【名品】お手入れ方法まで解説!
高評価が集まる〈バブアー〉の魅力とは?
ハイテクな高機能素材を使ったアウトドアアイテムが人気を博す一方、実は、ぬくもりを感じるローテクなアイテムも見直されている。その代表格といえば、男女ともに人気を集めている〈バブアー〉のワックスドジャケット。文字どおり、生地にワックスを塗りこませているのが特徴。それにより撥水性を確保し、着こむほどに味のある風合いを楽しむことができる。化学的な機能素材とは一線を画すノスタルジーさえ漂う生地だが、一方で懸念材料もある。それがメンテナンスだ。
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通常のクリーニング店では難しい〈バブアー〉のメンテナンスも、技術を備えた業者に頼めばもちろん可能。だが、長~く愛用できるアウターなんだから、せっかくならセルフメンテナンスの方法を知っておくと、より愛着が湧くというもの。今回は、そんな〈バブアー〉の名品を掘り下げるとともに、カンタンにできるお手入れ方法もご紹介しよう。
ポイント1:天然の風合いと撥水性の両立
ポイント2:着こむほどに味が出る
ポイント3:耐久性が高く、長く愛用できる
ブランドの創業は1894年。イングランド北西部にある港町サウス・シールズがその地。漁師や港湾労働者であふれる町で、創業者ジョン・バブアーはコットンにワックスを塗りこんだワックスドクロスを採用したアウターを販売。それが評判を呼び、港湾労働に従事する者だけでなく、ハンターや軍隊、はたまたバイカーなどからも支持を集めることに。そのタフな作りは乗馬が盛んな英国のカントリーライフにおいても欠かせない存在となり、1974年にエジンバラ公、1982年にエリザベス女王、1987年にチャールズ皇太子と、3つのロイヤルワラントを授かった。
ここ最近の英国トラッド人気の流れもあり、男女ともにファン層をさらに拡大中。それを受けて、より扱いやすく着やすいノンワックスバージョンも充実。それでもやっぱり〈バブアー〉といえばワックスドコットン、という人は多い。で、前述のメンテナンス話に戻るのだが、やり方がわかってしまえば、決して難しいワケじゃない。もちろん手間はかかるが、ともすれば一生モノどころか次の世代にも受け継げるといわれるアイテムだけに、我が子を育てるつもりでトライしてみてほしい。
[バブアー]
BARBOUR
“ビデイル” 5万3900円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
このモデルがうってつけ!
ブランドを代表するモデルとなる“ビデイル”。1980年に乗馬用ワックスドジャケットとして誕生し、以来カントリーウエアとして象徴的な存在に。同時に、ミドルレングスであることと、重すぎず軽すぎない6オンスのワックスドコットンは、タウンユースにおいても定番となっている。スリムシルエットのSLタイプや、ゆったりしたオーバーサイジングタイプなど、定番人気モデルらしくバリエーション豊富に揃う。
〈Detail〉
ライナーは英国ブランドらしいタータンチェック柄に。ハンドウォーマーポケットやコーデュロイを採用した襟、そしてスロートフラップなど、乗馬ジャケットとして求められる機能的なディテールが随所に。
【ワックスドジャケットの取り扱い方】
メンテンナンス 基本のQ&A
Q1/洗濯機に入れてもいい? 答え:絶対にNG
洗剤を入れ洗濯機でまわすと、せっかく繊維に浸透したワックスが剥がれ落ちてしまう。また、そのワックスが洗濯機の各部分にこびりつき、最悪故障の原因に。
Q2/クリーニング店に出せばOK? 答え:普通のクリーニング店では無理
ワックスを落とすだけなら受け付けてくれるクリーニング店もあるかも知れないが、ワックスを入れ直す作業は技術が必要となり、一般のクリーニング店では難しい。
Q3/いっそ、洗わなくてもいい? 答え:埃と汚れが蓄積し、やがて悪臭の原因に
以前のワックスに比べ、匂いやべたつきがかなり抑えられているが、長年着続けていると汚れがワックスに吸着し、悪臭を発生させる原因に。
セルフメンテナンスのやり方
1/普段はとにかくブラッシング
表面に埃や汚れが溜まると、匂いだけでなく見た目にもムラができて汚く見える。普段からこまめにブラッシングをしておくのがオススメ。
