実は〈ゴアテックス〉も様々!
用途と特性で知っておくべきこと!
様々なアイテムで見るようになった“ゴアテックス”のマーク。快適さが求められている今、欠かせない存在になってきているということなのだろう。でも、“ゴアテックス”が一体全体どんなものなのかと聞かれちゃうと、「実はフワッとしかわかってないかも……」という人、結構多いのでは!? まあ、それも無理のない話。ひとくちに“ゴアテックス”といっても実は種類がどんどん増えていて、素材特性や適した用途もずいぶん違う。そんなモヤモヤ感を晴らすために、代表的なゴアテックスを掘り下げながら、採用しているアウターもピックアップしてみた。“ゴアテックス”を語れたら、ちょっとかっこよくない!?
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“ゴアテックス”とは一体どんなもので、なにがすごいのか? そんな基本のおさらいする意味で押さえておきたいのが、メインファブリックに位置づけられる“ゴアテックスプロダクト”。防水性・透湿性・防風性という3つの機能を併せ持つこの素材の核となっているのは、ゴアテックスメンブレンという特殊なフッ素系樹脂の膜を貼り合わせた超極薄フィルム。多孔質構造になったこのフィルムが外側からの水や風の侵入を防ぎ、内部からの湿気だけを素早く排出。このメンブレンを様々な表地や裏地に張り合わせて使われるのが一般的で、表地と裏地でメンブレンを挟んだ3レイヤー(3層構造)や、表地とメンブレンの2レイヤー(2層構造)のものもあれば、表地とメンブレンを張り合わせ、裏地の代わりに裏面コーティングを用いた2.5レイヤー(2.5層)のものもある。レイヤーが多いものほど耐久性が高く、薄いものは軽量で動きやすいのが特徴。タフさと動きやすさのどちらを重視するのかによって、使いわけられるようになっている。
4万1800円(フォックスファイヤー)
こちらは、デニム風に仕上げたナイロンポリエステルの表地に“ゴアテックスファブリクス”を張り合わせた、2レイヤーのハードシェルジャケット。ゴアテックス社の厳格な性能テストをクリアさえすれば表地で新鮮さを出すことができるという好例。統一規格でデザインされている別売りのダウンやフリースのライナージャケットを内側のファスナーで取り付けられる独自のユニットシステムにも対応している。モデル名は、“アクロムーブ DLジャケット”。
“ゴアテックスプロダクト”の進化版として2007年に開発され、さらなるアップデイトが加えられたのが、“ゴアテックス プロ”。より過酷な環境に対応するために、タフさ(引き裂き強度や耐摩耗性)と透湿性を向上させているほか、“ゴアテックスプロダクト”になかったストレッチ性も持たせているのが特徴。高い耐久性や透湿性を犠牲にすることなく、最大で20%の伸縮性を発揮するようにつくられているので、スキーやトレイルランといったより激しい動きや発汗が伴うシーンで頼りになる。
12万1000円(ホグロフス/アシックスジャパン ホグロフス部)
“ヴァッシー GTX プロ ジャケット”と名づけられた本作は、“ゴアテックス プロ”を3レイヤーで採用したハイエンドラインのスノージャケット。バックカントリーでスキーを楽しむユーザーのニーズに応える1着として開発されたもので、左右の胸から脇下に向かって走らせた止水ジッパーがベンチレーションの役割を果たす。内側には、吹き上がる冷たい風やパウダスノーが裾から入りこまないようにするためスキースカートも備わっている。
10万2300円(ミレー/ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン)
こちらは、冬の登山やスキーでの使用に耐えうるスペックを搭載した“トリロジー エッジ ゴアテックス プロ ジャケット”。これも“ゴアテックス プロ”を3レイヤーで採用。動きを妨げないように設計された立体裁断と高いストレッチ性によって、ストレスなくスキーや登山を楽しめる1着に仕上がっている。脇下のベンチレーションも備わっていて、フィット感が調節できる袖口と裾で、雨風や雪をシャットアウトすることも。
“ゴアテックス”のラインナップの中でも、しなやかさと軽さにおいて頭ひとつ抜けているのが、“ゴアテックス シェイクドライ”。最大の特徴は、従来は中間層として使われる“ゴアテックス”のメンブレン(超極薄フィルム)を、表地として剥き出して使っていること。この思い切った構造によって非常に軽くて柔らかな着心地をもたらし、表地がないぶん、透湿性や防水性も存分に発揮できるようになっている。そのため、ほかの“ゴアテックス”と比べると堅牢性は低いが、ランニングやトレーニングのようなフィジカルな動きを重視する用途においては、圧巻のパフォーマンスが期待できる。
3万5200円(ホカ オネオネ/デッカーズジャパン)
こちらは、“ゴアテックス シェイクドライ”の軽さと柔らかさを生かした、ランニング用ジャケット。縫い目はすべてシームシーリング加工で塞がれているので、ゴアテックスならではの防水性能をフルで発揮。素材自体が蒸れにくくベンチレーションもあるので、オーバーヒート予防にもひと役買ってくれる。雨にも負けず走りたいランナーはもちろん、ちょっとした小雨を凌ぐ雨具代わりにもなる。モデル名は、“ゴアテックス シェイクドライ ランジャケット”。
