白金高輪のビストロノミーで、和やかにフレンチのフルコースを堪能!
白金には数多のフレンチレストランが割拠している。そんな中、2025年10月3日にフランス語で“香りの余韻”や“残り香”を意味する〈シヤージュ(Sillage)〉がオープンした。コンセプトは、1990年代にパリで発祥した“ビストロノミー”というスタイル。“気軽さと上質さを同じテーブルに”ということで、ビストロの親しみやすさと、高級レストランの確かな味わいを見事に融合させた。
- TAGS:
- アレが食べたいからこの店へ! Gourmet Culture
シェフを務める宗定和輝さんは岡山で生まれ育ち、地元の調理師学校を卒業した後に〈ウェスティンホテル淡路〉で料理人としてのキャリアをスタート。〈神戸北野ホテル〉でクラシックフレンチを学び、フランスの星付きレストランではフランスのM.O.F.(最優秀職人章)をもつシェフから薫陶を受けた。帰国後は、ミシュランガイド1つ星〈ラルジャン(L'ARGENT)〉で、シェフの加藤順一さんから学んだ。
そんな宗定さんの自信作がディナーで提供されている“シヤージュ(Sillage)”(1万2100円)。アミューズ、前菜3品、魚料理、肉料理、デザートが堪能できる7皿のフルコース構成で、メインディッシュは好きなものをチョイスできるのが嬉しい。
“アミューズ”
最初の“アミューズ”は2品仕立て。栗とサツマイモのクロケット=コロッケは炭火の香りをまとったマヨネーズが添えられていて、甘味と燻香のマリアージュを楽しめる。炙った秋刀魚をのせたタルトは、下に敷かれた生姜のエスプーマのおかげで軽快な味わい。
“キタノカオリ / オリーブオイル / サステナブルな野菜のペースト”
“キタノカオリ / オリーブオイル / サステナブルな野菜のペースト”は、自家製カンパーニュと契約農家から届く規格外の野菜を用いたサステナブルな野菜のペーストの取り合わせ。自家製カンパーニュは、宗定さんがブーランジェの奥さんに相談して創りあげた。品質に定評のある北海道小麦“キタノカオリ”を用いており、クラストがパリッとして、食事に寄り添う。規格外のニンジンを用いたペーストがサステナブルで、ピンクペッパーがピリっとしたアクセント。
“高知県産戻りガツオ / 発酵パプリカ / ぶしゅかん”
瞬間燻製を効果的に用いたのが、“高知県産戻りガツオ / 発酵パプリカ / ぶしゅかん”。脂が乗った戻り鰹を桜のチップで瞬間燻製して、力強い風味をもたらした。宗定さんの故郷、岡山県のパプリカ2種類を用いたソースは滋味にあふれる。オクラやレッドソレルなど、野菜もたっぷり。
“発酵舞茸 / じゃがいも / 卵黄”
“発酵舞茸 / じゃがいも / 卵黄”は、発酵させて快味を深めた舞茸のソテーに、ジャガイモのエスプーマと卵黄のコンフィを合わせたという意欲作だ。フォンドボーのソースは力強くて旨味抜群。パセリのオイルの彩り、赤玉ねぎのピクルスも印象に残る。ナスタチウムの葉がアイコニック。
“鱧 / 秋茄子 / 発酵トマト”
鱧出汁と発酵トマトをスープに仕上げたのが、“鱧 / 秋茄子 / 発酵トマト”。昆布の香りをまとった鱧に、秋茄子のソテーを合わせた。口どけのいいフォアグラのポワレ、香り高い焼き茄子のピューレが一体となり、ディルがあしらわれている。
“甘鯛 / 菊 / ヴァンジョーヌ”
“甘鯛 / 菊 / ヴァンジョーヌ”は、カリカリの鱗焼きにした甘鯛が主役。蕪のフォンダンはやわらかくて、慎ましやかな甘味をもつ。散りばめられた菊の花がとっても可憐。
“黒毛和牛イチボ”
メインの肉料理は3種類からチョイスできる。どれも人気だけれども、希少部位を用いた“黒毛和牛イチボ”は特別感があっていい。黒毛和牛のイチボ肉はジューシーできめ細やかな脂。厚みがあるものの、やわらかくてシルキーなテクスチャーを堪能できる。ネギオイルと焦がしネギ、フォンドヴォーのソースは乙な味わい。岡山県の契約農家から届いた野菜はオクラやパプリカ。メインディッシュの後には、“シークレットディッシュ”が提供されるので、お楽しみに!
