北澤 豪さんの“オリジナルデニム”を作る!
「オリジナルデニムを作る」。デニム党にとってこんなに贅沢なことはない。サッカー界きってのデニム好きである北澤さんも、これは初体験とのこと。今回は日本最高峰デニムメーカーの〈カイハラ〉と、世界に誇るデニム加工技術を持つ縫製加工工場〈サーブ〉の協力のもと、世界に1本だけの“北澤ブランド”のデニムを作れることになった。そして、どうやってそのデニムが作られていくのか、北澤さんのこだわりはどこにあるのかなど、制作の様子を詳しくリポートしていきます。第1弾のテーマは“王道ヴィンテージ”!
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- 北澤 豪の「こだわりMYスタイル!」
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カイハラ株式会社専務取締役の貝原淳之さんと北澤さんで、綿密な打ち合わせをする
——今回はオリジナルデニムを作るということですが、なにか構想はありますか?
北澤:やっぱり王道のストレートデニムはハズせないですね。加工たっぷりでアメリカン! という印象のものが、まずはほしいかな。それから“デニムを穿いてサッカーをする”というのもイメージにある。あと、スーツも気になりますね。なかなかないでしょ、デニムのセットアップって。
カイハラ:オケージョンやスタイルに合わせていくつか作るというのは面白いですね。今北澤さんが挙げられた3タイプに合ういいデニム生地を、それぞれ用意できます。
プロ目線で細かい説明を丁寧にしてくれたのは、カイハラ株式会社課長の内川庸平さん
——まずは加工たっぷりなヴィンテージ風のデニムから。ここに並ぶサンプルから、イメージに近いものを探してみましょう。
北澤:多すぎて目移りしちゃいますね(笑)。王道デニムっていうと、どんなものになりますか?
カイハラ:やはりストレートシルエットで、ストレッチ素材を使わない綿100%の生地ですね。某世界的デニムブランドの代表モデルをイメージしてもらうといいかもしれません。
北澤:やっぱり、そのイメージが強いですよね。
カイハラ:ただ現代では若干テイパードしたシルエットの方がファッションとの馴染みもいいので、気持ち絞りを効かせるのもいいかもしれませんよ。
北澤:王道っていうくらいだから、快適性よりも見た目のかっこよさがきちんと表現されるほうがいいですよね。
カイハラ:そうでしたら、生地はオーセンティックな綿100%の13.5ozですね。生地は厚ければ厚いほど、穿きこむことでいわゆるヒゲやアタリといった味のあるいい表情が生まれやすい。でも正直厚いともちろん硬いですから、穿きやすさとは反比例することも事実です。そのちょうどいいバランスなのが13.5ozなんですよ。
北澤:なるほどね〜。穿くことで味が生まれるのはわかりますけど、やっぱりすぐにかっこいい状態で穿きたいかな。
様々な加工が施されたデニムのサンプル
今回、縫製加工を担当してくれる、株式会社サーブ代表取締役の澤上順二さん、そしてセールスプランナーの嘉味田修平さん
サーブ:そこで我々の出番です(笑)。ヴィンテージ加工は日本発祥で技術力も高く、さらには技術開発も進んだことで、本物のヴィンテージデニムのような細かい“味”を忠実に再現できるようになりました。
北澤:全部手作業でやるとしたら大変ですよね。
サーブ:もちろん紙ヤスリを使って手作業で丁寧に施すこともあります。でも今はレーザー加工技術が発達しています。本物のヴィンテージデニムをスキャニングして、まったく同じようなヒゲやアタリによる表情を転写することができるんです。
北澤:え!? それはすごい! 職人さんは困ってしまいますね(笑)。
かっこいい加工を見せるために加工具合を吟味する北澤さん。進化したその加工技術にも驚かされる
——王道ヴィンテージ風のデニムというと、どんなものをイメージされますか?
北澤:色が薄いものより、しっかりと青が残っている方が好きですね。とはいえ、ヒゲとかの穿きこみの味がたっぷりなのも捨てがたい……。よく見ると、リペアにデニム以外を当てることも多いんですね。バンダナなども使っていますね。
サーブ:刺し子や道着、着物の端切れなど、日本にしかない生地を藍染めして使うというユニークなものも作っていますよ。「もし1900年以前の日本にもデニムがあったら!?」というイメージで作ってみたんですよ。
北澤:それってほぼ芸術作品ですね。確かにかっこいい! そういう物語があるアイテムって好きなんですよね。ぜひ、そのアイデアを取り入れたいです。あと、こんなふうに、日の丸をどこかに入れたいですね〜。
日本の国旗デザインにサーブのロゴが入ったタグ。こうやって信頼のおけるタグが入れば、また一段とデニムの格も上がって見えてくる
——スレーキ(ポケット布)に北澤さんの顔写真をプリントするのはどうですか? オリジナリティが出ますよ。
一同:それいい!
ということで、今回作ることとなった “王道ヴィンテージ風”の出来上がりイメージというのが、こんな感じ。
北澤さんのこだわりたい素材、色、加工が入った理想のデニムパンツがコチラ。まさに、アメカジ好きにはたまらない王道の1本といえる
ストレートに近い若干のテイパードシルエットに、生地は穿き心地とタフな印象のバランスに優れる13.5oz。青みをしっかりと残した色落ち感で、ヒゲやアタリのシェービングやリペアなど、加工もたっぷりと施していく。また、日本独自の生地をバックポケットに用いた。さらに、日の丸と北澤さんの顔もどこかに忍ばせてオリジナル感を加えることになった。
こちらは、秋に完成予定の北澤デニムブランド第1弾、“王道ヴィンテージ”モデル。このこだわりのポイント、デニム好きは共感せずにはいられないはず。というわけで、北澤さんならずともできあがりが今から楽しみでしょ!?
元サッカー日本代表。現役時代は豊富な運動量と闘志あふれるプレースタイルから、“中盤のダイナモ”と称された。現在は日本サッカー協会の理事を務めながら、サッカーの普及などに尽力する傍ら、日本テレビ系『NEWS ZERO』のサッカー解説やサッカー中継の解説などでも活躍中。
●カイハラ株式会社
日本屈指のデニム生産量を誇る広島県福山市に本社を構えるデニム生地メーカー。高品質にこだわる姿勢が認められ、日本のみならず世界中のファッションブランドに生地を提供している。メイド・イン・ジャパンのデニムを牽引する存在。
URL:http://www.kaihara-denim.com
●株式会社サーブ
神奈川県平塚市に本社を置くデニムの縫製・洗い加工を行う会社。国内最高峰の技術を誇り、〈リーバイス〉から認定工場に指定されている。
URL:http://saab-group.jp
text :Yuta Yagi photo : Yoshifumi Ikeda(BOIL)