従来の“ゴアテックス”が防水性を軸にしているのに対し、機能性と快適さを軸にした新しいコンセプトを掲げて開発されたのが、“ゴアテックス インフィニアム”。より街使いに軸足を置いた高機能ファブリックで、防水性における高いスペックを追い求めないぶん、より自由なデザインに落としこめるのが特徴。とはいえ、“ゴアテックス”のメンブレン自体は使用しているので、普通の服と比べたら、防水性や透湿性、防風性は圧倒的に高い。日常生活で着るウエアとしては、圧巻の快適さをもたらしてくれる。ちなみに、防風性を高めたゴアテックスとして従来から存在していたウィンドストッパーは、この“ゴアテックス インフィニアム”シリーズの素材に含まれることになり、“ゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー”と呼ばれることになった。
9万9000円(ホワイトマウンテニアリング)
N-3Bをベースにしつつ、アームホールと身頃にゆとりを持たせたこちらは、その名も“ゴアテックス インフィニアム ツイルド パデッド N-3B”。裏地に“ゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー”を採用しているので、防風性と透湿性は折り紙付き。シルエットを犠牲にしない絶妙な分量で中綿をフィリングしているので、保温力も申し分ない。
8万7780円(ノンネイティブ/ベンダー)
こちらのプルオーバーも“ゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー”を使った1着。表地は引き裂き強度を高め、ストレッチ性も付与したリップストップ織りのナイロンポリウレタン仕立て。高めに設計されたスタンドカラーにはフードが内蔵されていて、出して被ればウィンドブレーカとしても頼りになる。前身頃の3分の2くらいが収納スペースになった前ポケは、手ぶら外出派に嬉しい機能だ。モデル名は、“ストローラー プルオーバー N/P リップストップ ストレッチ ウィズ ゴアテックス インフィニアム”。
“ゴアテックス パックライト”は、軽量かつコンパクトに収納できる“ゴアテックス”に位置付けられている素材。基本構造は、“ゴアテックス メンブレン”と表地を張り合わせた2.5レイヤー構造。裏地の代わりに施したコーティングがメンブレンを保護する役割を担っている。なので、生地自体の軽量化がしやすく、嵩張らないので小さく畳むことが可能。裏面のコーティングのすべりがいいので、動いてももたつかず、脱ぎ着がしやすいという魅力もある。
2万7500円(サロモン/サロモン コールセンター)
“ゴアテックス パッライト”をラミネートした表地は、リサイクルポリエステルで仕立てたもの。環境に影響を与える可能性のあるフッ素化合物を使用しない耐久撥水加工を施すなど、サスティナビリティに配慮したつくりになっている。小さく畳んで持ち歩くのにちょうどいいシンプル設計で、縫い目はシームシーリング加工でしっかり塞がれている。止水ジッパーを閉めてしまえばレインウエア代わりにも。モデル名は、“アウトライン GTX 2.5レイヤー ジャケット”。
“ゴアテックス”ならではの優れた防水透湿性能を、靴でも享受できるよう最適化したのが、“ゴアテックス サラウンド”。靴内部の蒸れの原因となる水蒸気を素早く外に排出できるよう、“ゴアテックス メンブレン”で足を包みこむように内蔵されている。“ゴアテックス メンブレン”自体はブーツのような形状に成形されているので、アッパーやソールからの雨の浸透を防ぐことも可能。
2万4200円(コンバース/コンバースインフォメーションセンター)
不朽の名作をクリーンな顔つきに落としこんだ“オールスター クップ”に、“ゴアテックス サラウンド”のテクノロジーを搭載。格子状になった靴底から内部の湿気を効率よく排出できる設計。ブーツ状に“ゴアテックス メンブレン”が内蔵されているので、靴底はもちろん、アッパーの縫い目からも雨が染みこんできたりしない。モデル名は、“オールスター クップ ゴアテックス サラウンド OX”。
いかがでしたか? もちろん、細かくいえばまだ“ゴアテックス”の種類はあるし、これからも増えていくことだろう。でも、基本、この種類が頭に入っていたらOK。知っていると知らないとでは、服やシューズの選びも変わってくるから、自分のライフスタイルに合わせて“ゴアテックス”を選ぶという、一歩抜きんでたファッションを楽しんで!
●アシックスジャパン ホグロフス部
URL:http://www.haglofs.jp
●コンバースインフォメーションセンター
TEL:0120-819-217
●サロモン コールセンター
TEL:03-6631-0837
●デッカーズジャパン
TEL:0120-710-844
●フォックスファイヤー
TEL:03-5600-0121
●ベンダー
TEL:03-3464-8545
●ホワイトマウンテニアリング
TEL:03-6416-5381
●ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン
TEL:03-6417-0492
photo : Kouki Marueki(BOIL) styling : Hidenori Asai text : Takumi Endo