【建築家 ダン・ブルーヌの邸宅】LA中央の高級住宅街に立つ小川の上のブリッジハウス!
LA市長公邸がある閑静な住宅街、ハンコックパーク。1930年代に多くのハリウッドスターが住んでいた名残で豪邸が立ち並ぶ。ここに建築家が出身地テルアビブから発想を得て、自らのために建てた小川の上の邸宅を紹介しよう。
- SERIES:
- 西海岸リビング&インテリア! vol.4
Hancock Park
カリフォルニア州ロサンゼルス・ハンコックパーク
owner
ダン・ブルーヌ
建築家
玄関ドアを開けるとまず目に入るのが、採光窓から差す太陽光が生かされたリビングルーム。植物をふんだんに施した壁に並ぶのは〈ジェームス・ジーン〉の作品。音楽好きのブルーヌがペイントしたギターもアクセント。
モダンでありながら安らぐ家!
縦長の家は幅6m、長さ64mで、ミニホテルリゾートをイメージ。庭のスイミングプールには建物を映す鏡の役割も。周囲の自然と繋がりながら、建物を引き立たせているのが設計のポイント。
ダン・ブルーヌ[Dan Brunn]
建築家
1978年、イスラエル・テルアビブ生まれ。
7歳のときに米国移住。カリフォルニア州ビバリーヒルズ育ち。
〈ダン・ブルーヌ・アーキテクチャー〉を経営する建築家。
バウハウス風のモダン建築が特徴。
LAの中心に住みたかった、緑が豊かで静かな郊外の街のようだから。それが、建築家ダン・ブルーヌが自らの邸宅をハンコックパークに建てた理由。小川が流れる土地を見つけて購入し、その小川をまたぐ橋をイメージして“ブリッジハウス”と名づけて建築。彼の出身地テルアビブにあるような真っ白な建物に巨大な窓のあるモダンな家が完成した。
彼の建築で重要なのは、実は“太陽光”。「僕が設計する家は、太陽の光がダンスを踊っているように空間を蛇行し、浸透していく様子が楽しめるんだ」と話す。幾何学的であり機能主義。モダニズムの代名詞といわれるバウハウスの建築様式にインスパイアされたそう。ミニマル重視の構造も美しい。建物の“頭”にベッドルーム、“脚”にリビングルーム。その間にキッチン、ダイニングルーム、デン、ゲストルームなどが並ぶ。
「僕が一番落ち着くのは、茶室をイメージして造った小さな隠れ家風のデン。朝は外の緑を眺めながらコーヒーを飲む」
さらに長い廊下の仕掛けもユニーク。中間点の窓にプライベートとパブリックを分ける工夫があり、入り口から歩いて来ると外が見え、反対方向のベッドルームから歩いて来ると見えないのだ。
あなたにとって家とは? と問うと「安らぎ、静寂で休息でき、思い出を作る場所」。ゆったりと優雅な時間が過ごせる邸宅だからこそ、人々を魅了する建築を設計できるのかもしれない。
邸宅データ
●敷地面積:0.35エーカー(約428坪)
●家の面積:4656平方フィート(約131坪)
●家の値段:1200万ドル(1ドル130円換算で約15億6000万円)
●部屋数:11部屋(寝室4部屋、バスルームは4室)、2階建て
●築年月:2019年10月
●建築家:ダン・ブルーヌ
●家族構成:1人。ペットは犬1匹
米国ではデンと呼ぶ隠れ家風の部屋。「コーヒーを飲んだり、テレビを見たり。ゆっくりしたいときは必ずここで」とブルーヌ。
小川をまたいで橋のような家を建てる発想は、才能あふれる彼ならでは。橋の部分の長さは20mとか。
壁一面が窓の開放的なダイニングルーム。昼間は太陽の光で明るく、木々の景色が存分に楽しめる。夜は彼の友人のブランド〈スティックバルブ〉の個性的なペンダントライトが映える。外にはファイヤーピットも。「星を眺めながら過ごす。至福の時間だよ」
長い廊下。「ここを歩いていると気持ちが落ち着く。まるで瞑想しているような気分になる」そう。外の景色が見える入り口からの方向と、外が見えずにプライベートが守られているベッドルームからの方向、外と内を切り替える中間点の窓の構造が面白い。
①屋外にはピザオーブン
スイミングプール脇のテラスに米国製〈リンクス〉の屋外ピザオーブンやオーブングリル、冷蔵庫やシンクを設置。
②余裕のあるクローゼット
整理整頓されたウォーク・イン・クローゼット。「ミニマリズムを暮らしにも取り入れている。必要なものだけを厳選して購入」。〈RTA〉〈ベルスタッフ〉〈ポール・スミス〉などのコレクションを収納。
③ウッディなベッドルーム
ベッドルームは木製の建材で落ち着く空間。掛け布団と枕は〈EQ 3〉。「夜10時に寝て、朝6時に起きる朝型。起きたら、朝陽を浴びてからシャワー。1日が最高になる秘訣だよ」。ベッドルームには外へ出られるドアがあり、スイミングプールや地下室の設計事務所への近道になっている。夏は屋外シャワーを浴びるのも気持ちいいそう。
④イタリア製のキッチン家具
キッチン家具はイタリアの〈アスター・クチーナ〉。生花や植物を絶妙なバランスで配置し、「日本人の友人にもらったんだよ」とキッチンカウンターに日本製花瓶も。
⑤天窓つきのバスルーム
大きな天窓が付いたバスタブ。星空を眺めながら入るお風呂は格別とか。シャワーは外の木々を眺めながら浴びることができる癒しの空間。
⑥創造性あふれるオフィス
地下とは区別して造ったホームオフィス。〈プラダ〉とのコラボで注目を集める〈ジェームス・ジーン〉の絵やレコードプレイヤーをディスプレイ。創造性豊かな空間で仕事を楽しむ。持っているギターは14本。ロックンロールのバンドをやっていたことがあり、今でも趣味で曲作りをしているそう。“(設計で)たまる熱”を放出するのに効果抜群とか。
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雑誌『Safari』9月号 P65~68掲載
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photo : Kaori Suzuki text : Yoko Fujimoto