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2021.02.23


鉄・木・ガラスを使ったアトリエのような住まい

1973年築のヴィンテージマンションの1室。床や天井をはがし水回りを除くすべてをワンルームにフルリノベーションした。鉄、木、ガラスの異素材を自在に使い、居心地のよさを作り出している。ハイブランドのアンティーク家具も路上生活者の作品も、気負いなく部屋に受け入れるインテリアセンスは学びどころ満載だ。

今月の部屋 クリストファー邸/1LDK/85㎡スチールフェンスの吊り戸が緩やかに空間を仕切り、ラフでアメリカンな雰囲気を演出。と、同時にどこにでも服を掛けられる実用性もプラス。部屋の一角には自前のサーフボード立てを設置している

六本木のビル群を見渡せるマンションの最上階。広いルーフバルコニーを持つ一室に暮らしているのは、ファッションブランドのコンサルティングを務めるクリストファーさんだ。

「実用性よりも自分の好みをとことん盛りこんだ非日常感のある住まい」を希望しフルリノベーション。その結果、高い天井と2方向からのたっぷりの自然光が、アトリエを思わせる85㎡のワンルームになった。

玄関とフラットに繋がるLDKは土間仕上げに。スチールフェンスの建具で仕切ったベッドルームは、パインの板張りで空間に区切りをつけた。水回りはガラス張りの一画に集約し、床の高さや素材を変えて、緩やかにゾーニングしている。壁や天井は自ら3度塗り重ねて白くペイント。サンダーで塗料を削ってオイルを塗った玄関の鉄扉は時間とともにサビが浮き出て、期せずしてアートの趣になっている。

「単に新しくて豪華であることより、背景にあるストーリーまで感じられる空間やモノが好きなんです」とクリストファーさん。子供の頃から使っていたダイニングテーブルや、使いこんだ革のソファが、インダストリアルなリビングにやわらかい表情を生み出している。

01 白いコンクリート壁に錆び模様のスチールドア床はフローリングをはがして一段下げ、自らモルタルを塗って土間仕上げに。濃淡の模様が浮き出た武骨な空間に、チューブのようなフォルムが愛らしい〈クラシコン 〉の“ビベンダム”などヴィンテージソファを無造作に置いている

02 木枠のガラス越しに開放感抜群のバスルームガラス張りのバスルームは、ゲスト用にブラインドも付けている。木枠の3枚ガラスがパリのショップのショーケースのよう。置き型のバスタブやグローエのシャワーヘッドはネットオークションなどで気に入ったデザインのものを手に入れた。ブルーの収納棚は〈ユーエスエム〉

03 ベッドルームは板張りで柔らかなニュアンスに25㎡あるベッドルームは、白いチェストをヘッドボード代わりにレイアウト。ブラインドの赤いコードが窓辺をセンスアップしている

04 光あふれるバルコニーではハーブや野菜を育てる広いルーフバルコニーは日当たり抜群。菜園を作り、野菜やハーブ、レモンやオリーブなど実のなる木も育てて料理に活用

INTERIOR POINT
街角で買った1枚もアートとして楽しむ
名のあるアーティスト作品に見えるこのポスター。実は、ニューヨーク近代美術館を訪れたとき、街角で路上生活者が手持ちの材料でデザインして販売していたもの。NYのサイクリングマップにロードバイクのシルクスクリーンを重ねた抜群のセンスに惹かれすぐに購入。ダイナミックな構図と色が、武骨な空間のアクセントになっている。気に入ったものは、価格や有名・無名にかかわらず飾って楽しむ。それも部屋づくりを楽しむポイントなんだとか。

 
Information

●ハウストラッド
TEL:03-6412-7406
URL:www.housetrad.com

雑誌『Safari』3月号 P182~183掲載

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写真=松村隆史 文=中城邦子
photo : Takafumi Matsumura text : Kuniko Nakajo

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