掛けられている。これは1994年ごろに、地元の染織家が店先に掛けた草木染めの一枚をきっかけに広がったそう。のれんを一枚ずつ眺めながら歩けば、勝山ならではの美意識が見えてくるはず。


今も残る石積みの護岸は、かつての船着場。石段“ガンギ”を降りて船に乗り降りしたという

町並みのすぐ裏手には、一級河川の旭川が流れている。そして川沿いの民家には、かつて人や物資の輸送を担った高瀬舟の船着場跡が残っている。高瀬舟は、浅い川でも航行しやすい底の平らな木造船で、地域を結ぶ水運の要として活躍したという。現在は湯原ダムの建設などにより、かつてとは川の様子も変わり、穏やかな流れが広がっている。旭川に架かる橋の上から川面を眺めながら、この地の歴史に思いを馳せてみるのも一興だろう。


創業1804年の老舗酒蔵〈御前酒蔵元 辻本店〉は、岡山県を代表する酒米・雄町を使い、室町時代に起源を持つ伝統的な酒造りの技法『菩提もと』を復活させ、独自の酒造りを続けている

勝山の町を歩いた先に訪ねたのが、〈御前酒蔵元 辻本店〉。ここで、ぜひ体験してほしいのが『Gozenshu Experience』。岡山県産の酒米・雄町や、伝統的な醸造法『菩提もと』について学びながら、御前酒ならではの酒造りに触れられる。酒造りに欠かせない乳酸水“そやし水”を味わうプランから、実際の酒蔵を見学し、温度による味わいの変化まで体感するプランまで用意。イギリスで見つかった日本の文献『日本山海名産図絵』から、『菩提もと』を復活させようと取り組んだ蔵元のエピソードも実に興味深かった。

酒は、米や水、気候など、その土地の風土と深く結びついている。だからこそ、酒を知ることは、そこで育まれてきた暮らしや文化を知ることにもつながる。町を歩き、土地の歴史や風土に触れてから酒を味わう。そんな順番も、大人の旅ならではの楽しみ方だろう。


1888年創業の〈河野酢味噌製造工場〉。昔ながらの天然醸造で造り続けており、手仕事と発酵の力が生み出す、まろやかで奥深い味わいが魅力

この日はさらに、1888年創業の〈河野酢味噌製造工場〉へ。5代目店主に話を聞きながら、杉桶を使った伝統的な味噌造りに触れた。真庭市には発酵という食文化が深く育まれており、店主ら市内の事業者が“まにわ発酵's”として連携し、その魅力を発信している。

一日の終わりは、城下町の宿へ


真庭市を巡った一日の終わりに向かったのは、クルマで約1時間の津山市。かつて津山城が築かれ、城下町として栄えたこの町もまた、歴史の面影を色濃く残している。

そして歴史に触れた旅の締めくくりにふさわしい滞在先としておすすめしたいのが、〈ザ・シロヤマテラス津山別邸〉。津山城跡を望むロケーションに加え、地元の食材を生かした料理や、城下町の風情を感じさせる落ち着いた空間も魅力。旅の余韻に浸りながら、ゆったりと一日の疲れを癒やすことができる。


シェフズダイニング『咲楽』では、地元食材を活かした懐石料理が味わえる。写真はシェフが鉄板で仕上げるご当地牛"奈義和牛"のステーキをメインにした『咲楽懐石』9680円


テラス付ツイン

全65室の客室は、気軽に利用できるツインルームから、テラス付きの客室、専有露天風呂を備えた特別室まで全11タイプ。滞在スタイルに合わせて選べるのが魅力。8階の温泉大浴場『津山温泉 城見SPA』には、津山城跡を望む露天風呂があるので、そこで湯に浸かりながら一日の疲れを癒やすのがおすすめだ。

岡山県でパワースポットを訪れるなら、外せない歴史ある神社へ


翌朝、津山市を後にして向かったのが岡山市北区に鎮座する〈吉備津神社〉。桃太郎伝説の原型とされる、吉備津彦命(きびつひこのみこと)と鬼・温羅(うら)の物語が伝わる由緒ある大社で、全国でもここにしか無い「吉備津造り」と呼ばれる壮大な建築様式や長い廻廊などがある。また映画『燃えよ剣』(2021年)、NHKドラマ『犬神家の一族』(2023年)などのロケ地としても知られている。


本殿の屋根には柱に組み物をし屋根を支えているので深い軒を支える柱がなく、すっきりと広がる姿が美しい ©岡山県観光連盟


©岡山県観光連盟

本殿へと続く長い石段を上り、境内へ。広々とした境内には、歴史を感じさせる社殿が構え、想像以上のスケールに圧倒される。本殿からさらに先へ進むと、全長約360mにも及ぶ廻廊が姿を現す。緩やかな起伏に沿ってどこまでも続く廻廊を歩いていると、神社を参拝するという感覚を超え、歴史ある空間を巡っているような気分に。

本殿と拝殿は、ともに国宝。なかでも本殿は、屋根を前後にふたつ連結した比翼入母屋造の大屋根の本殿に直接拝殿が接続された独特の建築様式『吉備津造り』が特徴。室町時代の建築美を今に伝える、建築様式にも注目したい。


ロケ地にも使われることが多いという長い廻廊。春は桜が、秋は紅葉が楽しめるそう ©岡山県観光連盟

こちらを訪れたら触れておきたいのが、桃太郎伝説。桃太郎のモデルとされる吉備津彦命と、鬼として伝えられる温羅の物語だ。境内には、鬼退治の矢を置いたとされる矢置岩や、温羅の首にまつわる伝承が残る御竈殿など、伝説ゆかりの場所が点在する。誰もが知る昔話のルーツに、この地で触れてみるのも興味深いだろう。


御竈殿には大きなしゃもじが掲げられ、内部は長年にわたって焚いた薪の煙と煤により、黒光りする独特の風合いを帯びている

そして、もうひとつ興味深いのが『鳴釜神事』。戦国時代の記録『多聞院日記』や、上田秋成の『雨月物語』にも登場するほど、古くから知られてきた神事がここにはある。かつては戦国武将の黒田官兵衛も訪れたとされ、御竈殿で釜の鳴る音によって吉凶を占う。音の意味は参拝者自身の受け止め方に委ねられるという。

運気や縁起を大切にする大人なら、歴史ある神事に触れ、釜の音に耳を澄ませてみるのも、旅の楽しみのひとつになるだろう。

ただ「パワースポットだから訪れる」というより、その土地に残る伝説や神事を知ったうえで、自分自身のこれからに思いを馳せてみる。そんな時間の過ごし方が、〈吉備津神社〉には似合う。

今回巡った真庭、津山、吉備津。いずれも、岡山を代表する観光地として最初に名前が挙がる場所ではないかもしれない。

けれども、だからこそ面白いはず。有名な場所を巡るだけが、旅ではないだろう。

まだ知らない場所へ足を延ばしてみる。その土地でしか出会えないものを見つける。岡山県には、そんな大人の旅を愉しむ理由が、まだまだ残されている。

 
Information

⚫︎岡山観光WEB
URL:https://www.okayama-kanko.jp

⚫︎御前酒蔵元 辻本店
URL:https://www.gozenshu.co.jp

⚫︎河野酢味噌製造工場
URL:https://kohno-honten.co.jp

⚫︎ザ・シロヤマテラス津山別邸
URL:https://www.tsuyama-bettei.com

⚫︎吉備津神社
URL:https://www.kibitujinja.com/

 

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