〈オストゥ〉の“手打ちラビオリ”
人気シェフがとっておきの感動メニューを教える連載の2回めは、西麻布〈カルネヤサノマンズ〉の高山いさ己シェフが登場。熟成肉ブームの火つけ役にして、フーディーを沸かせた“煮干しパスタ”の生みの親。ジャンルを超えて活躍するシェフが密かに通い続ける店とは!?
- SERIES:
- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.02
小さなラビオリ“アニョロッティ デル プリン”3種類のお肉の詰め物(2600円、税込み)
つるんとした食感のパスタの中身は、牛、豚、ウサギのなめらかなペースト。3種が織りなす香り、旨み、野生味がバターのコクと合わさる
パスタのソースはバターとローズマリー、牛のだしを煮詰めたもの。さっと絡めるシンプルな調理だが、濃厚な香りとコク、複雑味がある
オススメしてくれたのはこの人!
〈サノマンズ〉高山いさ己シェフ
イタリアンの枠を超え新しい美味を提案
オーナーシェフを務める神楽坂〈アンティカ オステリア カルネヤ〉とドライエイジドビーフブームの先駆的精肉店〈さの萬〉がコラボした高級ステーキレストラン。塊で豪快に焼く看板商品のLボーンステーキは、ガリッとした焼き目と凝縮感のある濃厚な旨みがたまらない。
住所:東京都港区西麻布3-17-25
営業時間:11:30~14:00L.O、18:00~21:30L.O(土曜17:30~21:00L.O)
休日:日曜、月曜ランチ
TEL: 03-6447-4829
高山シェフ
味わい、サービスすべてが好みにピタリとハマる
カリスマ肉シェフとして本も出版する傍ら、新日本橋にオープンした煮干しパスタの店〈sisi煮干啖〉が大ブレイク。イタリアンの枠を超えて活躍するスターシェフは、生まれ育った浅草の知る人ぞ知る名店から高級レストランまで、食べ歩きで訪れる店も幅広い。そんなシェフが、「季節ごとに何度も訪れたい」と話すのが代々木公園の〈オストゥ〉。
「余分なものがなにもない、そぎ落とされたシンプルな料理は、余計なことを考えず“美味しい”に没頭できる。ヴィテッロ・トンナートにフィナンツェーラ(内臓肉や鶏のとさかの煮込み)、手打ちパスタなどは繰り返し食べても飽きない」
イチオシは、3種の肉を詰めたアニョロッティ デル プリン。
「肉やソースの旨みもさることながら、食感といい、優しいコクといい、手作りのパスタ生地そのものがしみじみ旨い。血の通ったオヤジ(失礼!)の料理は、イタリアの薫りがするんです」
宮根シェフ
見直し続けて守り、近づける現地の味
宮根シェフが一貫してこだわるのは“現地の味”。
「店でお出しする料理は、できるだけ土地の、僕自身がピエモンテで習った味に忠実にと考えています」
と話す。しかしながら、それも月日がたつうちに微妙に変わるもの。だから「マイナーチェンジを重ねる」ことで味をアップデイトするのだとか。
「たとえば今回の詰め物パスタ。生地には以前、セモリナ粉を加えていましたが、現在は中力粉と卵黄、塩で、つるっと弾力のある食感に仕上げています。基本の配合は決めていますが、必ず包んだら1つ食べて味をみる。肉の質や脂の量などは時季によって違いますから、詰め物の味が強いと感じたら、サイズや生地の厚さを変えて味を調えます」
アニョロッティ デル プリンは、“3種の肉”のほかに、北イタリア名産の“フォンティーナ”というチーズを詰めたものも。“飽きない味”は、マニュアル化できない、日々の仕事が作っている。
Check1 卵黄入り手打ちパスタ
卵入りの手打ちパスタは、北イタリアで広く親しまれている。宮根シェフは、生地にしっかりとした風味を持たせるため、卵黄主体で作る。“プリン”は“つまむ”を意味する
Check2 ピエモンテ産ワイン
ワインも当然、ピエモンテ産が中心。バローロなどの銘醸ワインは、少し熟成させ、香りや味わいが豊かに開く飲み頃を提供。料理との相性はいわずもがな。ボトル7400円(税込み)~
OSTÜ[オストゥ]
オーナーも務める宮根正人シェフは、イタリアワイン屈指の銘醸地、バローロ村を中心にピエモンテで5年間修業。帰国後に開いたこの店は、今年で12年めを迎える。ピエモンテの伝統料理を、“奇をてらわず、現地の味に忠実に”が信条。余分な飾りのない手打ちパスタや肉料理は、一見素朴な雰囲気だが、口に入れると重層的でリッチな北イタリアならではの味わい。少し熟成したネッビオーロやドルチェットなど、同地方のワインと文句なしに相乗する。この店でピエモンテ料理の味と奥深さを知り、ファンになる人も多い。
●OSTÜ[オストゥ]
住所:東京都渋谷区代々木5-67-6 代々木松浦ビル1F
営業時間:12:00~13:00L.O、18:00~21:00L.O
休日:水曜、木曜ランチ
TEL:03-5454-8700
URL:www.ostu.jp/