“洋梨 / 落花生 / カカオ”
“洋梨 / 落花生 / カカオ”は、仕上げに液体窒素でパウダーにしたエルダーフラワーのソースと色鮮やかな岡山県のエディブルフラワーをかけてもらえる。洋梨のコンポートとバニラアイスでさっぱりとさせ、落花生のクリームはうっとりとするような甘い香り。
“焼き立てフィナンシェ”
食後のドリンクは、“焼き立てフィナンシェ”とともに味わえる。型に入ったままの焼き立てフィナンシェはアーモンドプードルの風味にあふれていて、幸せな気分に満たされることは間違いなし!
フルコースには、マネージャーの宇土雅凱さんがサービスしてくれるワインもいただきたい。“シャンパーニュ・キュペルリー ゼロ・レゼルヴ”(1980円/グラス)は、加糖なしのキリッとした極辛口で、ミネラルの余韻もある。最初の一杯に相応しい軽やかな味わいだ。
左:“シャンパーニュ・キュペルリー ゼロ・レゼルヴ” 中:“シャトー・ミニュティ ロゼ・エ・オール 2023” 右:“ステファン・オジェ ル・タン・エ・ヴニュ ルージュ 2022”
シャンパーニュの後は、ワインペアリング(6600円/5グラス)を合わせるのがおすすめ。南仏のプロヴァンス地方の“シャトー・ミニュティ ロゼ・エ・オール 2023”は、鰹との相性が抜群。フレッシュに仕上げたロゼワインで、上品な味わいが、料理のポテンシャルを底上げする。“ステファン・オジェ ル・タン・エ・ヴニュ ルージュ 2022”は、黒毛和牛にぴたりと寄り添う赤ワイン。黒胡椒の香りや、果実豊かで滑らかなタンニンが、イチボ肉の食味と共振する。
店内には32席が設けられていて、スペーシャスな臨場感あふれる空間。クロスを敷かないテーブルやウッディな内観、草花の装いで、肩肘張らず、和やかな雰囲気が紡がれている。
フレンチがひしめく白金高輪に新しく加わった〈シヤージュ〉。じわじわっと存在感を増しているので、さっそく足を運んでみるのがよさそう!
●シヤージュ(Sillage) 1万2100円
アミューズ
キタノカオリ / オリーブオイル / サステナブルな野菜のペースト
高知県産戻りガツオ / 発酵パプリカ / ぶしゅかん
発酵舞茸 / じゃがいも / 卵黄
鱧 / 秋茄子 / 発酵トマト
甘鯛 / 菊 / ヴァンジョーヌ
岩中豚SPF or 近江鴨 or 黒毛和牛イチボ(+1650円)
洋梨 / 落花生 / カカオ
焼き立てフィナンシェ
●シヤージュ(Sillage)
住所:東京都港区白金1-27-6 白金高輪ステーションビル
営業時間:ランチ11:30~15:00(14:00LO)、ディナー18:00~21:30(20:00LO)
定休日:水曜
TEL:03-5793-5022
URL:https://www.sillage-shirokane.jp/
※サービス料別
●グルメジャーナリスト 東龍さんの連載・記事はこちら!
アレが食べたいからこの店へ!
グルメジャーナリスト東龍のホテルグルメで“口福”体験!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。










































