2/汚れがついた! そんなときは水で濡らしたスポンジで
ガッツリではないけど、ちょっと目立つ汚れがついたときは水で濡らしたスポンジで拭き取りを。お湯を使うとワックスが溶けて剥がれ落ちてしまうので、あくまで水で。
3/普段の保管は、通気性のいい場所に
匂いやべたつきが軽減されたワックスといっても、油分である以上は湿度の高い場所に置いておくとカビが発生してしまう。夏場だけでなく、常に通気性のいい場所に吊るしておくのがベスト。
4/ワックスが抜けてきたら、リプルーフを
長年着ていると、摩擦や乾燥などでワックスが自然と剥げてしまう。そんな時は、専用のワックスドレッシング(https://www.japan.barbour.com/item/detail/1_1_UAC0001-21AW_1/MI11)を使いリプルーフを。
やり方は簡単。まずは全体をブラッシングして埃や汚れを取る。次に缶入りのワックスドレッシングを湯煎し、中のワックスを溶かす。スポンジに含み、ムラに気をつけながら全体にワックスを染みこませてゆく。最後は風通しのいいところで乾燥を。湿度が高いとカビができてしまうことがあるので、冬シーズンが終わった時期に行うのが最適。
5/ひどく汚れたときは、プロの技に頼るべし
長年放置してしまいワックスが完全に劣化した場合は、一度ワックスを除去してから入れ直すのがオススメ。だが、それを自宅でやるのは正直難しい。そんなときは、〈バブアー〉が認めるプロのクリーニング店〈ラヴァレックス〉を頼りたい。水洗いによるクリーニング、リプルーフ、そしてリペアまで、総合的に面倒を見てくれる。
※ラヴァレックス https://lavarex.co.jp/
“バーレー” 6万4900円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
乗馬用コートとして誕生した“バーレー”。これは、センターベントや6オンスコットンといった乗馬コートらしい実用機能を備えながら、シルエットやディテールを街着として馴染むようモディファイされたニューバーレー。〈バブアー〉らしさとイマドキ感の両立が絶妙。
“アシュビー”ライトウェイト 4万4000円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
ハンドウォーマーポケットやフラップ付きポケットと、名作“ビデイル”と似ているが、随所で異なる“アシュビー”。こちらは、通常モデルよりもライトオンスの4オンスのワックスドコットンを採用したモデルで、軽くやわらか、そしてベタつきの少なさが特徴に。
“マーレム” ショートジャケット3万4100円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
昨今の〈バブアー〉人気で目立つのが、ショート丈愛好者の多さ。この1着は、ワックスドコットンと相まってたくましい雰囲気が魅力の“マーレム”。その精悍なシルエットは、英国トラッドにはもちろん、同じくトレンドのアメカジにもマッチしてくれる。
“ウォータープルーフ アシュビー” 4万8400円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
細身にすることで、より都会に似合う1着に仕上げた“アシュビーSL”。さらに、耐水性、撥水性、透湿性を備えたポリエステル×コットン、つまりノンワックスの機能性素材にすることで、街中でのデイリーウエアとしての実用性を高めた。
〈アリーカペリーノ〉とのコラボモデル5万5000円(バブアー/スープリームス インコーポレーテッド)
実は、ここ数年のコラボモデルの豊作ぶりには目を見張るものがある。これは、イーストロンドン発のバッグブランド〈アリーカペリーノ〉とのコラボ。レザー製のアジャスターなど、同ブランドの要素を随所に投入しつつ、生地はノンワックスの1枚仕立てで実に軽量。
昨今、ファッショントレンドが細分化され変化も早いが、その一方で「結局、いいモノはいい」と気づく人が増えている。だからこそ、一生モノとして愛せる質の高さと、普遍のデザイン性が楽しめる〈バブアー〉は、男女問わず広く人気を集めているのだ。
photo : Tomoo Syoju(BOIL) styling : Takumi Tagawa text : Masafumi Yasuoka